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東方式神伝  作者: 爆発的理想
6/10

お守り

あれから私は10分程度の間、撫でられ続けた。


香燃「……っ、も、もう大丈夫ですから。はなしていただけませんか」


流石にずっと抱きしめられるのは恥ずかしい。


商人妻「あらあら、駄目ですよ♪」


香燃「え、何でですか!?。私は子供じゃないので恥ずかしいです!……それに私は妖怪ですよ。怖くは無いのですか?」


商人「ん?いやいや、そんな6、7歳程度の子供に怖れを抱く方がおかしいよ」


商人さんがそう言いながら、微笑ましいものを見るような、生暖かい目でこちらを見てくる。 ん?


香燃「ヘ?どうゆうk…………〜〜〜////何で元の姿に!」


私の姿が元の七歳児の体に戻っていたのだ。


商人妻「ん〜〜その姿が貴女の本来の姿なのね」


商人妻さんは私を抱きしめながら語りかけてくる。本当だったら鬱陶しかったが、でもこの温もりが心地よくて離せそうにない。


って今私は幼女ってことじゃんか!

やばい何でだ?


香燃「そもそもいつの間に戻ってるんですか!」


商人「気づいてなかったのかい?妻が君を抱きしめようとする一分前に急に戻ってたよ?……まぁそのおかげで僕達も君のことが怖く無くなったのだけどね」


確かにさっきまでの怖れの感情は微塵も感じられない。


香燃「む、それはいいことですけど………でもこのまま元に戻った原因が分からずに旅に出るのは怖いですね」


商人「え、君みたいな小さい子供が旅なんて危ないよ!」


商人さんはそう言いながら、こちらに向かって心底驚愕したかの様な表情で、こちらに向かって来る姿は軽くホラーだった。


香燃「ひぅ」


商人妻「こらあなた、この子「香燃です」……が怖がってるでしょ」


商人「あ、ごめんね香燃ちゃん。仮にも君は妖怪だから旅自体は大丈夫なのか」


香燃「はい、この状態でも木を木っ端微塵にすることは出来ますよ」


商人「流石に妖怪なだけはありますね」


香燃「でもこの姿じゃ旅ができません」


商人「……さっき少女の姿はどうやってなっていたんだい?」


香燃「え?普通に妖力を使ってやりました」


商人「じゃあただの妖力切れじゃないのかな」


香燃「あ」


商人「…………もしかして図星?」


香燃「…………はい」


商人妻「あらあら、天然なのかしら」


香燃「……何も言い返せないです」


商人妻「もうっ!可愛いわね!」


商人妻さんがもっと強く抱きしめてくる。


香燃「……あの〜町に行かなくてもいいのですか?」


私と違って商人さん達は人間だ。妖怪の私ならともかく、それにここは町の外だ。きっと私に気を遣って言わないのだろうが、護衛さん達の怪我も私と同じ妖怪がやったのだろう。



商人「まぁ護衛達の怪我も治ったことだし、別に急いでいるわけでもないしね……それに妻が君を抱きしめて離そうともしないし、妻が満足するまで付き合ってくれないかい」


商人妻「そうよ、最近は悪徳商人のせいで癒やしが足りないのよ。だからもう少しだけこのままでいたいのよ」


香燃「……えぇ?」










あの時から4時間後、ようやく商人妻さんが満足したので私は無事開放された。…………ちょっと名残惜しかったのは秘密だ。


香燃「では妖怪に気お付けて行って下さい」


商人妻「ねぇ、やっぱり一緒に来ない?街でも貴女の様な子なら、受け入れてくれるわよ?」


商人「そうだよ、君みたいな子供がいるべき場所じゃない」


香燃「いえ、私はあくまでも妖怪だから、それに少ししたら旅に出るつもりなので大丈夫です」


私がそう言うと商人夫婦は、残念そうな表情をして


商人「分かったよ、これは君の人生だ。僕達がとやかく言う権利はないからね」


商人妻「そうね……でもやっぱり寂しくなるわね……」


香燃「あの、これお守り代わりに貰ってください」


私が差し出したのは護衛さん達を治した癒玉ゆぎょくだ。しかも6つ


商人「なっ!?これは護衛達を治したものじゃないか。これを貰ってもいいのか?」


商人妻「そうよ、こんな貴重なものをもらう訳にはいかないわ」


これは多分効果が凄まじいから貴重だと勘違いされているのだろう。

だがこれは森の余った生命力でもう数十個作れる程に生命力を溜め込んでいるので問題ないのだ。


香燃「大丈夫です。時間があればまた作ることは出来ます」


商人「そうか、じゃあ有り難く頂くよ」


香燃「はい、後それは難産の時に飲むと赤ちゃんにも効果が出るので、使って下さい」


私がそう言うと商人妻さんは顔を赤くして俯いてしまった。


商人「本当か!?」


先程商人に聞いたが今は西暦1000年前後だと思われる情報があった。それは唐が衰えたから日本が遣唐使の派遣をやめたとの情報だった。

これは確か9世紀に起きた出来事だ。


そんな時代では医療技術が発展していない。

だから難産になれば結構な確率で死に至る。

そんな心配がなくなるのだ。たとえ20世紀でも多くの人々が喉から手が出る程に欲しいものだろう。


香燃「はい、だから元気な子供を作って下さいね?」


商人妻「ふふふ、ありがとね香燃ちゃん」


商人「では、名残惜しいが出発だ。…………どうか貴女の目的が達成されますように」


商人妻「えぇ、私も祈ってるわ。お守りありがとね」


香燃「はい!、ではお元気でいてください!」


私は商人夫婦が見えなくなるまで手を振り続けた。





その後、商人妻は難産になってしまって近所の人が、誰もが諦めたが商人妻が普通に元気な姿で赤子を抱いている姿を見て、驚いたそうだ。


後日、とうやったんだと聞いてみると


「天使からのお守りのおかげだよ」


と返されたそうな


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