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レミレニアでの冒険譚(6~104話あらすじ)

 レミレニアに到着したセイルとラディは、酒場でのテストに合格し、無事冒険者となりました。

 そして黒猫のエンとパーティを組み、活動を開始しました。



 冒険者生活は、快調な滑り出しとなりました。

 依頼そのものは簡単な内容でしたが、素材処理の技術が高く評価され、さらに深くへと冒険する事にしました。


 しかし、問題事もすぐ訪れました。

 セイルが魔力濃度の高い地に弱かったのです。

 まだ大きな問題になるほどの不調は出ていませんが、今後、もっと濃い地に行く事を考えると大きな課題となってしまいます。

 魔法道具も活用しつつ解決に向かいますが、もどかしい足止めです。


 一方、ラディの方はとても順調でした。

 新たに編み出した技は低燃費高威力、魔力濃度が濃い場所では普段より調子が良くなり。

 冒険に対し積極的になった事もあり、加速度的に冒険者ライフに順応していきました。

 元よりベテランのエン、急成長するラディに対し、セイルは遅れ感じてしまいました。


 そんなセイルに声をかけてくれたのは、以前酒場で知り合ったハルドレーンでした。

 苦手なタイプの人ではありましたがそれはそれ、くれた助言は納得するものばかりだったので、それは受け止めていきました。

 少しずつ戦果も上がっていきましたが、ラディの成長の早さはそれ以上でした。



 そんな冒険者を謳歌してたある日、ちょっとした事件に遭遇しました。

 街の中に、狂暴な魔物が現れたのです。


 その場に居合わせた冒険者たちと力を合わせ鎮圧しましたが、突然街の中に現れた原因は不明でした。

 近くの人に聞いても、外から侵入したのを見てはいないとの事です。

 誰にも気付かれず侵入したのか、それとも内部から発生したのか…いずれにしても、暗い噂が立ち込めます。

 特にラディは自身も魔物である事から、暴れる魔物を見る人々の目に、恐怖を覚えました。



 そんな不穏さとは裏腹に、セイル達一行には銀板への昇格の話が来ていました。

 納品依頼の質、討伐依頼での被害の少なさ。加えて成長速度などが、評価されてのものでした。

 セイルにとって、それは過大評価にしか思えませんでしたが、折角の機会。前向きに考えていました。


 しかし、ラディはそうもいきませんでした。

 昇格の認定を受けるには、立会人が必要なのです。


 街が魔物に対して神経質になっている今、余計にラディの正体がばれる訳にはいきません。

 加えてラディ自身も第三者に対して神経質になり、不安がっています。

 人の姿を保ったまま戦うすべも練習していましたが、どうにも実戦でうまくできません。

 それでもセイルとエンのフォローで、どうにか事は繋げていきます。



 一方、潜入魔物の事件は何度か繰り返されました。

 おおよその中心点までは割り出せましたが、決め打っての調査に踏み込むには、どうしても情報不足でした。

 しかし、この一帯の地理にも慣れたセイルには、そこは心当たりのある場所でした。

 かつてラディが薬草を売っていた薬屋が、その中心点の近くでした。


 その事をハルドレーンに伝えましたが、ギルドの調査員を動かすには、物的な証拠がほしいと言われました。

 そこでセイルは方便を交えつつ、その店で薬の瓶を購入しました。

 調べた結果、その薬には違法性のある素材が使われている事が分かりました。


 潜入魔物の事件との関連性の有無は推測のままですが、その薬屋に強行調査をする口実を得ました。

 最低限の警備の人員を残しつつも、事は大きく動き出しました。


 報告の翌日中には人員や物資の手配が終わり、鎮圧作戦はすぐに施行されました。

 セイル達は現地の近くに待機、問題が発生した場合の連絡役を任されました。

 ラディは戦力として傍に、エンは屋根の上で探知に専念します。

 武装した冒険者が突入したのを確認、周囲を警戒します。


 しばらくして、黄色みがかったもやが爆発のように広がっていきます。

 少しして視認できない程に見た目は薄まりましたが、その魔力は地域一帯に満ちました。


 それによる変化はすぐに来ました。

 背後からの破壊音、氷の盾を構えるラディ。

 割れた窓ガラスと鳥魔物から、予想が確信に変わりました。

 薬剤で沈静化され違法に飼育されていた魔物。薬剤不足に陥り暴走、逃走して街中で暴れていた。それが事の真相でした。


 一先ずその場の魔物はラディが捕縛、セイルは信号弾を打ち上げました。

 しかし魔力爆弾により刺激された魔物達が、次々に押し寄せてきました。

 一旦事を割り切り魔物の集団を切り伏せ、どうにか援軍が来るまで持ちこたえました。

 無事に身柄を拘束し、潜入魔物の事件は解決しました。

 突入の時の戦績も加味され、セイル達は銀板級へと昇格しました。

 しかし腕の負傷もあり、しばらくは休養としました。



 そんなある時、エンが頼み事をしに来ました。

 友を助けて欲しい、と。


 セイル達は、まずはと話を聞きました。

 いつか話した「街の近くに居る脅威」の正体を知っている事。

 それがかつてエンと共に旅をしていた竜である事。

 街に来る直前に様子がおかしくなった事。

 そして、助けられる手段を求め、冒険者になった事。


 禍の中心は魔力濃度も高く、銀板級以上でないと立ち入り禁止となっていました。

 その為に手を尽したエンの覚悟、そして功績を残せるかもしれないチャンス。

 セイルはその申し出を受ける事にしました。


 作戦は滞りなく遂行でき、その竜、ディエルが居るという古代遺跡「連なる角塔」に突入しました。

 中は法則がねじれ、外観からありえないほど広い空間、区画ごとに異なる重力、それらを乗り越えた先に、ディエルは居ました。


 死闘の末、どうにかディエルを鎮圧し、正気に戻す事ができました。

 しかし、大技を使った代償としてセイルの左腕は焼け、失ってしまいました。

 すぐに冒険者への復帰は困難な事もあり、パーティとしては解散となりました。

 「一度魔王化を経験した」という存在の貴重さから、魔力の残滓などの調査のため、ギルドの竜舎に一旦身柄を引き取られました。



 そんな傍ら、セイルはエンに、ひとつ頼み事をしました。

 ラディの過去を探ってほしい、と。


 確かにエンの精神感応魔術なら、過去への探りを入れる事は可能でした。

 エンはなるべくこの魔術を使いたくはありませんでした。しかしラディも過去を知りたがっていた事、恩がある事。

 その頼みを受け、ラディの精神世界へと潜っていきました。


 そこはひたすら広く、深く。しかしそこにある記憶は、つい最近の事ばかり。

 そんな広く深い意識の深淵に、ひとつ古い記憶を見つけました。

 どこかの建物の一室、そしてその時の呼び名「フラッディ」。

 洪水の名を付けるような奴なんて碌なもんじゃない、との忠告をエンは添えました。



 セイルは動作テストと称して研究者コンジュから義手を貰いました。試したところ、日常生活の上では問題ないくらいには動きました。しかし反応がにぶいところがあり、戦闘はしばらく厳しそうでした。

 解決案として魔石の交換という方法を提示されましたが、レミレニアには在庫が無く、都市であるシントまで取りにいかなければなりませんでした。

 往復するとなると休止期間が長くなってしまう事、シント行きに沸き立つセイル、冒険者になった目的を果たしたエン。

 話し合いの結果、パーティは解散し、セイル達はシントへと向かっていきました。

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