137話 祭りの予兆④
その日の夜の寝室。
大量の×印を書き足した自分の地図をぼんやり眺める。
元々書き込んでいた、美味しかった店や気になった店のメモも相まって、流石にそろそろ限界を感じる。
欲しい情報を全部書き込んだマイマップ!とでも言えば聞こえはいいが、本来あるべき道情報が見辛くなっているのを地図と呼んでいいかは別問題。
今度諸々が落ち着いた時にでも、改めて街を散策してみよう。ここの生活雑貨なんかも気になるし、普段着も周りと見比べると新調の時期を感じる。
それはそうと、地点の分布に特に規則性のようなものは見受けられない。
強いて言えば満遍なく点在している、といったところか。鈍色仮面側の思惑が混じってるのだろう。
被ってる場所もあるのは偶然…なのだろうか? 完全一致かただ近いだけか、判別しようがない以上、今は考察から外しておこう。
まぁ、もっと情報のある所の捜査で分かってないくらいなんだ。こんな個人レベルじゃたかが知れてる。
けど、程々の情報がある以上、ついつい推測は立ててしまう。
…なんて事を、シントの民は思ってるのかな。
あの報道誌にも程々に鈍色仮面の情報は載っていたし、それも集めれば考察に足るだろう。
もしかしたら日常生活のどこかで遭遇するかもしれない。あわよくば英傑と鈍色仮面の戦いが見れるかもしれない。
そういう身近に感じる娯楽、か。
立場上あまり良くないとは思いつつも、面白くなってきた。