10、仕事
「ねぇ、フェアラート。貴方、ニートじゃないのね?」
「は? …ああ」
「じゃあ、何の仕事してるの?」
あいつに勉強を教えてると、突然そう言い出した。
「……なんでも、良いだろ」
「だって、気になるじゃない。」
「…はー。そうやって無駄なことばっか首突っ込んでると、そのうち面倒なことになるぞ」
「良いから、教えて!」
……はあぁ。そんなキラキラした目を向けるんじゃ…。
「神様だよ」
からかってやろうか。
俺は大真面目な顔でそう言った。
まぁ、嘘じゃねぇからなぁ。
「神様ぁ?」
あいつは呆れたような顔をした。
んん、十歳にもなるとそこまで子供でもねぇのか。
「ふざけてないでよ。真面目に、こんな真っ昼間から私の相手してて、大丈夫なの?」
少し拗ねたような顔をしてそう言ったのを見て、俺は驚いた。
「へぇ。お前、反省とかするんだな」
「当たり前でしょ! ッ、無理やり家庭教師にして悪かったと思ってるわよ」
「そうかぁ。明日は雪が見れるかもなぁ」
「ちょっと!!」
おっと、言い過ぎたか。
だがまぁ、俺の仕事はまぁ……うん。
「ほら、俺、お前の願い、叶えてやっただろ?」
「叶って無いけど?」
「ぐっ」
う、まあそうなんだが……。
「ほら、じゃあ今ひとつ叶えてやるよ」
「じゃあ、仕事教えて」
「それは無理だ」
「……貴方、本当に駄目ね。はぐらかすし」
……仕方ないだろ。
「……俺は今、休業中なんだよ」
俺は小さい声でそう呟いた。




