156話 拠点制圧③
「次、真東距離3!」
「了解!」
耳元のデバイスからの指示。現地の開戦後すぐ与えられた役割は、やる事自体は普段と変わらなかった。
しかしただただ忙しい。普段と違い、拠点制圧側の邪魔にならないよう、事が大沙汰になる前に片付ける必要があるんだとか。
だから現地に向かいつつ、自分もサブ機での映像を注視しつつ。
反応そのものも、周りの人が大きく動く事を感知する普段と違い、もっと細かい反応を観察しないといけない。半分くらいは誤認も混じってくる。
そうと分かっていても、それらも全て現地で確認しなければならない。長時間の移動には慣れてきていても、さすがにキツい。
それも映像にも気を配りつつ、怪しい反応には誰が向かうかを割り当てつつ。
早くも気が遠くなってくる。
そりゃあこの街の出来事として、現地がどういうものなのか、見ていたかったさ。
けど今回は、当事者側の立場。この間の祭りの時とは違って。
こういう舞台裏の役回りも必要なのも分かる。分かるからこそ、もどかしい。
などと考えてる間にも、うっすらと反応ひとつ。丁度今の場所のすぐ近くだ。
「東3、ムゥ頼む!」
「おっけー。」
さっきの指示の場所は自分とムゥとでおよそ同距離。割り当て交代だ。
今回はあくまで英傑補佐としての参戦。装具ギミックは使わず、武器も久々の長剣。
切り返し、新たな目的地へと向かう。