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166話 冒険団④

 荷下ろし作業を済ませ、砦の中へ。

 飾り気ひとつすらない石壁、扉の無いまま地上戦用の武器が詰められている武器庫。

 壁に取り付けられてる魔力的な照明はあるが、それでも薄暗さを感じる。


 案内された先は、当面の居住部屋。

 やはりというか石壁の無骨な作りだが、中庭に面しているらしく窓から陽が差している。

 対してテーブルや椅子といった備品は見た感じまだ新しく、その不均衡さには逆に趣を感じる。

 居間の端には、寝室4部屋。パーティの基本最大人数に合わせたものだろう。

 中は最低限の荷物置き場とベッドくらい。完全に寝る専用の部屋、と割り切った様相だ。



「では、今後のスケジュールを。」

 荷を置き卓についたところで、ニッグが改まって言う。

「今日と明日で全パーティに対して、軽い試験を行う事になってます。」

「…試験?」

「はい。とはいっても、適性を確認するだけの目的なので、合否を決めるものではありません。

 その結果次第で、配属される役職が決まります。」

 形式ばった言い方に、なにやら含みを感じる。過去に何かあっての事なんだろうな、と思い勝手に納得する。

「そして準備まで済んだら、後は『待機』です。」

「…それだけでいいのか?」

「ですね。目視からの対応なので、迅速に対応でいる事が最優先です。」


「そんなに脅威なのか? その『ヒュージ・フラベラ』というのは。」

 ミレースさんには「実物みりゃ分かるよ」と説明放棄された箇所。少しでも事前の内に知っておきたいところ。

「あぁ、レミレニアから来たの最近…ですかね。」

「レミレニアでの事が片付いてからだから、つい最近だな。」

「…その話もとても気になりますが、続けますね。

 『ヒュージ・フラベラ』とは5年前から通り過ぎるようになった、海洋系の魔物群です。」

「海洋系?」

 この辺りは一帯陸地。最寄の海辺でもかなり遠いはずだ。

「名が付く前の呼び方は『飛来の巨鯨群』。

 特にこちらに対して敵意は見受けられないけど、ただただ巨体が通り過ぎるだけで脅威になってしまう存在です。

 5年前初めて飛来してきた時は現・最高位騎士(パラディン)のミツキさんが対処したものの、都市部に被害が出てしまいました。」

 うーん、鯨というものは本で見て知ってはいる…が現物を見た事は無くイメージがいまいち掴めない。



「という上で、このパーティでの試験は明日午後、砦案内も混雑回避で1時間ほど後なので。」

 一息の間、ニッグの口調から堅苦しさが抜ける。

「よかったら聞かせてくれませんか? その、レミレニアでの事とか。」

「そうだな、どこから話そうか……。」

 客観的に、改めて自分の冒険を振り返る。

 昔読んだ、英雄の物語の語り口調をイメージしつつ。

 「レミレニアでの冒険譚」を。

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