150話 明るみの影③
「つけられてただぁ?」
今日の諸々をを報告後、ミレースさんがだるそうに言う。
「…申し訳ないです。」
対応もあれでよかったのか、イマイチ自信が持てないでいた。
という無視しがたい話になったのも、猫人子供の好奇心と体力は恐ろしいもので。
あの後、4度に渡って同じように追い付かれ。
今にして思えば、最初の接触も、その前のあの時から追跡されてたのだろう。
5度目には至らなかったが特に対策をしたわけでもなく、恐らくあちらの体力切れだろうか、「振り切った」とは言い辛い。
「まーでも、そろそろアプローチを進めるべきタイミングではあったしな。
丁度いいんじゃね?」
「そんな勢い任せな……。」
ミレースさんが「分かってねーな」とでも言いたげなため息ののち、言葉を返す。
「いいか? こういうのの停滞は水平線じゃねぇ、下り坂だ。無駄に長考する方が流行りを逃すんだよ。
だから飽きられねぇ内に、次の話題性を供給してやろうって話さ。」
強引だなと思う反面、納得できない話でもない。
「けど、どういうアプローチにすれば…?」
「そりゃあお前、ネタなら既に1つあるだろ。
お前、今日よそのの戦闘に手を出したろ?」
その後の事に気を取られ、忘れてた話。薄々思いはしてたが、まずい事だっただろうか?
「ま、硬くなんなよ。それ自体は新人育成の甘いあっちが悪いんだ。少しくらい手を貸したところで、報酬上には影響してないしな。
ポイントなのは、そのポジションだ。」
「…というと?」
「そーゆーキャラ付けもアリだって話だよ。
祭りの時に、新人共のアピールタイムがあったろ。その流れで新人を売り込みたいんだよ、特に中堅以下のチームは。
だがその全員が順当に行く訳でもねぇ。中には実力不足の奴もいる。
世間じゃ誰がアタリかハズレかで盛り上がったりもするが、治安面考えりゃ良しとする訳にもいかんだろ?」
「…つまりそういう戦力支援として動け、と?」
「結局お前ら自身が稼いじまってるから、当初の予算が余ってんだわ。
仕組み上は無報酬でも、広告効果で総合プラス、そういう見立てだ。」
うーん、期待してくれてるのはありがたいけども、そもそも英傑続けるかも……。
「まぁ、あくまで一案だ。決定事項じゃねぇ。
暇な時にでも何か考えといてくれや。」