2、訪問
ピンポーン
あの親子が訪ねて来た次の日、昼過ぎに家のインターホンが鳴った。
「こんにちはー」
俺の嫌な予感は的中した。
…まあ俺は腐っていても、もともとは神だから予感はだいたい当たるのだ。
「はあ…」
にしたって、親子で来るならまだしも子供一人で来るとは。
あーあ、最悪だ。
「あっ貴方、今溜め息ついたでしょ! 溜め息つくと幸せが逃げるってママが言ってたわよ!」
…本当だぁ。確かに、現在進行形で幸せが逃げてるー。
「ってか、お前マジでママはどうした?」
「私もう十歳よ! いつもママと一緒な訳じゃないわ!」
成る程。
子供なんて皆同じに見えるが、そういえば人間には年齢なんてものがあったな。
「…なんでこんなとこに来たんたよ?」
子供が遊ぶには自然な時間だが、何故よりによってウチに来たんだか。
「貴方、"にいと"って人でしょう! その言葉使いで確信したわ!」
…確かに今はこいつの親がいないから、多少言葉を崩してはいるが、それだけでニートになるのなら、この世にニートは何億人いるんだろう。
「んで? ニートで暇そうだからお前の遊び相手しろって?」
「そうよ!」
「やなこった。つーかお前、ただ友達いないからここに来たんじゃねーの?」
「なッ…」
そう言うと、子供は顔を赤くした。
…はあ、めんどくせーな。
「家んなか、散らかすんじゃねーぞ」
「…!! やったぁ!」
たかがこんなことで小躍りするほど喜ぶ無邪気な子供を見て、俺はふと頭に疑問が沸いた。
…そう言えば、幼女を部屋に連れ込むのって、犯罪…か…?




