153話 作戦会議③
会合が終わり、寝室へ。
当日…明日の事や、そもそもの拠点制圧の概要を聞いてる間に、気になった事を聞きそびれ。
だけど取っ掛かりさえあれば、こちらだけでできる事も多い。
結局処分を引き受ける代わりに貰う形となった報道誌のアーカイヴ、およそ半年分。
加えて「別に後で戻しとけばいいんじゃね?」との了承を得た、2階にあった本数冊。
流石に全てを熟読するような時間は無いが、流しつつ飛ばしつつで欲しい情報を探す。
しかしそれでも、この情報の山から目的のは中々探し当てられず。
というかついつい気になる見出しに目が行ってしまい、雑誌の消化が半分も到達していない。
もういっそ今は諦めて、じっくり読んでしまってもいいのかなとか思い始め。
重要な話ならとっくに向こうから説明されているだろうし、無理に今調べ上げる必要もないだろう。
明日になれば分かる事も多いだろうし、無理して今のうちに調べ上げるよりかは、ね。
ベッド脇では、ラディは既に桶に入って休む体勢。
そのままにしてあげようかと迷ったが、忘れないうちに聞いておきたい事もあった。
「なぁラディ。」
「なんでしょう?」
透き通る水面から、少しくぐもったラディの声。
「ラディはさ、このまま一緒に英傑を続けるべきだと思う?」
「どうでしょう、それはセイルさんが決めていいと思います。
けど……。」
「…けど?」
「…英傑もわるくはないと思うのですが、少し、きゅうくつな気もします。」
窮屈、か。
言い知れなかった最近の気持ちを、的確に表す一語に思えた。
自分がやりたい事より、周りが何を求めているか。最近はそんな感じだった。
漠然としていた不安が、明確な形になっていく。
実際にどうするかは今後考えるとして、基準とするべき点がひとつ見えてきたのは大きい。
「ありがとう。お陰で考えが纏まりそうだ。」
「それはなによりです。」