12 コズモ
英語でも、宇宙を表す言葉は複数ある。
空間を意味するスペース。
世界を意味するユニバース。
星々を意味するアストロ。
宇宙統一性を意味するコズモまたはコスモス。
全ては、いまだ宇宙に出る事すら叶わなかった時代の表現だ。
実際に宇宙の高度な観測が可能になると、少なくとも統一性でないのが、判ってくる。
時間は、地上と国際宇宙ステーションですら、進み方が違う。
ブラックホールと言う直接に観測不能な星がある。
地上での計算と、外宇宙での観測結果が合わない為に、宇宙空間のみにダークマターやダークエネルギーと言う、間接観測すら出来ない物を定義する。
単純である筈の物理法則が、宇宙の大半では、複雑な数式と根拠のない宇宙定数を用いて、辻褄を合わせないと成り立たない。
つまり宇宙とは、統一された存在ではないのだ。
その、疎らさには、空間の強度も含まれる。
重力や、他の力によって歪められた時空は、比較的、容易に高次元を経由し、ワームホールとして他の場所に繋がったり、他の亜空間につながったりする。
そして、高次の次元に近いエネルギーほど、空間に穴を開けやすい。
では、高次の存在とは、何なのか?
縦、横、高さの三次元移動が、我々の世界だと言われ、更に高次元は時間移動だと、以前は言われていた。
しかし、量子論の一部に、観測者の認識で、電子の状態が波になったり、粒子になったりする事が知られてからは、高次元の軸に精神軸を加える考えが出てきている。
かつての、魔法や超能力で唱われた様に、精神力で三次元の摂理を変容できる世界を四次元と定義する者も出てきた。
仮定するならば、強い祈りの力が、空間強度の弱い所に作用すると、空間を歪め、ワームホールを作ったり、異世界と繋がる可能性を否定できなくなる。
かつて、祈りにより御告げを受けていた占師や神事。
その様な儀式が行われていた場所は、より高次元との繋がりや、亜空間との繋がりが、起きやすいのではないか?
二つの亜空間の双方が、この様な行いをしていたとして、その座標が、偶然に高次元で繋がったとしたら、二つの世界の行き来は可能になるのかもしれない。
あくまで、推論や仮定の話であり、妄想に近いのではあるが、祈りの場所とされているものの幾つかには、常識を越えた奇跡が伝えられている物もある。
もし、それが、高次元や亜空間/異世界の影響を受けたものだとしたら・・・・