表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/228

189話 情報取引①

 おそらく翌朝。

 地下に窓なんてある訳もなく、部屋の中だと時間を知るすべが無い。


 とりあえず明かりをつける。しかし光が弱く、部屋の中は薄暗い。

 改めて部屋を見ると、通路側への窓すら無い。

 眠気を覚ますためにも、とりあえず何かしなきゃ。

 伸びをして軽く体をほぐし、外の様子を伺いに行く。



「よう。よく寝れたか?」

 柵前の見渡しいい場所に、先客あり。昨日途方に暮れていた時に声をかけてくれた、ここら一帯の貸し宿の管理人さんだ。

 人型ではあるが、青灰色の毛皮の狼のような風貌、背も高め。加えて響くような低い声の威圧感は、初対面の時は反射的に身構えてしまった。

 今も大丈夫だろうとは分かっていても、警戒の意識を解くのが難しいくらい。

「はい、昨日はありがとうございました。」

「ま、それが主な稼ぎだからな。こっちこそ『まいどあり』、だ。」

「主な…って他にも何か?」

 それに対し、真下を指さしながらの返答。

「この下にある遊技場、そこの運営やってんだよ。」

「遊技場…ってギャンブルの胴元を?」

「つっても、そっちは稼ぎよりも趣味だがな。ちぃとばかし場代だけは貰うが、それくらいだ。

 こんなとこで話すだけもなんだ。折角だ、興味あんならついてきな。」


 階段を降り、丁度さっき指さしていた真下。

 施錠された扉を開け、スイッチで照明が一斉につく。

 そして奥から取り出されたのは、木製のコップと1枚の銅貨だ。

「物は色々揃えちゃいるが、最初はシンプルに、そいで回数回しやすい、こいつがいい。」

「それで何を?」

「よくあるコイントス…に東洋風の演出を加えたもんだ。」

 コインをコップに投げ込み、近くの小卓に伏せるように置く。

「掛け金は情報だ。お前らは路地裏の事知りてぇだろうし、俺は暇つぶしに上の情報が欲しい。

 昨日は聞きそびれちまったからな、かけて名乗りな。それが場代代わりだ。」

「名はセイル。その挑戦、受けます。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ