151話 作戦会議①
「…なぁ、お前らからしたら、『影の英傑』に足りない物って何だと思う?」
暫く悩んだ後、部屋でたむろしてる三兄弟にちょっと聞いてみる。
「んー、僕たちよりラディちゃんと相談した方がいいんじゃないかな?」
だらだらした体勢で最初に返してきたのは、多分ムゥだ。
三兄弟も段々見分けがついて間違える事は無くなってきたが、それでもやっぱり自信には至らない。
「いや、ラディじゃ立場が近すぎる。客観的に見て、どうなんだろうなって。」
「けど、オレ達にとっても目新しすぎて、アドバイスなんて……。」
タァの返答に、質問を補足する。
「『こういう事してみてほしい』みたいな願望でいいからさ。どんなのでもいい、今後の参考にしたい。」
「うーん、やっぱり何か『技』は欲しくない? どかーんって派手なやつ!」
スゥのその意見に、タァとムゥが流れを継ぐ。
「派手、っていうのはキャラ的に違わないか?」
「でも、特徴的な技があった方がいいのは賛成だなー。演出は抑え目だけど、印象に残るよーなの。」
「そういうのもだけど、もっと根本的な立ち回りというか…うーん……。」
何らかの形で取り入れたい意見ではあるが、求めてるポイントは少し外れてるような。
そんな要求に最初に答えてくれたのはタァだった。
「といってもなぁ。急にやり方変えるのもそれはそれで変だし、変えて普通の英傑らしくなるのも本末転倒だし。」
「今の状態でも『どこにいるかすら分からない神秘性』があるしいいんじゃない? その為にラディちゃんも手伝って活動場所を曖昧にしてるんでしょ?」
「でも、それだと飽きちゃう人もいるって話だったよね。」
「だけど一度変化を加えたら、次の変化を期待されちゃう。
だから今回で新しい事をするなら、今後も変化を求められる覚悟が要る。現状維持するなら、徹底的に今のキャラを守り通す。その2択だよ。」
タァの締めののち、ちょっと考え込む。
仮に長く英傑を続けるなら、同じ事しかしないのは時代に残されるだけ。その大小や方向性はともかく、何らかの変化は必須となるだろう。
けど、当初の予定通り短い期間で辞めるとしたら、そこまで凝ってやる必要はあるのだろうか?
などと色々考えてる所に、ミレースさんの声が割り込んでくる。
「話し途中に悪いが、聞け。
業務連絡だ。」