152話 作戦会議②
「話し途中に悪いが、聞け。
業務連絡だ。2人を呼んでこい。」
割り込むミレースさんの声。
「分かった、オレが行ってくるよ。」
タァがそう言い、2人がいる場所、屋上に向かう。
少しして7人揃い、大卓につく。
思えば朝食時以外でこうして揃うのは初めてだ。内容も業務関連との事で、少し緊張する。
そんな厳かさを、それに反する調子でスゥが破る。
「なんだろなんだろ。」
「全員集めたって事は、それだけの事って事だよね。」
書類を手に取り、ミレースさんが流れを切り出す。
「ま、溜めてもしゃーねぇ。
拠点制圧の話が回ってきてんだ。」
聞き慣れないワード。自分が思ったのと同じ事を、先にラディが聞く。
「『せいあつ』って?」
「悪い人が集まってるところに攻め込むんだよ!」
手短すぎて分からないスゥのその説明を、テムスさんが補う。
「大体の犯罪行為というものは、個人単独によるもの。だから当人さえ抑えてしまえば、後は本部に任せてそれで終い。シンプルなものだ。
だが、全てがそうとも限らん。時には結託し、複数人で計画を立て行われる事もある。
故に、そういった者共の拠点情報が入り次第、英傑が出向かい攻め落とす!
その担当を持ち回りで行うのだが、その順番が来たわけだ。」
おおよその事は把握、だが気になる点もひとつ。
「それって、うちで人数足りるのか?
表立った戦闘人員ってテムスさん…とミレースさんくらいなんじゃ?」
それに答えてくれたのは、ミレースさんだった。
「だな、お前らは当日は表向き補助担当だ。基本的に待機・警戒にあたってもらう。
だがま、そういう時の人員ってのもいんだよ。お前も雑誌で情報収集したんなら、分かんだろ?」
「…もしかして。」
知ってはいる、だがまだ実際に見た事はない。そんな思い当たる節。
「そ。ここの独立前のとこ、ダーティ・ホイールだ。」
「…えっ?」
唐突に投げつけられる、気になる情報。だけどそれに触れる前に、話は強引に次に流される。
「じゃ、新入り二人への説明も混ぜつつ、当日の事決めんぞ。」