122話 鈍色仮面②
「…なぁ、『鈍色仮面』って何者なんだ?」
拠点に戻り、先に戻ってきていた猫人の三兄弟に聞く。
「うーん、わるい人たち?」
「いきなり現れる人たちだよね。」
「細かい事は分からないけど、こわいよね。」
そこまで答えに期待してなかったとはいえ、想定以上にふわふわしてて反応に困る。
「もっとこう…なんかない? 規模とか目的とか。」
「といってもなー、あの格好じゃどれが誰だかも全然わかんないし、ボクたちにもわかる事ほとんどないよ?」
「けどあちこちで見かけるんだろ? 相当な規模だろうな。」
「よその地区の報道誌にも載ってたりするもんね。」
そんなやきもきしてるのを見兼ねてか、遠くの卓からミレースさんが話に混じってくる。
「そいつらの言う通り、マジで実態がよく分からない連中なんだよ、『鈍色仮面』ってのは。だから対策も後手後手なのが実情だ。
あんたも今日見かけたんだろ? なら、多少なりとも察するとこもあるんじゃねぇの?」
攪乱する戦法、神出鬼没になる何らかの仕掛け。
そんなものは一端でしかないだろうが、「隠す」事への徹底は垣間見えた。
「だとしても、そこまで何も分からないというのも……。」
「そーゆー捜査は英傑の管轄外だ、割り切んなきゃやってらんねぇぞ。
…ただ、」
ミレースさんが本棚の方を視線で指す。
最初はさみしかった本棚だが、一段はほぼ埋まるくらいのファイルが詰っていた。
「これまでの確認された活動記録ならある。そこの棚にあるファイルだ、興味あるんならそれでも見ときな。」
「いいのか? 見た感じ内部資料っぽいけど。」
「補佐とはいえ立派な旋風陣の一員だ、問題ない。
ただし、この部屋からは持ち出すなよ。無くすと後がめんどい。」