136話 祭りの予兆③
「…また遭遇したのか、鈍色仮面の奴らと。」
拠点に戻り一息ついたところで、ミレースさんが話を振る。
「…また、逃してしまいました。」
「ま、事故みたいなもんなんだ。んな気にする事じゃないよ。」
「でも、気になりません? あいつらが何を目的として行動してるか、」
今回も恐らく撤退までの時間稼ぎといったところだろう。
ハンマー持ちの方は好戦的であったが、仲間に諌められていた。組織の方向性としては、そちらが有力だろう。
「別に、私はどーでもいいと思ってる。楽に暮らせりゃそれでいーし。」
その話し調子からは、心底興味が無い様子が感じられる。
「ただ、テムスの奴は有力情報さえあれば食いつくだろーな。
三兄弟もこんな事頼んできたくらいだし、興味アリアリだ。」
「…一体何を?」
静かに指差された先には、×印が付けられた地図。
「不振な反応消失ポイントの分布記録だよ。あいつらの担当範囲内のな。
こないだお前に触発されたんだろーよ。随分と興味津々だったぞ。」
その地図には広範囲に渡って印が付けられてる。
いくらかの印は重ねて付けられており、今日自分が遭遇した場所もその内のひとつだ。
「この情報、いただいても?」
「この紙自体は知らん。あの三人が帰ってきてから聞きな。
けど、写すくらいならいーんじゃねーの?」
途中段階でも気になる情報だ。ペンを借り、自分の手持ちの地図に書き加える。