175話 遊撃②
「今よりここが、ヒュージ・フラベラ撃退戦の最前線です。」
思考の混雑。まだ心の準備なんてできちゃいない。
事前に聞いてた話では「向こう1~2週間程の見通し」との事だった。さっきの様子からしても、想定外は冒険団側も同じだろう。
ここからも木の葉の向こうにうっすら何か動くのが見える。あれがそうだろうか。
ニッグさんが右手を振り上げ、術で連動して下の川から水が伸びる。
その流れに乗り、上空へと駆け状況確認。そして滑り降りるように近くに着地する。
「前線を上げるには時間がありません。迎撃の準備に入ります。ラディさん、弾を。」
「りょうかいです!」
手筈に従い、ラディが下の階へ向かう
…階段じゃ遅いからって直に落ちてったな。水塊状態の着地は見られなかったし、不問としよう。
しばらくして運搬装置のランプが点灯、砲弾を乗せた籠が届く。
荷を下ろし、ボタンを押して籠を下に戻す。
慣れないながらに大砲に弾を込める。自分が1つ終わらせる頃に、ニッグさんは2つ目をほぼ終えていた。
慣れない事で苦戦しながらも、どうにか2つ目も終わらせる。これで4門準備完了だ。 丁度次の弾が下から届く。
そしてニッグさんがおおまかな照準調整を終える頃。
ヒュージ・フラベラの先頭が見えてきた。