20、契機
「ねえねえ、あれなに?」
「…ライトだろ」
「ねえねえ、あれは?」
「ただのメシだよ」
「えっ凄い!あれ食べられるの!?」
「…お前、主催者じゃねぇのか?」
さっきから質問ばっかなんだが。
…まあ、実際に準備したのはこいつの父親なんだろうが。
「だ、だって私はまだ貴族になったばっかりだし!分からないもん!」
「…勉強不足の間違いだろ」
「聞こえてるわよ、失礼ね!だいたい、何でフェアラートの方こそ、そんなに知識あるの!?」
「さてなぁ」
年の功だよ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「皆さん、本日はお越しいただき誠に………」
主催者(?)であるあいつのお決まりの挨拶が始まった。
……こういう、無駄に長い挨拶ってどこの世界でもあるが、本当に眠くなるな。
例え、喋ってる奴は死ぬほど緊張してるとしても。
あ、ちなみに俺は側から見守っている。
あくまで、サポートなんで。
なんて、のんびり考えていたときだった。
見覚えのある男女が目に入った。
やつらは年老いてきてる癖に、毒々しく着飾っていて。
偉そうに、王族の隣でふんぞり返って。
奴らの手に、プライドと権力を表す――――杖が、握られていた。
…ちっ。胸糞悪い。
心の中でそう吐き捨てて、俺は顔を背けた。
が、少し遅かった。
奴らは俺に気付き、馴れ馴れしくもよってきた。
「ディオ!」
うざいうざいうざい。
何がディオだよふざけんな。
聞くに耐えない、好き勝手なことばかり奴らは話す。
俺は歪みそうになる顔を必死で笑顔に保つ。
ふと、あいつの顔が目に映った。
顔に、"その人誰?"と書いてあった。
――他人だ。
俺は皮肉るように、唇だけで呟いた。




