161話 続く報せ②
「それで、食料は用意しなくていいんだよな?」
翌々日、僕らは街道の方へきていた。
英傑業務としてではなく、ちょっとした用意の為だ。
ミレースさんには昨日、冒険団の件を受ける事を伝えた。
そしたら出発まで少し日があるし、それまで休みつつ準備を整えろとの指示。
冒険者的な事は分からないから一任する、との事だった。
今日のところはラディとは別行動。
だけど、ちょっと意外な同行人。
「うん。何日かかるか正確には分からないから、向こうが工面する事になってるよ。」
猫人三兄弟の一人、タァが答える。
今後の活動の参考に、そして単純に興味があるから、案内ついでに色々学びたいとの事だそうだ。
目的地は街の外れの方、そこそこ距離のある場所。
移動時間中の時間に、タァからの問い。
「元々砦までの物資ルートは整えられてるからな。よそだと自分で持って歩くのか?」
「そもそも携行食が必要な程、長時間の行動は無かったな、レミレニアでは。昼を済ませてから向かって、夕には戻るくらいだ。
けど、長距離移動で数日かかる時は持ち歩くな。中には道中で狩った肉を調理したりと現地調達する人もいるけど、それはそれで調理器具とかが荷物になるし、物好きの趣味の面が強いかな。地域を移動すると、可食の知識も当てにならなくなったりするし。」
「その時持ち歩くのって、例えばどんな物なんだ?」
「僕の場合は干し肉だったな。場所さえあれば量を作りやすかったし、ここより安く塩も手に入ったしね。」
「それ以外にも何かあるのか?」
「保存食と一言で言っても、種類はいくらかあるからね。
他にも乾燥野菜を使った保存料理も見た事はあるが…そっちの詳しい事はわからないな。
あとは、例えば荷車持ちで荷物量に余裕があれば、パンを携行してる人もいたな。瓶詰のジャムを併せたり、混ぜ物をした物を。」
「…まるで荷車の無い旅路もあるような言い方だけど、まさかそうなのか?」
「むしろ冒険者で荷車を持ってる人って、ほとんどいないんじゃないかな。
商人の荷車に同乗させてもらう人もいた程度しか見なかったと思う。」
「…大変なんだな、冒険者って。」
「だからこそ、だよ。」