くっころ
「はい」
「どうもー」
「ハーレム狙いな召喚勇者と」
「え?あ、魔族で僕っ娘王女様です」
「やっぱオフィシャルにはハーレム狙ってるやんな自分」
「待って」
「なんや」
「なんでお前が俺の名前言うの、俺がお前の名前言わなアカンの」
「僕が自分の名前言うて自分が僕の名前言うの、嫌なん?」
「わかりづらい」
「わかるやろ」
「確かに自分でハーレム狙いとか言うの恥ずかしいんやけど、お前がハーレムってニヤニヤしながら言うのはなんか、もっと嫌」
「そしたら普通に僕が僕の名前言うて、自分は自分の名前言えばええやん、なんで自分、僕の名前を言うたん?」
「それは今お前が俺の名前を先に言うたからやないかい」
「僕は自分の名前言うてるわけちゃうくて、あくまでコンビ名を言うただけや。自分の名前を横取りするつもりなんか無かったわ」
「あーコンビ名ね」
「そうや、コンビ名の後にそれぞれ名前言うたらええやん」
「コンビ名が名前やからもうわけわからんくなるやん」
「ええがな、そしたら自分は自分の名前を言うたらええねん、僕は自分の名前を言うてから僕の名前言うか、僕が僕の名前と自分の名前全部言うても、自分が僕と自分の名前言うでも、僕が僕の名前を言うて自分の名前、自分が自分の名前を言うてから僕の名前を言うでも、コンビ名のあとに僕が僕と自分の名前か自分が僕と自分の名前か」
「あああああ!」
「なんやねん自分いきなり壊れたら怖いやん」
「壊れるよそれは!なんの話しとんねん僕と自分が混じってわけわからんわ!」
「わかるやろ」
「いやわからんよ。お前のせいで」
「僕は悪くない」
「お前が、わけわからんこと、しとんねん」
「悪くない!」
「完全にお前のせいやろ」
「う、嘘や!」
「何が嘘やねん」
「く、殺せ!」
「ホンマに何を言うとんねん!」
「つうわけでな、くっころってあるやん」
「どーいう入り方なんこれ」
「くっころ、てあるやん!」
「わかったわかった。オークに殺されそな女騎士っつうテンプレな」
「わかる人しかおらん前提で舞台立ってるけどええんかな」
「ええんちゃうの今日はそういう舞台やし」
「知らん人かておるわけやん」
「若干、ごく少数かもしれんけどな」
「そこも説明しながらやってこと思うんやけど」
「ええがな、もう好きにしたらええがな」
「え自分、僕の好きにさせてくれるん?」
「あそれ怖い。嫌や」
「なんで、僕変なことせえへんよ」
「白タイツ王子様のコスプレしよか、とか平気で持ってくるやんお前」
「ええと思うで」
「今から舞台の上で着替える気はないねん」
「似合うって」
「絶対似合わへんよ」
「僕が見たいのは、絶対似合わへん、白タイツの王子様のコスプレしてる、普通の魚みたいな顔したハーレム勇者やねん。自分にぴったりやん」
「俺そのままやんけしばくぞ」
「そやで、ハーレムやで」
「ちゃうわ誰が魚みたいな面やねん、ホンマしばくぞ」
「遅いやないか自分」
「うるさいわ普通の魚って言い方あるかシバくぞ」
「女子しばくんは騎士道違うやん」
「俺、騎士ちゃうもん」
「女騎士ちゃうの自分」
「俺のどこみたら女性の騎士っぽくみえんねん、どっちの要素もないやろ」
「そやな、騎士っちゅうのは正々堂々敵の前で名乗りあげるだけやったり、その身分を駆使して姫とイチャイチャするだけの、中世の騎士道ロマンスに出てくる、なーんか、いけすかん奴やもんな」
「悪意あるで、その発言」
「ないよ、あくまでアーサー王宮廷のヤンキー視点やから」
「誰やねんそれ」
「知らんの自分。マーク・トウェインが書いたラノベやで」
「逆になんでお前がそれ知っとんねん。マークて誰やねん」
「そこは知っといて欲しかったわ」
「え俺が無知をさらけ出しただけ、みたいな空気んなってる!」
「そんでな」
「え待って、なんや俺が知らんだけで、常識なんそれ」
「アメリカ人ならな」
「俺はアメリカ人ではないいい!」
「そんなん僕知らんし」
「意外に大事やから知っといて」
「それでもマーク・トウェイン知ってる人結構いると思うけどな」
「そうなんや」
「そーや」
「もしかそれはトム・ソーヤとかけてんのか?」
「自分、知ってるやん」
「そらな」
「ホンマ腐った魚みたいなボケしか出来んな自分は」
「この流れの間に腐った!さっき普通の魚やったやん!」
「冷蔵庫いれとけや。そんで騎士道に生きる女の子ってことやな女騎士って」
「わざわざチルド室から答える義務ないよな俺」
「それって、美女っぷりを駆使して王子とイチャイチャする、いけ好かん女ってことんなるやん?」
「だーいーぶイメージと違う。マーク・トウェインに謝れ」
「え、ほな姫とイチャイチャするん?」
「どっちでもええねんそこは」
「けどな、王子は姫とイチャイチャしとるやん」
「まあおとぎ話ではな」
「それで騎士も姫とイチャイチャしとるやん」
「騎士道物語ではな」
「まって、姫一に対して男二やん、既に余っとるやん」
「余るって話かそれ?」
「そこを女騎士に変えても結局男一に対して女二なんで、余るやん」
「騎士一はそのままで、女騎士一ふやせばええやん」
「三角関係が四角んなるだけやん?」
「言い方古いわ」
「ちゃうわ、自分ちゃうわ」
「なんやねん」
「女騎士と王子様、王子様とお姫様、お姫様と騎士って一本線やねん!」
「それがなにか」
「どこにも角がないよ!」
「はあ」
「どこに三角があんねん」
「王子と姫の、両方二股しとるとこやろ」
「騎士と女騎士は一途や、さすがやな」
「騎士と女騎士がくっついたら真四角なんで、よかったな」
「それは浮気になるやんか」
「今更や」
「そうか王子と姫は既に二股やんな、酷い話や」
「女騎士とくっつくのを姫にしたらええんちゃうの」
「んーそれは、王子と姫、騎士と姫、女騎士と姫になるやん」
「そやな」
「姫さま三股やん!極悪ビッチやないか!」
「面倒いなあ、そしたら王子と姫が二人おればええんちゃう?」
「姫二、女騎士一、王子二、騎士一ってこと?なんかドロドロ関係にハブられ男女が増えるだけで、余計にこじれる気がするな」
「男女比率で考えてたんちゃうんかい!」
「王子も姫も平気で浮気するよな奴やで、それが増えんねんで!」
「確かにぐっちゃぐちゃなるな」
「それもう月9ドラマやん!」
「月9かなあ?」
「いやそこは水でも火でも、なんなら毎日午後一時半でもええねん」
「連ドラで騎士道物語とか誰向けやねん」
「どうせ似たよなドッロドロやん、イケるで自分!」
「騎士道物語も主題は三角やったりするからなあ」
「ドッロドロ!」
「繰り返すな!今この話が泥沼になるわ!」
「そう考えたら女騎士導入してもあんまメリットないな」
「一途やからな」
「百一匹王子様のがええな」
「ぴきって」
「子供向けに」
「なるかアホ」
「そんだけ王子おったら、そらもう、こじれきるで」
「視聴率がこじれるわ」
「こじれてる方がおもろいってあるからな」
「連ドラの展開はな。視聴率はこじらせたらアカン」
「ホンマは、僕はそういう展開好かんのやけどな」
「え、定番やろ」
「結局ハーレムな自分を思いだしてまうから、見てて辛なんねん」
「俺を引き合いに出すな!」
「ホンマ食中毒みたいな顔しといてよーやるわ」
「それ冷蔵庫の腐った魚食べたからやろ!」
「そやで、魚みたいな顔もたいがいにしとき」
「どこまで魚をひっぱんねん!」
「女騎士の話をここまで引っ張るからやん」
「ひっぱってんのはお前やで」
「う、嘘や!?」
「それはもうええねん、くっころ言うたらぶちのめすぞ」
「んー、くっころまでたどり着けるかなあ」
「女騎士だけで終わりそうや」
「がんばってこ」
「お前がな」
「おし!そんで女騎士って、なんで女ってつけとんのかな」
「感覚やけど中世騎士道ベースやから、騎士は男ってイメージあるからちゃう」
「女は家ん閉じこもっとけ、みたいな」
「騎士かて宮廷料理でブクブクんなって家閉じこもっとんねんけどな」
「え、インドア派やん自分やん」
「ちゃうわ、ブクブク太った騎士のおっさんと同じくブクブク太ったお姫様のラブロマンスの話や」
「ブクブク大相撲やんか!」
「なんか一定多数を敵にまわした気がするぞ」
「自分のせいやん」
「違うで、これ、さっきお前が言うてたヤンキー視点の話やで」
「え、あれそんな話なん?」
「なんでお前が知らんねん、俺も小学生ん時読んだだけやけど確かそんな話やったぞ」
「読んでるやん」
「さっき思い出したんや」
「まあええけど、そんなブクブクでオークと戦えるわけないやん」
「オークって豚みたいなっつう定番の雑魚キャラやんな、戦えるやろ?」
「オークってあれやぞ、丸太振り回す、熊みたいな豚やぞ」
「具体的に言われると怖いな」
「丸太抱えて持ってる、豚頭のホッキョクグマやぞ」
「なんでそんな強そうなん、全然雑魚ちゃうやん」
「しかもあいつら、力いっぱい丸太横殴りしてくんねんぞ」
「普通の熊ならイチコロやん、そのバケモン」
「そやで、あいつら主食は熊や」
「勝たれへんやん雑魚違うやん」
「そやで」
「膝いわして馬にもよー乗らん騎士がどう戦うんやろな?」
「ちゃうで戦うのは女騎士やん」
「同じく不摂生がたたってブクブクなんやろ?」
「ちゃうわ、女騎士はな、姫の容姿に恐怖を抱いてるからな」
「お姫様がブクブクなんは仕方ないんやで、ギトギト油っこい料理食べるだけ食べて、たいして運動もさしてくれへんやろし」
「女騎士は、だいたい、美容と体形維持に夢中な健康指向なんやで」
「お、なんか可能性近づいてきたんちゃうの」
「毎日爪のケアもかかさんし」
「遠なった」
「鎧もきっらきらにデコってんねん」
「騎士ちゃうやん、ギャルちゃうの」
「ギャルかもわからんで、顔もごっついメークしてるし」
「ばっちり化粧してんのか」
「パンダみたいな顔してるで」
「それヤマンバやん!古いけどギャルやん!」
「そいえばその昔おったヤマンバギャルってな」
「パンダっつうか色反転した歌舞伎みたいなメークのな」
「あのメイク、敵をビビらして逃げさそうって意味でおうてるん?」
「誰やそんな嘘ついてんの」
「その、元ヤマンバで女騎士の岸さんや」
「え?」
「だから、職業が騎士で、元ヤマンバギャルの、名前が岸さん」
「岸さんにはツッコまへんからな」
「その岸さんによるとヤマンバギャルが進化したら女騎士なるんやて」
「うっそやん!」
「嘘かもしらんけど、岸さんは剣かてデッコデコやったし」
「うそホンマなん」
「ついてるヒモがな、ストラップ、て言うてな」
「ホンマっぽいな」
「ぎょーさんつけ過ぎてな、剣振れんくらいになってな」
「あー、ガラケーにめちゃくちゃストラップとかつけてたねギャルって」
「ある日練習中に怒られてな、全部騎士団長にちぎられてもうてん」
「アホやん岸さん」
「ぶっちぶちい!こっろころーってヒモとかなんか玉が転がってな」
「おい待て」
「ぶちぶちころころで、ぶっころ〜ってウケる〜」
「やめろギャルっぽく言うな」
「だいぶ、くっころに近づいて来たな」
「遠い!むしろ遠なった!」
「ええ?嘘や!」
「くっころってあれやぞ、そのブヒブヒ言うオークに負けてな」
「あれ、ブヒブヒ言わんけどな」
「ええねん。そんでオークに負けてな、徹底的にしばかれてな」
「肉片やん」
「丸太でしばかれたらな。ちゃうねん手加減されてんねん」
「丸太で手加減ってどうすんねん」
「まず丸太振り回す、ホッキョクグマみたいな豚は忘れてくれ」
「わかった」
「具体的には女騎士の岸さんよりちょっと大きめのおっさんや」
「岸さん多分僕が手を上に伸ばしたより大きい人やぞ」
「でかいな岸さん!」
「騎士団一の女丈夫やで」
「わかった、それより大きくてガチムチの大男を想像してくれ」
「そいつオークより強そうやぞ」
「もうええねんそこは。そのパンツ一丁のな」
「筋肉みせびらかしてるやん怖いやん」
「ええねん、そいつに豚の頭かぶせてくれ」
「怖い上にグロや、血まみれやん」
「あーもう、そしたら豚さんの仮面でええわ」
「なんなん、仮面舞踏会やん」
「上半身裸で豚さん仮面の大男が仮面舞踏会でるかい」
「え、うちのパパたまにそれで出るけど」
「魔王やろお前のオトン、何しとんねん」
「受けるらしいで女子にキャーキャー言われて」
「へー」
「バッチンバッチン、背中叩かれまくるらしいで」
「それもみじ饅頭っていうネタや」
「へー」
「へーちゃうわ、話を戻すと豚さん仮面の大男がオークや」
「オークちゃうよ、パパは魔王や」
「ちゃうねん、くっころ世界の話や」
「どこやねんくっころ世界て」
「知らん、多分男子の妄想世界のどっかにある」
「わかりやすい」
「その大男のおっさんの前にな、岸さんが跪いとんねん」
「よくあるよ。パパみたら敬礼するやん岸さん」
「魔王さんと岸さんの話ちゃうねん、岸さんはその大男にボッコボコにされとんねん」
「それもよー見るで」
「魔王さんは騎士団の訓練に乱入しすぎやねん」
「暇やからなパパは」
「それはええわ、女騎士の岸さんはな、そのオークに勝たれへん事に気づいてしもうてん」
「オークちゃうて。パパに勝てたら岸さん女騎士やめて魔王なるやん」
「魔王さんからも離れろ。大男と岸さんでええねん」
「普通やんオークどこにも出て来いへんやん」
「くっころ界の常識をこっちで測るな」
「なんやそれ」
「そんでな、もう勝たれへんのが分かってる大男の前でな、膝をつくわけよ、岸さんが」
「負けました〜、てことか」
「そや、岸さんはもう負けた、普通なら殺されてる、けど生きてるやん」
「そのパパちゃうわ、大男が手加減したんやな」
「そうや、何か理由があって生かされとるわけよ。尋問して情報吐かせるなりな」
「お昼とか子供には聞かされへんような事するためやったりやな、僕わかったわ」
「言いにくいところ言われてしもた。わかった?」
「なんでパパと岸さんが訓練してるとママが後で怒るかわかったわ」
「えーと、それ舞台の上で言うのやめとこか」
「なんで」
「俺が後で魔王さんにどつき倒されるからや!」
「なんかあったんか?」
「ええねんそこは掘り下げたらアカンとこやねん。話戻すぞ」
「まあええわ」
「岸さんはな、そんな恥辱にまみれた未来より名誉ある死を求めんのよ」
「そんで、く、殺せ!てなるんやな」
「そんな岸さんをな、恥辱にまみれた未来に落とすっつう大男の下衆なとこをフィーチャーしたのがくっころや」
「それをどうにかするテンプレってだいぶ頭おかしない?」
「言うな」
「パパそんな事せえへんし」
「そやから、大男はたとえであって、魔王さんとは違うのよ」
「岸さんも、そんな事せえへんし」
「そか?名誉大事やろ、女騎士ってやっぱ」
「あんな、女騎士の岸さんは騎士やねんで、つまり騎士としての岸さんが一番大事にするんは岸さん本人の気持ちより、女騎士の名誉より騎士としての務め、義務やん。岸さんは騎士やからな、騎士として岸さんができる事をできる限りやらなアカンし、騎士の名誉で死んでも何にもならんやん。そんな岸さん騎士ちゃうやん。何しても、騎士やって岸さんが岸さんのことを自覚してる限り岸さんは騎士やん。岸さんが騎士やったら、名誉より大事な任務あるってわかってるもん。騎士として岸さんは岸さんのもつ騎士の矜持を岸さんなりに騎士として」
「あああああああああ!」
「また自分壊れるん」
「このための岸さんかあ」
「なんやねん」
「なんかもう何もかもわからんわ」
「ええやん、そこでくっころ〜、て言うとけばええねんで」
「ウケるーってそんなギャルっぽく言うかあ!もうええわ!」
「ありあとやっした〜」