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187話 地下深くで①

 どうにかこうにか宿を借り、一息つき。

 とはいっても個室の設けられている「宿屋」といった様相ではなく、小屋と言う方が雰囲気は近い。

 「路地裏」の3層に位置し、目の前の通路からの眺めも悪くない。様相を観察するには丁度いい。


 異形なひとびとがどうしても目立つが、そこまで大きく徒人(ヒューマ)(たが)わないひとも見かける。

 そんなひとの多くは、鈍色仮面のような服装だ。しかし仮面を着けたままのひとは少なく、中にはフードを外している人も少数だがいる。

 あそこで話してる鈍色仮面の2人の片方は、肌の色が褐色だ。ダークエルフ…昔「サタン事変」の時にその魔力にあてられ変質した忌み種族の話を思い起こさせる。

 実際にその種族なのか否かはともかく、似通っているだけで疎まれる事もあるという事は想像に(がた)くない。

 もう片方は特に何も…いや、よく見ると目が2対ある。連想する話は肉体変化の魔術。

 被術者の肉体への負担も高く、何より倫理的な問題で厳禁とされている魔術。その影響だとしたら、実験台にされたとかその辺りだろうか。そうなった経緯も含め、悪い予想ならいくらでも立てられる。



 ……とりあえず、腹が減った。

 思い返せば昼までダウンしてて、起きてからはまともに食べてない。

 何か調達してこなきゃ。

「ラディ、留守番頼めるか?」

「あ、はい、了解です。」


 こうして実際歩いて探索して見ていると、建物は隣との境目が曖昧なんてもんじゃない。

 壁に継ぎ目の無い、巨大な長屋。

 外見は同じような並びの中に看板を掲げている所があり、それのみが店である事を語っている。

 意外にも娯楽を扱う場所が多く、古書屋や噺屋、遊技場なんてものまである。

 それはそれで気にはなるが、今はまず目的を達しよう。


 品の出入りの都合か、食料関係は1層に集中している。

 長いことラディを一人にしてしまうのも悪いしと、迷いそうな目新しい所は避け、見慣れた携行食を扱っている場所に目標を絞る。

 確か入口からここに来るまでの道中に、それらしい店があったはずだ。


 …ふと、嫌な予感がした。

 表には明らかになっていないこの場所に、流通ルートなんてあるのだろうか。

 表で妙に多かった盗難事件、そいつらを匿っていた鈍色仮面。

 …………。

 強い抵抗感はあるが、気にして何かできるわけでもない。なるべく考えないようにしよう。

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