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110話 探索タイム

 「地理に慣れろ」、そう言われ渡された地図を頼りに自由行動。

 …なのではあるが、貰った地図はどう見ても観光用だ。それしかなかったのか、それとも…?



 まずは街の中心、「塔」の付近。

 円形に近い広場の中心にある円塔型の建物。おそらく行政的な中心だろう。

 その広場から四方に大通りが伸び、その1つが昨日見た場所だ。

 地図を見るに、それ以外の主要な路も塔に向かう形となり、その放射状の路同士を繋ぐ路が交差し、蜘蛛の巣のようになっている。

 地図はこの地区しか描かれてないが、他の地区も同じような構造なのだろうか。


 次に、昨日気になった「レストラン街」へ。

 以前見た大通り沿いの店の並びには相変わらず圧倒されるが、その隣の通りにはカジュアルな店の並び。

 外装は簡易的だが、丁度昼時な事もあり、どこも混んでいる。


 別に待ってもいいとは思ったものの、ラディと一緒である以上、食の不要なラディをよそに自分だけ食べる状況を想像し、今後単独行動があった時に、と。

 レミレニアの酒場では共有の大皿だったから目立たなかったものの、様子を見る限りこちらでは勝手が違うようだ。

 とはいえ昼飯抜きという訳にもいかない。少し歩いて辺りを探り、持ち帰りで販売してるとこを探す。


 そして見つけた一件。看板によると東国料理らしい。

 ひき肉を薄皮で纏め、蒸した物のようだ。6個入りの中の1つを木の針で取り、かじりつく。

 …思った以上のボリューム感。

 味付けが控え目だが、だからこそ肉そのものの味が引き立つ。そして中に閉じ込められていた肉汁が、油が、肉とほどよく絡み合う。

 さらにカウンターに添えてある黒いソースを足してみる。

 …見た目に反しさっぱり系だ。油の重さが風味に変わり、次へ次へと数が減っていく。

 ラディは近場の別の所でジュースを一杯。やっぱり味という概念は分からないらしいが、本人は満足げだ。



 他にも何件か周り一満足、少しの休憩ののちに探索再開。

 道中の建物を観察してみると、かなり理にかなっている。

 大通りに面する派手な建物も、よく見ると天井の高さはほぼ統一されている。地面の傾斜に合わせた多少のズレくらいしかない。

 実際、こうしてたまに見上げるだけでも、屋根の上を走る人影を見かけたりする。

 あの時テムスさんが上からやってきたのにも、ちょっと納得。


 そしていつの間にか塔から遠く離れ、建物も少なく。

 建物そのものも物々しく。石材が主の外壁や、煙突のある建物も多い辺りから察するに、鍛冶を主とする区域だろう。

 更に外側の方には荷車が停めてあったり、放牧場があったり。

 来訪者の荷車引きなんかも、そこで預かられてるのだろう。


 …「魔物は入れさせはしない」、か。

 今回は知らずでの事とはいえ…いや、今回は別に騙してる訳じゃない。何も言ってないだけだ。

 とはいえバレたら物議にはなってしまうだろう。当初の通りなら、そう長く滞在する予定も無い。

 それにラディも、もう人との見分けがつかないくらいになっている。きっと大丈夫だろう。

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