188話 地下深くで②
宿の前からでも見える大時計、それの指してる針によるともう夜らしい。
だけど昼までダウンしてたせいか、そこまで眠くはない。
とりあえず買ってきた干し肉にひとかじり。
しっかりした歯ごたえに、うまさが凝縮されている。
こんな時でも、うまいものはうまい。
「テムスさんたち、心配してないですかね…?」
ふと、ラディがつぶやく。
「……ある意味では、心配いらないだろうな。
『英傑からすれば敵対側』、あの鈍色仮面の奴はそう言ってた。嘘を言ってたようにも見えなかったし、本当ならもう情報自体は回ってるだろうな。」
「…じゃあみんな、もう『敵』なのです?」
「テムスさんやタァ達は、有無を言わさずって事にはならないかもね。
けど、ミレースさんはそういうとこに私情挟むイメージ無いな……。」
「……たしかに。」
「ま、もしかしたら敵視してきてるのはミツキだけで、他は別に何もないって事も、無くはない……かもな。
なんにしても、まだ情報が無さ過ぎる。」
そう、今色々考えても、全部憶測の話だ。確たる話はほとんどない。
今無策に外に出るのも危険という、それすらも憶測でしかない。
「路地裏」の事も最低限の説明だけで、具体的なところは何も把握できていない。
まずは明日にでも、何か情報を仕入れたいところだ。