38話 物資調達②
そして夜の、いつもの如く酒場の席。
流石に他の食事処も探索してみるべき、とは思いつつも、自然とここに来てしまう。
道具屋を出た後、ラディに短剣の研ぎ方を教えたり、エンから防具の防魔処理を教えてもらったり。
思う限り回った後は、修練所で試案を立てたり。
その後散会となり、ラディと話しながら歩いてたらいつの間にか到着。今度の休みの日こそ他の所を探索しよう、と心に誓った。
「よっ、お久。」
料理待ちの間、ジョッキを片手にしたコンジュさんの乱入。
「…期待されても、面白い話なんてまだ無いですよ。」
「いやね、あのエンとよくうまい事行ってるなって思ってさ。特に大きな事故も無く。」
「…そんな順風満帆なわけでも…『あの』って?」
いつものように聞き流そうとしたが、言葉の端に引っかかるものが。
「あー…まぁこれくらいは知ってる人多いし、いいのか、な?」
長めの思考時間ののち、コンジュさんが語り始める。
「あの子、組んだパーティが長続きしてなかったのよね。」
「…どういう事です?」
「あんたらとの前にも何度かパーティに参加はしてたんだけど、すぐ解散してはまた編成申請を出して。
大体1週間かそこら。長く持っても精々半月で解散、そんな感じでずっとふらふらしてるのよ。」
「なるほど、確かにやけに見切りの早い……。」
「でも、こおりまほうを使うじょげんをくれたり、わるいひとではないのです。」
たまらず会話に混じってきたラディに、コンジュさんからの返答。
「なにも一概に『エンに原因がある』とは言わないさ。
モチベーションの行き違い、戦術面での噛み合わなさ、双方非の無い解散なんて多々ある。
エンの場合もギスって解散、って訳じゃなさげだったし、何かしら事情はあったんだろうよ。」
一息の間を空け、コンジュさんが続ける。
「最高の戦績なんだよ、エンが組んだパーティの中での依頼達成率。もうじき最高日数も超えるし。
厄介者みたいないい方になっちゃったけど、長くやっていけるのはエンにとってもいい事のはずだ。
後輩側であるアンタらに言うのもなんだが、きにかけてやってほしい。」
そう言いジョッキから一口。と思ったが、中は空だったらしい。
料理の到着と入れ替わりで、コンジュさんが席を外す。
エンに対して、違和感は無いだけではなかった。
やけに慣れた事務処理に助言、近場の地理を知り尽くしてるような迷いの無さ。
なにより最初に会った時に感じた、値踏みするような目。
…考えすぎても仕方のない事か。
今後とも活動が円滑に進むなら、それで十分だ。
今日も肉がうまい。




