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僕らは天才じゃない  作者: 七寒六温
15/31

(鈴木 俊哉)

伊藤くるみさん

彼女は中学生から有名だった。彼女に恋の相談をするとその恋は叶うという。

だから、彼女のことを「恋のキューピットくるみ」と呼んでいる人もいた。その噂の真偽は分からないが、村山が堂山さんと付き合えるようになったのは彼女に相談し、彼女にアドバイスをもらったからだというし、


伊藤さんは、千春とも仲がいいし、優しそうで秘密を簡単には他人にはバラさなそうに見えるから安心して相談ができそう。


「い、伊藤さん……き、今日の放課後空いてます? 話があるんだけど、よかったら理科室に来てくれませんか?」

伊藤さんとは中学校の頃から一緒だけど、あまり話したことがない。その相手に恋愛の相談ってなると、どう話していいか分からず、つい敬語になってしまった。


「大丈夫だよ。放課後に理科室でいいの?」

断られたらどうしようという俺の不安は無駄だったようで、すんなりと嫌な顔をせずにそう言ってくれた。そういう所が相談役に抜擢される理由の1つだろう。伊藤さんは顔もそこそこ可愛いのに彼氏がいないのが不思議なくらいだ。伊藤さんが彼氏作らない主義なだけなのかもしれないけど。


「あ、ごめんなさい。伊藤さんの方が先に来てくれてたんだ。俺の方がお願いがあったのに」

放課後、先生の頼まれごとが、思ったよりも時間がかかり、理科室へ行くのが遅くなってしまった。結果的に伊藤さんを待たせることになった。時間は言わず放課後とだけ言ったからこれは遅刻ではないのだろうけど、何だか申し訳ない。


「大丈夫、私もさっき来たところだから」

出来る男は、待ったことを相手に嫌みったらしく言わない。例え1時間待ったとしても今来たところの一言で平和的な解決が出来る。伊藤さんは女子だけど。これは女子にだって通ずるものがある。


「話があるって何?」


「伊藤さん、そっその、相談があるんですけど、恋愛の相談何ですけど、聞いてもらえますか?」

恋愛の相談を誰かに話すのは初めてで恥ずかしくて緊張して 、告白ではないというのに、言葉がスラスラと出てこなかった。ちゃんと言葉の意味は伊藤さんに伝わったかな?はっきりと聞こえている自信はない。


「相談……? 全然いいよ」

「あと、敬語じゃなくて大丈夫だよ」


「あ、よかった。ありがとう」

そっか……相手は同級生だった。無意識のうちに尊敬のあまりか、敬語を使っていた。


「実は、千春のことが好きなんだ」

「千春とは幼なじみで、小学生の頃は友だちとして好きだったんだけど、中学生になってから異性として千春のことが好きだって気づいた」 

恋愛の相談を女子に話すのは初めてだ。男友だちに話すのとは訳が違う。千春が好きだっていうのは、男友だちにも話していない。変な風にからかわれるのが嫌だったから。


「でも、千春はおそらく庭野のことが好きなんだと思う。俺はどうすればいいんだろう?」

おそらくではなく、絶対好きだ。

俺には分かる。


「そうだね~確かに千春は庭野君のことが好きなんだと思う。だけど、今は慌てないことが大切だと思う」

「相手に~好きな人がいる場合は焦ってはいけない。だって、庭野君が千春のこと 好きとは限らないじゃん」

慌てないか。慌てて告白する勇気を俺は持ち合わせていないから、その心配はないな。


「そうか、慌てないことか~」

「さすが伊藤さん、やっぱり女子の意見て参考になる~。男の友だちに聞いても、フザけてばかりでまともな回答返ってこなかったんだよ」

「自分の好きな人に他に好きな人がいたらどうする? って聞いたら、尾崎は、その相手をわら人形で呪い殺せって言うし、岸も壁ドン最強とか意味の分からないこと言って、全然アドバイスになってないしで」

尾崎も岸も冗談を言うだけで、真剣にアドバイスはしてくれてない。2人とも彼女はいないおろか、告白をしたこともされたこともない、好きな人がいるのかも分からない恋愛初心者だから無理もない。


「逆に女の子は男の子の意見を知りたいよ」

「男の子は、女の子のどんな仕草を可愛いと思うのか、どのような子を好きになるとかぁ、教えて?」

どうだっけ?俺は千春のどんな仕草が好きなんだっけ?思い浮かばない。俺は千春っていう存在が好きだから。

人目に憚らず大きな欠伸をする千春も好きだし、頬を膨らませて怒っていることを表現する千春のことも好きだ。でもそれは、そんな仕草が好きというより、ただ千春が好きなだけで、千春がする仕草なら何でも可愛いと思う。


「おおっ……もしかして伊藤さんも好きな人がいるの? 振り向いてもらいたい相手がいるの?」

明確な答えが出そうもなく、うまく話せそうになかったため、話を反らす目的で言った。伊藤さんも好きな人は1人くらいはいるだろう。もしかして、伊藤さんも庭野のことが好きだったりして。庭野の人気度ならあり得る。


「えっ? いやぁ、気になっているってレベルなだけで、好きとかでは……」

伊藤さんは分かりやすい反応をする。これは間違いなく好きな人がいるな。


「伊藤さんはそのままでいいと思うけどね。優しいし、男は優しくされると弱いからね、後 カッコいいとか、褒められるとその人のことを少しは意識すると思う。男は単純で馬鹿だから」


「そうか、伊藤さんの恋も叶うといいね」

伊藤さんの魅力に気づかない男なんて残念なやつだな。全く、どこのどいつだ。よく笑う可愛い子で、優しい話し方で、相談にも真剣に聞いてくれる。俺はこんな素敵で魅力的な子は他に1人しか知らない。


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