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東方式神伝  作者: 爆発的理想
3/10

初戦闘

これはある森の近くの人里での会話


二人の男性が蕎麦屋で蕎麦を食べながら雑談をしていた。

「なぁなぁ」


「何だ?」


「また人が妖怪に食われたらしいよ」


「…………またか」


妖怪が人間を襲う。

こんなことは、この時代では珍しくもない。

そもそも、何故妖怪が人間を襲うのか、それは人間から恐怖を得るためだ。

妖怪は元はといえば、人間の恐怖から生まれた為、力を保つためにも、定期的に人間を襲う必要があった。


また、人間から得られるものがもう一つある。

それは妖怪が成長する為の霊力のことだ。

妖怪は自分の力を上げる為に人間を食らう。


妖怪は長生きすれば自然と力も上がるのだが、やはり人間を襲うのが一番効率が良い。


実は、人間を襲わない妖怪もいるが、この時代の情報伝達能力が低い為、あまりそのことは知られていなかった。


「いい妖怪とか居ないもんかな〜」


「実はね、最近巷で結構有名な噂があるんだけど…………聞く?」


「ん?何の噂か気になるな、聞かせてくれ」


「これは僕も体験したんだけどね。あの森の中や近くの道を通る人達の中で、怪我人や病人が居ると、急に目の前に現れて、緑色の小さな玉を差し出して『飲んで下さい』って言って、去っていくらしい」


「ハハッ!まるで妖怪だな」


「それが本当に妖怪らしい、自分で妖怪だと名乗ったそうだよ」


「人を助ける妖怪とか本当に存在するのか?」


「まぁ最後まで話を聞け…………その後に怪我人の仲間達が相談して飲ませてみようってなったらしい」


「そんな怪しい玉を、よく飲ませようと決断したな」


「それがね?怪我人の傷が相当深かったらしくて、何もしないよりかはマシだってことになってね、本当に藁にもすがる思いで飲ませてみたら、淡い緑色の光が出て、傷を確認してみたら、完治していたって噂なんだよ」


「へ〜…………あれ?お前最初に自分も体験したって言ってたよな」


「そうだよ!僕が森で薬草を探していた時、狼に襲われてね、なんとか持っていた棍棒で撃退したんだけど、重症を負っていた時に現れて、あの玉をくれたんだ。本当に助かったよ…………しかも可愛かったし」


「ハハハ!お前にも遂に春が来たか?」


「余計なお世話だ!」


そして二人の男性はそれぞれの仕事に戻っていく、このことから数年後に二人とも幸せな家庭を築くのだが、そのことを知るのはまた数年後の話である。














「あ、また人が襲われてる」


私こと香燃は、今怪我人が居るであろう所に向かって走っている。

私が何故こんなことをしているかって?それはね、暇だったからだよ!

自然豊かな森で、私の前世の経験が役に立った。

前世でまだ学生だった私を、祖父がよく山に私を連れてサバイバルをしていたのだ。


絶対役に立たない度思っていた技術は、まさか今になって活躍していた。妖怪の身体能力で動物を狩ったり、山菜があれば、生きるのに困らなかった。


私は生まれてから1ヶ月間、のんびりと暮らしている時にある事件が起こった。

妖怪とエンカウントを果たしたのである!


だが、私は本能から教えてもらったことを忘れていた。

そう、妖怪は妖怪を食っても力が上がる。

つまり私の様な、生まれて間もない妖怪は、あいつにとってはただの餌に過ぎなかったのだ。


名も知らぬ妖怪がこちらに向かって走って来る。軽くホラーだった。

私は生存本能に従って、全速力で逃げたが、相手の足の方が早かったらしく、私はすぐに追いつかれた。


妖怪が鋭い爪の生えた手を振り上げて、私を切り裂こうとしてくる。

「ひっ!」

死の恐怖で私は思わず、短い悲鳴を上げる。

ああ、ここで死ぬのかな?

でも、社畜の私にはとても楽しく充実した日々だった。森の美しい景色、せんせんと流れる川、小鳥の囀り、そして何より感動したのが、夜に見ることができる満天の星空を見たときは、思わず涙が出る程に感動した。


こんなに素晴らしいことが、出来なくなる?


巫山戯るなァァァァ!!!!!!!


その時、私は自分の能力を知って理解した。


『力を貯め込む程度の能力』


私はすぐに能力を発動させた。

妖怪の攻撃が私の能力に流れ込んだ。すると、妖怪の爪が私の肌でピタリと止まる。

妖怪は理解出来ないことが起こり、固まっていたが、すぐに攻撃を再開した。


攻撃を次々と繰り出してくるが、その全てが私の運動エネルギーとして貯め込まれていく。一分間の間、私は相手の攻撃を運動エネルギーとして貯め込んだ。


私は貯まった運動エネルギーを使って身体能力を強化して、妖怪にぶつける。


「私から平穏を奪う存在は絶対に許しません!

今お前の力を返して差し上げますよ!!」


殴った。ただそれだけ、だが一分間の間に貯まった運動エネルギーは相当な量になったらしい。

妖怪は上半身が無くなっていた。



「はぁ…はぁ…なんとか倒しましたか。流石にもう体力は残っていませんね。………………………………………お休みなさい」


私は勝利の余韻に浸りながら、気絶したかの様に眠った。


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