4、遊び
あの日から子供は……俺に懐いた。
何故、何故なんだ!
ことあるごとに俺の所にやって来る。
毎日のようにやって来る。
しかも、あまりにもウチに来るものだから、あいつの母親まで俺を信用しだした。
畜生、俺の自由な生活が!!
ご近所さんとして信頼関係を築くのは良いとして、親が平気で他人の独身男に子を預けて良いのか!?
しかし、あいつの母親にそれとなく聞いてみたところ…
『だってあの子、本当に貴方が好きみたいなんだもの。』
と、言われた。
………そうですか。
子供に何故ウチに来るのか直接問い詰めもした。そしたら…
『だって貴方、なんか危なっかしいんだもの。しょうがないから、私が面倒見てあげる!!』
と、言われた。
……………そう、ですか。
…俺、精神年齢はかなり年食ってるはずなのにな……。
十歳のガキのお守りが必要なのか…。
って、そうじゃねぇだろ!!
危なっかしいって何だよ!!!
しょうがないからって、別に頼んでねぇ!!!
ああ、クソ、俺、あいつが隣に引っ越して来てから、生活がままならねぇ!!
「おい、どうした? エフ?」
俺がイライラしてると、遊び仲間の男が話し掛けてきた。
「ちっ。何でもねぇよ」
俺は舌打ちしてゲームに目を向けた。
「レイズ。1000枚追加。」
「…ッマジかよ!!」
「次、お前」
「畜っ生!! ドロップ!!」
「ハッ、勝った。 ほら、ワン・ペア」
「ウソだろ、おい!! 俺、勝ってたのに!!」
「流石エフ様ぁ~。すごぉい!」
「エフ様ぁ、素敵ぃ~!!」
ねっとりした女の声がイラつく。
腕に絡み付いてくる女がイラつく。
「ねぇ、エフ様ぁ。今日は私と遊んでかない~?」
「ズルいわ! エフ様ぁ、私とも遊んでぇ」
うるせぇんだよ。
キツい香水の匂いがイラつく。
甲高い声がイラつく。
「…今日は皆で遊ぶか?」
「きゃー!」
「エフ様ぁー!」
「おい、ズリィぞエフ!!」
「喚くんじゃねぇよ。そんなんだから、選ばれねぇんだよ」
「はっ?」
くだらねぇ。
こんな女手に入れて、何が楽しいんだ。
俺はそう無意識に思いながら、女を連れて夜の街へ足を向けた。
あいつは、明日も俺の家に来るんだろうなぁ、と考えながら。




