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side:楓果 オレの大好きな人

二章々末です。主にフウカの独白と回想と、最後の方の僅かなエッ!によって構成されております。

 オレがライ兄ちゃん……いや、ライに対して家族とか親友とか幼馴染とか、そういう類の好きではない好きを抱いていると気が付いたのはいつだっただろう。


 首輪を付けてくれと言った時?いいや、あの時はまだいまいち良く分かっていなかった。

 ただなんか少し違うなと、自分を安心して支配してもらえる存在が見つかったと、そんな感じに思っていただけであるからそうではない。


 なら、観測者とかいう姿の見えないアイツにライの存在を願った時だろうか……いいや、それも違う。

 あの時はとにかく会えなくなるという事が悲しくて、とても自分勝手な思いで願っただけ。

 好きな相手にする仕打ちではないから、恐らくはまだ自覚できていなかった。


 でも本当に、いつの間にかライの事が好きになっていた、それだけは確かだ。

 最初は何でもなかったのに裸を見たら少しドキドキして下腹部が熱を持つ。最初にライと裸で寝た時オレは我慢出来なくて外でやった。

 ライの部屋にあった本に書いてあったのと学校の保健体育の授業で習っていたから知識だけの状態だったけど、それでも何とかなった。初めてだった。


 あの時は腹を撫でて貰ってすぐの事で、気分が普段より高まっていたんだと思う、おへそに指を入れられた時のゾワゾワフワフワとした感覚が忘れられない。


 そんなオレの気を知ってか知らずか……多分知らなかったんだろう、オレの事を幼馴染を見る様な、親しい友達や弟を見るような目でしか見てくれていなかったのは、オレも薄々感づいてた。

 だからこそ、オレは攻めに出る必要があったんだ。


 ちょっとずつ、ちょっとずつライに肌を寄せる様にした。

 肌と肌がこすれる感じが気持ちよかったってのもあったけど、大体はライにオレを意識してもらうための打算からくる行動だ。

 一切嫌な顔をしている様子が無かったからオレも何となく嬉しくて、行動はどんどんエスカレートしていくと同時にオレの心の中の熱い想いも徐々にその熱を強めていく。


 森から出るときはとにかく不安だった。オレとライの二人だけの空間が壊れるような気がして……。

 ライに矢が射られた時は腸が煮えくり返るような思いを抱く。

 ぶっちゃけた話オレはあの時ロインを殺してやりたいほどに憎々しく思っていたけれど、そうするとライに怖がられるかもしれない、軽蔑させるかもしれないと思うと自然と殺意は収まった。


 そしてそんな恐怖を感じていたからだろうか、不安感を宿らせながらも興奮冷めやらぬオレは風呂でライに告白をする。

 ライが好きだと、勘違いをしまくってオレにそういう感情は一切抱いていませんよとすましているライにオレを強く意識させようとそう思って。


 結果的にライはのぼせてしまってその時はうやむやになったけれど、その後リビングであまりにも無防備な姿で寝ていたのは驚いてしまった。


 タオルを腰部分に乗せて隠しただけの、ほぼ全裸の状態。

 もちろんオレは反応していたけれどバレるわけにはいかなかった。出来るだけそこは当てないようにしながら、寝ているし良いかとお腹とお腹をこすり合わせたり。


 そして、罪悪感と勿体なさを感じながらもその口に初めてのキスをしてしまった。

 柔らかくて蕩けそうで、でもそのまま行ったら後戻りできなくなりそうで少し怖くて。ライが風邪をひかないように布団を持ってくるという名目で逃げる様にその場を後にしたオレも、やっぱり意気地なしだったのかもしれない。


 その後のロインとの模擬線。最初はちゃんと力を抑えて攻撃も寸止めを心掛けていたはずだったのに、突然そのたかが外れる。

 身体が軽くて心も軽くて、何でもできるんじゃないかという全能感に酔いしれるオレを、ロインを殺す寸前にまで追いやったオレを止めてくれたのはライだった。


 オレの目は間違っていなかったのだ。オレを止められるのはライしかいない、でもそれが実証されたところで、オレの心を支配していたのは何処までも深くおぞましい恐怖という感情だけ。


 身体を張って止めてくれて、危うく間違いを犯しそうになったオレを優しくなだめ落ち着かせてくれたライ。この頃にはもう完全にライの事が好きであると自覚していた。


 家に戻り、オレの気持ちを打ち明ける時が来る。


 誘われるままに風呂に入り、そしてやはり風呂の中でオレは甘えてライに少しだけ迷惑をかけてしまう。

 脱衣所でソワソワとしていたライにおかしいとオレは言ったけれど、ソワソワしていたのはオレも同じだ。

 でも、オレが服を脱いでいる時ライに見られていたのはなんだか嬉しかった。

 

 ちゃんと意識してくれているんだなぁって、あえて口には出さなかったけどそう確信して幸せな気分が湧き上がる。

 そしてライの身体も見て、オレの奥から情欲が湧き上がる気配を何とか抑え込みながら一緒のお風呂に入った。


 何度もドキッとする事を言われて、頭を撫でられゾワゾワとして……。

 ライの身体から伝わる感触がとても気持ちよくてオレの心はゴリゴリと削られていた。


 恐らくそれはライも同じだったんだろう。その後の告白まがいの言動と、後に期待する様な言葉からそれは伝わって来た。そしてライがオレに向けていた感情も。


 すごくうれしかった。嫌だなんて微塵も感じなくて、性別だとかもうどうでもよくなった。というかそもそもオレは元からお互いの性別なんて気にしていなかったのだ。


 好きだから好き、一緒に居たいから一緒に居る。それの何が悪いのか。


 風呂を出て、ドキドキしながら部屋のベッドで座りながらオレはずっと考えてた。

 ライが寝ている時に練習はしたけれど、あのオレの思いを実際にどう伝えた良いものかとずっと考える。

 結果的に思いをそのまま伝えれば良いじゃないかという結論が出たけれどその答えを出すのが本当に大変で、多分ライが思っている以上にオレは消耗していたと思う。


 ライが怖いように、オレだって怖い。

 気持ち悪いと思われるのが怖い、ずっとそんな目で見てたのかと引かれるのが怖い、ライはオレの事を受け入れてくれると確信はしているけれど、それでも怖いものに変わりはない。


 オレはライに腹を撫でられる事が好きだ。

 あの温かくて柔らかい手の感触も、何かを我慢しているかのようなライの表情も、その全てが好きだ。


 頭を撫でてくれるライは大好きだ、オレに寄り添ってくれるライも大好きだ、ただ隣にいてくれるライの全部が大好きだ。


 そしてそんな大好きなライは、今オレの隣で身体をくっつけ合いながら寝ている。


 キスをして、舌を触れ合わせ、そしてライを受け入れて……そういった恋人同士のあれこれはお互いに初めてだったけど、ただただ衝動の赴くままに。


 オレを抱きしめ包み込んでいるその姿からはオレへの愛おしさが伝わってくるようだ。

 そんな腕に頭を乗せ直し、ライの身体に頭を近づけた。


 大好きなライの匂いだ。一緒に居ると安心できて、他の何もいらないと思えるくらい大好きな、ライを確かに感じる。


 それにしても、どうにもライと呼び捨てにするのは気恥ずかしい。

 ライの方が俺よりも年上だし、背も大きいし、今までずっと兄のように接して……は、あんまりいなかったかな、どちらかと言えば親友とかそういう風な接し方の方が多かったかもしれない。

 それでもずっとライ兄ちゃんと呼んで来たわけで、その方が慣れ親しんでいる。


 ただ兄ちゃんを取っただけなのにどうしてこうも違うのか。

 呼ばれている張本人であるライは嬉しそうにしていたからやめる気などは全くないけれど。ライが嬉しければオレも嬉しい。


 窓から僅かに注ぐ星の青白い光が部屋を暗く照らす。

 そんな光に反射されたライの顔、それはオレにはとても魅力的に見える。


 ライは、オレに自分が必要でなくなることが怖いと言っていた。なんて馬鹿な事を考えているのか、そんな事、あるはずがないのに。

 でもお互い様だ、オレもライに必要とされなくなるのは怖いから。


「ん、ちゅ。」


「すぅ……ん。」


 寝ているライの顔にキスをする。

 柔らかい唇に吸い付くように、しかし軽くチュッという音を立ててすぐに離し、再びオレはライの首元に顔を埋めた。


「オレは、ライのペットだ……。」


 首元の首輪を触りながらそう確認するようにつぶやく。

 オレはそう望んだ、ただライに依存しようとするオレの自分勝手な思いからの提案だった。


「でも、ライはオレのものだ……。」


 オレはライのペットで、でもライはオレのもの。オレが望んだ両依存の形はこれなのかもしれないけど、だとしたらこの首輪はなんだかおかしいような気もする。


 でもオレは、この首輪を外したくない。これを付けていると何故だか幸福が湧き上がる。

 もしかするとオレには、こういうのが好きな性癖でも持ち合わせていたのだろうか……。


「……バゥ、バゥ……。」


 ライを起こさないように犬の鳴きまねを呟く。……イマイチピンと来ない、でも犬みたいにお腹を撫でられるのは嬉しいのだ。

 何か他に、動物っぽい事……。


「……んぇ。」


「……んんん……。」


 オレはライの首元をペロリと舐める。

 僅かな汗の塩分と、温かくてスベスベとした舌ざわり、何だか美味しいとオレは感じてしまう。

 

 あぁ、何か楽しい。今度からライの事を事あるごとに舐めてみるのも良いかもしれない。ライからすれば困る話かもしれないが。


 そんなどうでも良い事を考えていたらオレもだんだん眠くなって来た、流石にもう夜も遅いし寝ないと明日の朝が辛い。

 でも……眠い状態だったらフウはオレを抱えたりしてくれないかな、してくれるかもしれない……楽しみだ。


 ライの胸に手を当てて、身体と足を絡ませながら添うように目を瞑る。


「ライ、大好きだ。絶対に離さないから……。」


 オレの首輪から繋がったライの持ち手。本来はオレを抑えるための持ち手だけどこれじゃあ、まるで手枷みたいじゃないか。


 でもそれで良いんだ。オレとライは支え合って、依存しながら生きていく。


 これからも続いていくであろうオレの、オレとライの日常は、一段階幸せなものへと昇華された。

まだ私には文章力やその他もろもろが足りないと実感していますが、これから精進していこうと思います。


三章は冒険や戦闘メインになる予定です、あくまでフウカとラインの関係に重点は置くつもりですが。

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