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僕らは天才じゃない  作者: 七寒六温
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(庭野 正)

とある日の放課後 屋上に呼び出された。

またか、十中八九 告白されるのだろう。


「こんなところに呼び出して何かようかな?」

知ってる 告白だろ? 告白するんでしょう今から俺に?

はいはい分かっているよ そんなことくらい。だけど、申し訳ないけど、俺は断るつもりでここにきているからね。君が望んでいるような答えを出してあげることはできない。


「私と、付き合わない?」

「あなたと私は気が合うと思う」

なんだこの女は……どうして上から目線なんだ?告白だろ?告白をしにきているんだろ?

可愛くもないのに、何を勘違いしているんだ。自分が女優か何かと勘違いしているんじゃないの?本来だったら、告白する権利すら君にはないぞ。


「えっ? ふざけているのかな?」

それとなく優しく尋ねてみる。彼女にも何か意図があるのかもしれない。ここで、俺をわざと怒らせようとしているとか。怒らせて俺の評判を下げようとしているとか。その手には乗らない。そんなことくらい冷静に対処する。


「ふざけてるつもりはないよ」

「あなたは私と付き合ったほうがいい。他の女子と付き合うよりもあなたのためになると思うよ」


「ごめん ありがたいけど君とは付き合えないな」

冷静に、きっぱりといつも通り断った。俺は、こんなことくらいで怒るほど単純な男ではない。


「なるほどね。信用できないからでしょ?」

「人を信用できないから?だから告白されて

も誰とも付き合おうとしないんでしょ?」


「…………」

「人を信用できない……そうかもね」

どこでそう気付かれたのか。今まで人に直接そんな風に言われることはなかったのに、俺は誰とも上手くやれる人間を演じて、上手く隠していたつもりなのに。


「そう、あなたは誰のことも信用していない。あなたの目を見ていたら分かる」

「だって私も同じだから」


「ちょっと待った、確認したいことがある。君は、俺のことが本当に好きなのか?」

「今までの誰の告白よりも君のは熱意がこもっていないように感じるが」

どうしてだろう。まだ少ししか話していないのに、何だか親近感を感じる。人を信じていない冷たそうな雰囲気が俺に似ている。私も同じだからという言葉の意味が分かるような気がした。


「好き……好きか? っていわれるとそこまで好きではないかも。ただ波長が合いそうな気がするってだけで、好きならこんなに冷静には話せない」

「付き合わない?って言ったけど、あなたが望むなら付き合っているふりをするっていうのはどう?」


「はっははははははっ……はっはははっ」

思わず笑ってしまった。大きな大きな声で。

ずっと出会いたかった人に会えたような気がした。この人もまた俺のことをすぐに、裏切るかもしれないけど。


「いいね、君のような人は楽そうでいい。いいよ、付き合ってるふりをしよう」

「俺は、君を裏切らない 君だけを見続けるなんて言う安っぽい約束はできないが、それでもいいか?」


「大丈夫、私も約束できないから」

本当に面白い子だ。そんな言葉で返してくる彼女の方がむしろ信用できる。


まさかこんな日がくるとは。

今まで何人と告白を断ってきたというのに、

付き合っているふりではあるが、周囲から見たらそうとは思えない。今まで女子たちが同じように付き合っているふりでもいいと言ってきたとしてもOKは出さなかった。


彼女だから、彼女には自分に近いものがあると感じたからOKを出したのだ。全然可愛ない、タイプでもない顔の彼女に。 


今まで俺に断られた女子たちは悔しがるのではないだろうか?よりによってこんなやつに負けるのだから。いうならば、ダークホース。彼女のことをライバルだと意識したこともなかっただろう。


「流石に今まで通りとはいかないかもな」

今までは、自分にも彼女になれる可能性があると思って、俺に対して優しくしていた女子もいるだろう。もうそれが叶わないと知ったら、冷たく接しられるかもな。それはそれでいい。

別に学校の人気者になりたかったわけではないし、人間はそういうものだと分かっているから悲しくもない。


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