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ラノベなら冒険するしかないわけで

「はいどーもー」

「はい!俺が勇者でコイツが僕っ娘王女様ですお願いします!」

「二人揃って」

「そんなん決めてない!二人揃ってハーレム狙いな召喚勇者と魔族な僕っ娘王女様ですってめっちゃ語呂悪いやんけ!」

「それでも律儀に正式名称言うんやなあ」

「嫌やけどな」

「勇者やん」

「そのネタええねん」

「つうてもハーレム狙ってるもんな自分、それ言っとかんとな」

「だから狙ってないって何回言うたらわかんの」

「えー狙ってるやん。ファンの子とか連絡先聞いてんねやろ?」

「ファンってどこにおんねん。お前に恋する危険な男子しかおらんやんけ。ああ、たまに手紙もらうけどな、時間と場所しか書いたらへん」

「放課後の職員室とか」

「それ普通に先生の呼び出しやん」

「女子トイレの奥から二番目とか」

「俺、入られへんし、花子さんは流石にごめんなさいするわ」

「ハチ公とモアイ、どっちがええ?」

「どっちも混んでるし嫌や!なんでそんなんばっかりやねんお前のネタは」

「え、自分それで待ち合わせ行くの?」

「そらいくよ」

「聞いてない。そんなん聞いてないぞ僕は」

「そらそやわ。集団私刑(リンチ)か決闘しか起こり得ん話なんかお前にするか」

「え何それ」

「わかるやろ、お前に惚れてる男子ファンの闇討ちしか来いへんねん俺には」

「あー、みんなありがとな」

「お礼を言うな黙ってそれに耐えてる俺に詫びいや」

「男の呼び出しやったら、許しとこか」

「なんで俺が許されることんなってんねん」

「しっかし、かわいそやな自分そんなイケてないのにハーレム目指すて」

「ぶちころすぞお前」

「え、そしたら僕もおらんくなんで、漫才できへんくなんで」

「そもそも漫才したい、て思てないからなあ」

「周りに女子おらんくなんねんで」

「それは悲しいなちょっと」

「まあ、ファンは元々おらんやろけど」

「やめろや」

「いてても僕が消すし」

「怖いわその設定」

「なんなら、僕どついた時点で、自分死ぬやん」

「ファンの男子(おのこ)第一号が魔王(お義父)さんやからな」

「逃げよ」

「なんやねん」

「逃げましょう、地の果てまで」

「お前、言うとくけど究極超人ネタは分かる人少ないよ?」

「いや元ネタあるし」

「それはええねんとっくに風化しとる」

「自分がパパにぶっ殺されるのは嫌やから、二人で逃げよ」

「お前が変な事言わんかったら逃げんで済むんやけど」

「けど僕、ほら変な事しか言われへんやんか」

「直す努力をせえよ!」

「え嫌や。僕努力苦手」

「我侭の振り切れ具合がすごい面倒(めんど)いねんお前」

「まあそれは逃げる道中でおいおい話していけばええやん、な、逃げよ?」

「逃げるんは決まってんねんな」

「そやで、そんで僕な、逃げた先で冒険すんねん」

「なんて?」

「なんかラノベとかファンタジーってやつやんか僕ら」

「コンビ名はそやな。俺は納得してないけど」

「そんで、冒険者っておるやんか」

「あーいろんな依頼を受ける、冒険を生業とする奴な」

「あれって冒険ちゃうやん、便利屋やん」

「お前は誰を敵に回すつもりやねん」

「モンスター倒す仕事を地元の便利屋に頼むとかアホと違う?て思うやん」

「そう言うたらそやけど」

「警察に頼めやって話やな」

「警察あんの?」

「そらあるやろ、兵士おんねんろ?」

「そらそっか」

「貴族や商人の護衛もな、そんなん雇った冒険者が一番危ないやんな?」

「なんで?」

「便利屋に登録してるだけの、身元不明の怪しい奴に頼んだらアカンやん」

「ああ、誰でも登録できるならそやな」

「そや、それにそもそもな」

「まだあんの?」

「冒険したいです〜ギルドの貼紙見ました〜受注します〜て、それのどこに冒険の要素があんの?」

「その誰彼構わずほうぼうに喧嘩売るスタイル誰の遺伝やねん」

「ママやろな」

「え、魔王ちゃうのお母さんのほうなのその遺伝」

「冒険言うならな、自分でやりたいこと見つけてな、自分で調査してな、スポンサー探して、金ださせて、自分で準備して、人を雇って、計画どおりに進まん事は自分でやりくりしてな、自分の我侭貫いて死ぬか達成するか、の二択を全部自分でやらなあかんやん。そっちの冒険家の皆さんかて、そやって冒険してるやん」

「まあ古くはコロンブスとか最近だと火星探査かなあ」

「そやからな、依頼者が十分すぎる情報と金だしてな、張り紙で告知までしてくれてな、それに書いたる通りに言われた事をやるだけの輩が俺たち冒険者だぜー、言うて、集まってんねやろ、一度しっかり見たいなあ、とは思てるで」

「ファンタジー界の全員を敵にまわすんやな」

「そんなつもりないで」

「言うてる」

「アムンゼンはええわ、スコットには土下座して詫びいや、くらいやな」

「誰やねん」

「しらんのかい。まあええわ。僕、本当の冒険したいねん」

「なんやしらんけど、まあ頑張ってや」

「いやいや、自分もすんねんで」

「マジで!」

「そやで、僕はこっちの冒険者の仕組自体はしっとるけど、自分知らんやん」

「そら俺は漫才の相方として異世界召喚という体裁で誘拐された身ですからねってお前らのせいやんけなんで俺がもの知らんの俺のせいなってんねん」

「そやから、ちょっと教えたろ思てな」

「俺そういうの嫌やねんけど」

「えなんで」

「インドア派やし」

「勇者のくせにインドア派なんかどやってハーレム美女探すんよ」

「勇者もハーレムもなりたないねん!お前らが勝手に言うてるだけやん!」

「我侭な自称勇者って迷惑でしかないやん」

「そんなヤバい奴ちゃうわ!」

「そうなん?まあええから、冒険者ギルドとか行くやろ自分?」

「行くか!俺は部屋で読書してるんが好きや」

「あ、自分の部屋のエロ本全部捨てといたからな」

「やめろオカンか!いやエロ本なんて無いし!」

「勇者だけあってムッツリやなあ自分」

「風評被害も甚だしいなお前」

「え、けど好きやろ」

「そういう事ちゃうねん」

「僕っ娘で我侭な王女の花は夜開くとか変な題名のな」

「何それっぽい題名考えとんねん!しかも嬉しそうにするな!怖過ぎる!」

「なんで怖いん?」

「舞台の上であれこれ嘘をまき散らされると〜こ〜ろ!」

「しゃあないやんか」

「しゃあないことあるか!」

「外堀から埋めてくスタイルやもん僕」

「マジで怖い」

「そんなん諦めとき。ほら冒険者ギルド行くやろ?」

「行くって冒険者ギルドってどこにあんねん」

「あれや、三軒隣の便利屋組合のことやで」

「なんで便利屋組合やねん、冒険者ギルドちゃうの?」

「農協がJA、職安がハローワークみたいなもんや」

「CIなん!?」

「自分難しい言葉しっとんなあ」

「なんで農協とか職安とかお前が知っとるかのが不思議!」

「そんなことないよ。あーけどホンマに何もしらんもんな自分」

「すべてが初めてだらけやけど」

「あそこの説明聞くだけやったら、騙されるかもわからんな自分なら」

「騙すん?」

「そやで行ったらわかると思うけど」

「なんやわけわからんけど、行く前提なんやめてもらえますかね」

「それかシミュレーションするか?そしたら僕、勇者な冒険者やるから、自分冒険者ギルドの受付やって」

「俺勇者やん!なんで俺がそっちやねん!」

「それもそやな」

「しかも知らんとこの知らん人なんかできるかい」

「なら逆で」

「そうやろってあ、乗ってもうた」

「ええやんか、ほな僕受付嬢な」

「しゃあないな。俺は普通に冒険者なりたい奴でええねんな」

「うん」

「よしいくで。うぃーん」

「自分待って。冒険者ギルドは自動ドアちゃうねん普通」

「そうなん?ほなしゃあないなあ」

「しゃあないことあるか、わかるやろ普通」

「なら、がちゃ。からんころーん」

「いらっしゃいませご主人様〜!」

「そこはおかえりなさいませ、とちゃうんかい!」

「結構どうでもええところや!自分ふざけてんのか?」

「え違うの?」

「メイドカフェかー、て言って欲しかってん」

「あそっちがええんか」

「そやで」

「ええんか〜、ここがええのんか〜」

「つるこー師匠はやめえ。自分ちゃんとしてホンマ」

「いや鶴光師匠もそやけどな、メイドカフェをなんで知っとんねんお前は」

「昔バイトしてたことあってな」

「バイトしてた割に挨拶がえっらい雑やったな」

「そら僕王女なメイドやったから」

「王女なメイドってなんやねん」

「BGMがつるこーのラジオでな」

「そんなヤバいメイドカフェあんの?」

「んなもんあるわけないやん」

「お前たいがいにせーよ」

「ほーい」

「ほーいて。まあそこはええわ」

「ええの?」

「ええわけちゃうけど、ふと思ってん」

「何を」

「ギルドの受付嬢さんっていらっしゃいませって言うんか?」

「んーしらん」

「知らんのかい。けどな、なんか言わん雰囲気あらへん?」

「そいえばそやね」

「そーゆー感じでええんちゃう?」

「わかったわ、そんなんでやるわ」

「言うとくけど初心者の俺のためのシミュレーションやぞ」

「細かい事ええやん」

「なんやそれ。からんころん。すいませーん」

「はい、何名様ですか?」

「みたらわかるやろ一人や!」

「いやここにおらん人連れてるかもしれんやろ!」

「あそういうことか」

「何名様ですかでキレるヤバい人初めて見たわ」

「おるかもしれんやんけ」

「そらなってちがう!カラオケか!て言うてほしいだけやねん」

「それも違うやろ。宿屋とか喫茶店とかやろ、カラオケてなんやねん」

「いやあ僕、昨日オフん時に五時間、歌いまくってしもて、ついな」

「行ってたんかい歌いすぎやで」

「森田童子をな」

「五時間森田童子限定は普通に怖いやろ」

「こわないよ」

「そんでそーいうネタをチョイチョイ入れるのやめろや」

「なんで」

「古くてわからんし、お前が知っとる知らんで話がそれるからや!」

「そういうもんか」

「お前の古い事知ってますネタでどんどん押してんねん」

「そっか、自分ホンマにちゃんとしてや」

「なんで俺やねん」

「振ってくるの自分やし」

「振ってないよな?お前が勝手にずれていくだけやぞ?」

「それはもうしゃあないやん」

「しゃあないことあるか!お客さんの前やしっかりせい!」

「自分うるさいわ〜」

「なんやねんホンマに。からんからーん。すいませーん」

「はい冒険者ギルドにようこそ、発注ですか受注ですか、それともボ・ク?」

「え、そんなシステムなん?ほなチェンジで」

「なんで僕はダメやねん!」

「そこで切れんの?」

「切れるわ何で僕やったらアカンの、寧ろ僕がいいとか、いやいや、僕やないとダメくらい言うべきやろ。つうか言えや」

「んー怖いからお前でギリギリ我慢したる」

「怖くないやろ」

「怖いわ。チェンジ拒否って怖いわ」

「待てや。なんか慣れてるなあ、なんや似たような経験あるんか自分」

「その顔も怖いわ。経験なんかないよ、そんなお店あるんかこっちに」

「とぼけて逃げよ思ても、見てる人は見てるからな。後でセッキョーやで」

「なんでやねん!そもそもそういうボケしたんお前やろが!」

「ちゃんとしてないんは自分の方やんか」

「お前がヤバいボケかましてるだけやぞ?」

「それはええやんか、そんで、どういったご用件で?」

「んー納得いかんけど、ここはどこですか?」

「待って待って。自分便利屋組合て書いたる看板見てるやん」

「ああ看板あるな」

「その扉開けてんねんな?」

「そやで」

「それで言う台詞がここはどこ?って、だいぶオカシイ人やん」

「ちゃうねん。冒険者ギルドなんか便利屋組合なんかどっちやねんて事や」

「そら冒険者っておだてたら、ヤベエ仕事も頑張ってやってくれる人にはギルドですし、ゴミの片付けとか面倒をお金で押し付けたい、つう裕福な方々向けには便利屋組合でやらせてもらってます。ちなみに自分金持ってないからギルドな」

「ぶっちゃけ過ぎや」

「世の中そんなもんです〜」

「なんかなあ。ほな俺、冒険者なりたいんですけど」

「よっしゃカモきた!」

「カモ言い切るなや!」

「いや自分、便利屋組合って書いたる看板見とんねんぞ?」

「そやで」

「冒険者と銘打つ便利屋さんに登録しに来とんねんぞ」

「うん」

「わざわざこき使われに登録したいってアホやん!カモやん!」

「それを叫ぶ受付がどこにおんねん!オカシイの絶対お前の方や!」

「んなことあるかい、そんでそのカモの勇者さんはなんで冒険者なんかに?」

「誘う側はそんなこと言わんと思うけどな」

「けど心のうちでは絶対思てるで。自分よー覚えときや」

「そなんか。いや金無いし、俺冒険者に憧れてたし、それなりに強いし」

「そですかー、みんな、最初の頃はそんな事言いますけどね、大概半年もしたら死んだ魚みたいな目になってまうんですけど、そんでもええですか?」

「それ誘う気一切ない人の台詞やで」

「あるよ」

「しかも、ギルドの扱いがひどく悪そうや」

「んなこと無いわ。便利屋組合は一応労働者に優しい環境用意してんねんで」

「例えば」

「組合に常設したる酒場とかな」

「あー、テンプレによー使われてるなあ」

「安い値段でお酒を提供しとんねん。組合登録者限定やで」

「あ、安いんやそら溜まり場にもなるわ」

「お酒には心が軽ーくなるおクスリなんかもね」

「あ俺、急用思い出しました帰ります!」

「嘘ですって」

「怖すぎやろ!」

「いや、真面目な話、新規登録者の方に支度金なんかも用意してるんですよ」

「え、お金くれるの?」

「ん?借金やで。利子高めの」

「低くせい!」

「そしたら借りるだけ借りて逃げる人おるやんか。自分みたいに」

「俺は逃げんよ」

「逃げませんよ、て利子高めでも納得する人にしか貸せへんわ」

「大変やなあ」

「そらね、こっちも色々事情ありますから」

「怖いとこやな、なんか変な汗かいてもた」

「お水飲まれます?」

「あ、すいませんありがとうございます」

「頭と心が軽ーくなるおクスリ入ってますからね〜」

「うわあなんか楽しくなってきた俺このギルド入りますうって、こらあ!」

「演技うまいな自分」

「そこちゃうねん!こんな冒険者ギルド入りたないよ!」

「そうやろ」

「死んだ魚の目をしながら、クソみたいな仕事安い給料でクスリでボロボロんなりながら続けんのが冒険者なん?マジか?お前そんなんなりたいんか?」

「嫌に決まってるやん」

「やろがい!」

「そやから、そういう便利屋組合にはいかへん」

「なんで説明したんですかねえそしたら」

「ん?なんでギルドに入らへんの?てどうせ言われるやろ」

「ああ、あったら言うかもなあ」

「ああ冒険者ギルドあるわー、て中身もよー見んと入ってまうやろ?」

「そやな、今はもう絶対入らんとこ思うけどな」

「僕らはそんな搾取される側やない、ホンマに自由な冒険を楽しむんやで」

「そうなん?どやって?」

「まずスコットに土下座しにいこかなって」

「意味わからんわ」

「まだわからんのかい。まあ放っておいても冒険なるからええけど」

「なんでや」

「パパが追いかけてくるからな」

「お前のパパって魔王やんな」

「そやでそれが全力で追いかけてくんねん」

「魔王が追いかけてくるとかそれ冒険ちゃうわ逃避行やん!」

「冒険やん?」

「命の危険あるだけやし自由がない!」

「けど楽しそうやろ?」

「俺は楽しないぞ!」

「なんか愛の逃避行って楽しそうやん」

「やめろやマジで」

「そんでな、どこかの街に住んでな」

「逃げきる前提ではおるんやね」

「僕は王女なメイドやんねん」

「王女言うてる時点でバレるやん」

「そんで自分は酒場でな」

「ヒモとか最低やん俺もそしたら働くよ」

「働いてんねんで、けど大概が酒場で酒飲んでな」

「いや真面目に働くっちゅうねん」

「頭と心軽ーくなるおクスリで飛んでたりするなきっと」

「うわあなんか奥さん働いてるし俺毎日酒ばっか飲んでるけど、そんなんもうどうでもよくなってきたああ楽しいいいいいもういっぱいお願いしまあああすってこらあ!そんなんなるかあ!もうええわ!」

「どうも有難うございましたご主人様!」

「練習せんでええしそれも何か違う!」


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