表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
僕らは天才じゃない  作者: 七寒六温
18/31

(青木 千春)

俊哉は、ほぼ茉優美が好きだ。幼なじみの俊哉のために出来ること。こんな時に頼りになるのは中学時代からの友だちくるみ。くるみは優しくて、人の話を真剣に聞いてくれる。怒ったところを見たことがないから、多少無理を言っても笑って許してくれるはず。


「お願い、くるみ。私に協力してほしいの」

「俊哉は私の幼なじみって話は前にも話したと思うんだけど、幼なじみだからだと思うけど、いつも私の味方でいてくれたり、困っていたり、悩みがあると黙って私の話を聞いてくれるの」

「そんな俊哉にはすごく感謝してる」

「だからね。今度は私が、俊哉のために力になってあげたい!」

「幼なじみとして、俊哉には幸せになって欲しいの」

俊哉には幸せになって欲しい。私は俊哉に助けられたり、励まされたりしてるばっかりだから、今回ばかりは私が力になってあげたい。


「うん……そうなんだ」

私の言葉が少し重すぎたのかな、それとも くるみにとって俊哉は、いちクラスメイトに過ぎないからそんなに興味が無いからか分からないけど、反応が微妙だった。


「俊哉はさ、茉優美のことが好きなんだと思う」

これは幼なじみである私の推理。俊哉を見てれば分かる、俊哉は茉優美のことをよく見てるから。それにこないだ裏は取れた。茉優美を唐揚げに例えたのは茉優美のことを可愛いと思っているから。


「そ、そうなの?」

くるみは驚いている。それもそうだよね。

くるみは気付かなかったよね。

俊哉のことは中学生の頃から知っているとはいえ、私と俊哉の関係に比べたら浅い。気付かなくて当然だよ。俊哉は私以外の人に対しては噓が上手いんだね。

 

「私には分かるよ。俊哉とは幼なじみだから」

「俊哉は、隠してるつもりかもしれないけど、私には隠し事はできないよ それが幼なじみっていう関係」

「俊哉の茉優美を見る目、あれは恋をしている目だよ」

私も俊哉に対しては、隠し事はできないと思っている。庭野君が好きだってことも俊哉にはバレていた。それは私が庭野君のことを目で追いすぎていたから気づかれたのかもしれないけど。



「どうかな? どうすれば茉優美が俊哉のことを意識するようになるかな?」

俊哉は、優しいし頼りになるし、一生懸命だし、魅力的だ。魅力的だけどそれを気付いてもらえるか気付いてもらえないかは別問題だ。茉優美が少しでも意識してくれれば俊哉の魅力に気付けるかもしれないけど、そのためにはどうすればいいのだろう。


「千春」

「それは、鈴木君から相談はされたの?」

相談? 相談はされていない。

でも、多分 幼なじみだから私に直接 相談するのは恥ずかしいからしないだけで、本当は助けてもらえるのなら、助けてもらいたいはず。だからさりげなく私に少しだけヒントを与えたのだと。

 

「されてないけど、される前にさりげなくサポートするのがいいと思うの。幼なじみだからできることだし」

されてないけどされる前に気付いてサポートをする。それもサポートしていたことがバレないようにこっそりと。事後報告を受けたときに初めて私は気付いたかのような反応を見せる。


「そうかな……」

「私は、鈴木くんから相談されてからでいいんじゃないの?」 

「少なくとも私はそう思う。鈴木くんが茉優美ちゃんのことを好きだっていうのは、千春の憶測でしょ? 鈴木くんは他に好きな人がいるかもしれないし」

それもそうだけど、ほぼ正解だと思うんだよね。この問題は簡単すぎる。クイズ番組の序盤に出てくる簡単な問題と変わらない。ほぼ正解だと思う。クイズ番組でいうと2問目当たりに出てくる出演者の9割以上が簡単に答えられるレベルの問題。日本の首都はどこでしょう? 東京。これくらいの問題。


「でも、間違いないよ俊哉は茉優美のことばかり見てるし、こないだ聞いたら、俊哉は、茉優美のこと可愛いって言ってたし」

「絶対 茉優美、俊哉は茉優美のことが絶対気になっているから」


「だから……千春!」

「それが、勘違いだったらって少しは思わないの?言っとくけど、千春はそういうの鈍い方だからね!」

くるみが大声を出して怒るようにいった。


「…………」

突然のことで、ビックリした。 

これは何なのかが分からなかった。


あのくるみが大声を出して怒るとは……

何で? 何で? 何で、くるみは怒ったんだろう?

くるみの癇に触るようなことしたかな?してないよね?してない。うんうん、怒った理由は私じゃないか。


俊哉が、茉優美のことが好きだってことを気付けなかったことが悔しいのかな? それとも茉優美が今 好きな人を知っているとか?いや、でも茉優美なら好きだと思ったら何かしら行動しそうだし、私にも話をしてきそう。


「ごめん……」

「つい、大声を出してしまった」

くるみはすぐにそう言って私に謝った。本当にどうしたんだろう? くるみが大声を出すなんて、変だよ、普通じゃない。


何か嫌なことが他にあったのかな?

今日の晩ご飯が、あんまり好きではないビーフシチューだと告げられてたことでお母さんと喧嘩してきたとか? もしくは昨日録画予約していたと思っていた深夜ドラマが朝起きたら録画されていなかったことに気付いて、ショックだったとか?

分かる分かる。

ワクワクして録画の再生ボタンを押した時に、予約していたはずの番組がない時、そのワクワク感が一気に冷める。


くるみが怒るくらいだから、相当嫌なことがあったんだろう。


「いや、私の方こそごめんね くるみ。協力してほしいって勝手にお願いなんかして」

「ワタシ、くるみが優しいからって、甘えていた。私 茉優美と仲のいいっていう自信がなくって」

怒らせたのは、私の可能性もなきにしもあらず。だから 私もとりあえず謝った。くるみは怒んないと思って甘えていたのは本当だし、茉優美と直接 絡もうとせずに人任せにしようとしたのは、私の身勝手な理由だし。


「いや、それは感情的になってしまった私が悪いから、大丈夫だよ」

「だけどごめん。千春は大事な友だちだけど、やっぱりこの話は協力することはできない。これは第三者が口出しするようなことじゃないと思う」

「協力するなら中途半端なことはしたくない。全力で、心の底から応援したいから」

結果的に断られてしまったけど、くるみが悪いわけじゃない。本人に許可ナシで交渉は成立しないよね 私が悪かった。


私のやろうとしていたことは、交渉の仲介人を紹介することだけ。例えるなら、薩長同盟を行う坂本龍馬が、薩長同盟を結びたいと思ったはいいものの、その仲介を勝海舟に頼もうとするような、意味の分からない無責任な行為。この場合、薩長同盟を結んだのは坂本龍馬ではなく、勝海舟になる。


第三者おろか、私は自らで第四者になろうとしていた。どんどんどんどん自分から関係を遠くしようとしていた。俊哉の力になってあげるっていってたのに、これで俊哉が茉優美と付き合えたとしてもこれは私の力ではない。


くるみに頼むという方法は、やめにする。くるみ本人が引き受けることを拒んだことだけが理由じゃない。


こうなったら、やっぱり私が動かないといけないのかな、私が茉優美と仲良くなって俊哉のことをさりげなくつなげるべきか?


茉優美が好きなこと、茉優美が好きなこと……アイスクリームはクレープのような甘い食べ物はよく食べているイメージがある。

でも、俊哉って、そんなに甘い物好きじゃない。辛い味のポテトチップスや柿の種をよく食べている。どちらかといえば辛党。

でも、いくら今は、辛い物が好きだとしても、好きな人のためなら好みも合わせられると思う。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ