表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/24

17、勧誘

その後、俺の予想は見事に当たり、旦那は奥さんの下にやってきた。

始めは両者なかなかに緊張しているようだったが、まあもとは夫婦であっただけあって、きちんと和解ができたようだった。


俺が思うに、あいつがいたからじゃねぇかと思う。

よく言えば、子は鎹。悪く言えば……ってか、空気固まってる横で、ガキにあんな心配そうな顔されりゃ、何とかするしかねぇよな。

あいつはある意味最強だ。


俺は何故か話し合いの場に参加させられた。

……何故だ。俺は普通に家族水入らずを勧めたのに。


旦那によると、旦那の両親…つまり先代伯爵は旦那が全力で説得したらしい。

……というか、脅したんじゃねぇか?あの旦那、若干俺と同類の匂いがしたぞ。

まあそれはどうでも良いとして。

とにかく、あの一家は貴族に戻って、屋敷で一緒に暮らすことにしたらしい。

離れて暮らしてた家族は廻り合い、俺の楽しい人生ももとに戻る!

最高じゃねぇか!あいつのお守りから解放だッ!




◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


ガチャ。


いつも通り、俺はボロボロのシャツとパーカー、ジーンズを着こみ、安物のスニーカーを引っかけて家の扉を開けた。……すると。


「……何でお前がいるんだよ」

「……いちゃ悪いの?」


名門伯爵令嬢となったはずのお嬢様が、扉の前で仁王立ちしていた。


「お前、貴族様だろ?何でこんなボロアパートに、一人で来たんだよ」

「なッ…ここは、私もこの間まで住んでたのッ!ボロアパートじゃないわよッ!」

「ああそう言えば。で、こんなとこに一人で何の用だ?」


そう聞くと、あいつは得意そうに笑った。

…チョロいな。


「ふふふ、あのねぇ。私ねえ、今度パーティーを開くの!」

「…へー」


「フェアラート、参加しない?」

「……は?」


パーティーって、あれだろ?

なんか、貴族の仲間入りおめでとー的なやつだろ?

……何で俺が参加するんだよ。


「ってか、俺今、平民なんだがッ!」

「大丈夫!お父様に頼んだら、良いって言われたからッ!」


へー。意外と仲良くやってんだな。

……じゃなくて!

お前んち、そこそこ名門だろうが!

平民をそう簡単に参加させんなッ!


「わざわざ抜け出して伝えに来てやったんだから、感謝して参加なさいッ!」

「まさかの無断外出かよッ!」


駄目だこいつ!

貴族の自覚、まるでねぇ!


「仕様がねぇな……」

「来てくれる!?」


輝く瞳を向けられた。

…眩しいんだが。

俺は黙ってあいつを担ぎ上げた。


「ちょッ、……レディに何するの!?」

「家を黙って抜け出すやつは、レディじゃねぇッ!ってか、誘拐されるかもしれねぇんだから、二度とやるなッ!」


…ったく、手のかかるやつだ。カジノに行くのが遅れちまうじゃねぇか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ