168話 代償の穴埋め②
暇になった午前中、慣れる為にと砦の中を探索。
改めて1階から順に巡っていく。
1階はほぼ武器庫。といっても部屋の形は成しておらず、廊下に面する壁が無い。咄嗟の事態にに対応する為だろうか。
剣や槍といった、シンプルな白兵戦用の武器が多数立て掛けられている。
合間にいくらか、移動型砲台やその弾が格納されている。有事の際にはこれらも中庭に引き出されて使われるのだろう。
2階は扉付きの部屋が並んでいる。
医務室だとかがこの階層にあるとの説明だったが、早々に次に向かったせいでどこだったかの記憶が曖昧だ。後で暇な時間にでも聞いておかねば。
廊下に面する窓が無く、他にどういう設備があるのか、中をうかがう事はできない。
知った事で何かあるわけでもないだろう。飛ばして上へ向かう。
3階は居住空間。僕らが使ってる部屋もこの階層だ。
荷下ろしを手伝った際に、食糧庫もある事は確認している。
例の試験の行き帰りだろうか、いくらか人が出入りしてるのが見られる。
4階は再び武器庫。
今度は砲弾や運搬設備、この砦の本領であろう部分への導入。
ヒュージ・フラベラ撃退戦に向けて、特に蓄えられている頃だろう。
そして5階にあたる階層は屋上。
中庭分の隙間のある、二重の正方形の外周状。四隅は物見の塔が更に高く伸びている。
そこでなくても、既に周囲の木々を下に見る高さ。十分に見通しはいい。
そしてずらっと並んでいる対空大砲。この砦の本命兵器だ。
加えてここにある分だけでなく、周囲に分所である小砦も多くあるらしい。
それだけの設備を使う程の戦い…か。
はたしてどれほどのものなのだろうか。