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129話 束の間⑤

「…まさかラディの方から、手合わせしたいなんて言われるとはね。」

 その日の夜、拠点の屋上。

 暗がりの向こうに揺れる青い袖。

 濃い紺色の空に溶け、いつもより妖しさが増して見える。

「セイルさんの戦いを見た事はあっても、実際に戦った事はないなって。」

「それは…そういや確かにな。」

 これまで更に上の師匠が居たりして、そもそも発想としてなかったところだ。

「それに、少し試したい事もあるので。」

「試したい事?」

「はいです。

 なので、よろしくお願いします。」

 ラディがいつもの湾曲した棍を氷で作り、構える。

 ラディの言葉を気にしている暇は無いらしい。


 先手はラディ。手早く水の弦を張り、氷の矢…の代わりの水滴を放つ。

 速度があろうと正面からなら、軌道は読みやすい。

 矢とすれ違いで距離を詰める。反撃を警戒しつつ。

 こちらの短剣の一撃を、ラディが棍で受ける。ここまでは見立て通り。

 崩しも分かっていれば対処は容易い、やや強引に地を蹴り切り返す。

 そこに当然降ってくる、隙を狙う棍の追撃。振り下ろされる追撃を、左手で受け止める。


 …軽い。というか振った本人がそこにいない。

 直感頼り、振り返りながら刃を振るう。

 丁度何かに当たり、弾く。

 軽い得物だ、それこそ短剣のような……。


 棍が落ちる音が静かさに響く。

 そこに立っていたのは、自分にそっくりの姿だった。

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