表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
変わる変わる(かわるがわる)  作者: うさみごと
3/8

ズレとギャップ

第3章 ズレとギャップ


1


オダと町を見に行ってから、半年程が経っていた


その間にも、オダに提案を伝えたり、直接話しを詰めたりして、自分なりにあの町を良くしようとしていった


オダも上手く話しを仲介し続けて、オダから聞く話しによると、要望通りに町は変わっていき、町の人たちからも喜びの声が多く聞こえているとのことだった


ただ、一部分ではあるが、町の発展に対して疑問視するような声も聞こえてきてるとの事だった


そのことに関してオダは、全員が全員賛成する方が不思議と言い

トータルでみてプラスになるように考えていく方が良いとの事だった


ーとは言え、今までは良かれと思ってやってきたことに対して否定的にされるとあまりいい気分じゃないな


まあ、オダの言うように全体的に見てプラスになってれば、一部分の言うことは気にしなくてもいいのかな


もともと上手くいく訳ないと思ってはじめたことだし…



頭の中で、モヤモヤしたものが残りつつも、自分で自分を納得させるように、また町の事を考えることにした



ーその半年の間には、町の人々に聞いた話しを参考に提案をすすめていった


アトラクションに関しては、郊外の各地に点在していた為、全体が一つのテーマパークとなるように、アトラクション間のシャトルバスを出すようにし


シャトルバスに関しては、以前に提案した郊外を巡回するバスと運行を合わせるようにし


全てのアトラクションを利用する事が出来るパスポートを作り、全てのアトラクションを利用すると、次回のパスポート料金の割引や、商店街で使用出来る割引券との引き換えのサービスをつけるようにし


それぞれの郊外にそれぞれの特色がある温泉スパ施設を設置していき、遊んだ疲れや、日頃の疲れをリフレッシュ出来るようにし


給料に関しては、最低でも貯蓄出来るくらいの給与に一律設定し、そこに責任職手当や、仕事の実力により加算していくシステムにするように提案していった



前回のように、オダはすぐさま交渉にあたり、この半年の間にはほぼほぼ実現されていくことになった


ただやはり、どこかスッキリしない感があり、オダに再び町に行けないかを聞いてみる事にした



オダと約束をし、再び町に行ける事になり、前回と同じく、あの民家からオダと一緒に町へ向かう事になった



町に着くと、以前よりも郊外にも人々の姿が多く目につくようになっていた


中心部に向かうバスの中も以前よりも利用人数が増えている感があり、少しザワザワした印象を感じた


中心部に関しても、会社員風の人々がせわしく歩いていく様子が見られ、商店街の中も活気よく呼び込みする姿が見られ、町全体が熱を帯びているように感じた



ーいいんじゃないのか

町を見ての率直な感想だった


明らかに良くなってるように見える


オダの言うように、やはり全体的に考えたらいいんではないだろうか




…だが、そんな気持ちに反するように、町の人々の話しは否定的な声が聞こえてきた


オダは前回と同じように、人々にうまく入り込んで会話をしていく


そこで聞こえてきたのは、実力主義になった事で殺伐とした空気感が感じられるようになった事


アトラクションが均等に収入が見込める分、競い合いがなく、内容に代わり映えがあまり見られない事


落ち着いた雰囲気が好きで住んでいた地域に人々が往来するようになり、ゴミのポイ捨てなどの問題も増えてきた事


などなど…



ーなぜ

要望に対して提案していったことなのに



モヤモヤ感を解消するためにも再び訪れたはずが


町の人々の声を聞けば聞くほど、その感情はふくらんでいった


その感情に耐えきれなくなり、半日が過ぎる頃には、もう帰りたい旨オダに伝えていた




帰りの車中では相変わらず何も見えず聞こえずの状態だったが、逆にそれがますます自分の感情と向き合わせた


眠りに落ちる事なく、民家に到着すると、オダは中で少し話しをすることを提案してきた


少しでも気持ちを吐き出したい想いにかられていたオレは、声を発する事なくオダの提案にうなずき、民家の中へと入っていった


2


民家の中に入り、いつものように4人掛けのテーブル席に座ると、オダがコーヒーを用意して対面に座った


オダは気持ちを察するように

「…思い悩まれているようですね。


ただ、みなさんが共通してぶつかる壁…。


…なんて、なかなかしんどいですよね。」


オダは伝えたい事もあるようでも、今のオレの状態を感じ言葉を選んでいるようだった。


オダのいつもと変わらぬ落ち着いた雰囲気に感情が反応するかのように、率直に今の感情をオダに伝えようと思った


「…あの


オレは間違ってたんでしょうか…。」


絞り出すように出した声に

オダは包むような穏やかな声で答えた


「上手くいき過ぎる方が不思議ですよ。


そうでなければ、このような法律が出来る必要はないですからね。


間違っているのか正しいのかなんて、途中で見えていたら何もおもしろみがないじゃないですか。



…偉そうになってしまいました。


しかし、あまりに耐えられないというなら、一つの提案もあります。」


少しうつむき加減だった顔をオダの方に向けると

オダは変わらず穏やかな表情で答えをまっている


「…提案ですか?」


再び絞り出すような声でオダにたずねると、オダは少し間を置いてから話しをはじめた



「…はい。


町をリセットしてみてはいかがでしょうか。」



ー空気が一瞬止まるのを感じた


町をリセットする…?


オダが言っている事が、何を意味するのかが全く理解出来なかった


オダは変わらぬ表情で淡々と話しを続けている

「…ブン様には、途中の町からのスタートでした。


ですので、何もないまっさらな状態からの方が、何かとやり易いように感じます。


もちろん、あなたにはご負担かけることなくリセット業務を執り行わせて頂きますので、何もご心配することはありません…」


ー背筋に冷たい汗が滴るのを感じた


途中からオダの話しは頭に入ってこなかった


オダは何を言っているだろう


リセット…?

業務…?


その言葉に怖さを感じ

滴る汗が増えていくのを背中に感じていた



ーオダは話しを続けている

いつもと変わらぬ落ち着いた表情で…


いつもなら安心感を感じるその表情に

恐怖すら覚えていた


自分の中の時が止まったかのように、何も言葉を発せられないまま

オダの言葉が胸に痛みを刺していった



ーどのくらいの時間が経ったのだろうか

2、30分程の事が数時間のように長く感じていた時


民家の玄関の方から、ゆっくりと近づいてくる足音が聞こえた


「オダさん、その話しはあなたからではなく、わたしの方からお伝えする内容ですよ。


それに、お伝えする時期が随分と早いように感じますが…。」


ーどこか聞き覚えのある声だった


時が止まっていたオレは振り返る事が出来ずに

オダの方をチラッと見ると

オダは今までに見たことのないような驚きの表情をみせて

その男に答えた


「…!

申し訳ございません…。


…本日はどうなさったのですか?」


オダが少し震えた声で答えると


男はオレの肩を叩き

時が動き出すように、後ろを振り返ると

そこには声だけでなく、見慣れた姿の男が立っていた


「…おまえは




…トモ…!」



その姿を見ると、頭の中がグニャリと

気が遠のくような感覚にとらわれた



3


〜エピソード トモ〜


ボクには母がいない

正確にはいなくなった

「ごめんね」とだけ言い、ある日突然に家からいなくなった


父はいるが、いてもいないような存在だった

毎日遅くまで仕事に勤しみ

家にいる事はほとんどなかった


でも、家庭のために働いている父には感謝をしていたし、尊敬の念もあった


父が言う事には間違いがないと思っていた

父の考えに間違いがないと思っていた

父の言葉に導かれるように生き道を進んできた


勉強する事は苦には感じなかった

他人と話す事は苦に感じることが多かった


ボクは周りからすると頭が良いらしい

テストの答えを求めて群がる他人は多くいた

「ボク」を求めて群がる他人はいなかった


決められている気もしなかったし

決めている気もしなかった


…ブンに会うまでは



ブンは

自分では平々凡々に生きているという


でもブンは

決めて生きているように見えた


何事もまずやってみよう

それから考えようだった



ブンは「ボク」に話しかけてくれた

はじめて他人以上のものを感じさせてくれた



それぞれ働くようになって

なかなか会えなくなったけど

ずっとどこかつながっていきたいと思ってた




働くようになって数年

父から突然呼び出された


父が働きづめなのは変わっていなかったが

父が何の仕事をしているのかは全く知らなかった

話しは父の関係している仕事の話しという事だった


父の会社名は「ハーフワールドカンパニー」政府直属の仕事を請け負うこともあるという


今回の話しはまだ内密に進めていることで

実験も兼ねてお願いしたい事があるという事だった


父の言う事は絶対と育ったボクにとって返事は一つしかなかった



実験とは

ある町に住み

ある町の人々と触れ

ある町がより良くなる事を考え提案する



なんだそんな事か…

とその時のボクは感じた



でもそうそう上手くはいかなかった


まず他人と話す事に苦のあるボクは

まず、そこを越えなければならなかった


ただ、時が経つにつれ

その事も慣れてきた



問題はそこからだった


父の言葉のみで育ったボクにとって

より良くという事が全くわからなかった

何をもってより良くなのか



負のループに陥ると

実験は一度終わる


町が変わるのか

人々がいなくなるのか


自然の景色は変わらず

中身だけがポッカリしたものが再び用意される


その実験の繰り返しの中で

自分の中の何かが少しずつ壊れるような感覚にもなった


でも父の言葉を信じて

町の人々に流暢に振る舞い続けた



でもボクには町の限界があった


ある程度までいくと

必ず同じところでつまづいた



ある日、父に再び呼び出された


父は今度は仕事としてお願いをしてきた


会社の人事担当の一角を担うようにと



ボクの人事担当は

ある町の担当となる者との面談


面談をして結果を伝える

ただ、面談の時には会社のシステム等は伝えない

その言葉、その動き、考え

その事を伝えよ

というものだった




ボクはブンがでてきた

ボクにはなくてブンにあるもの


ブンなら…




ボクは

ブンに


久しぶりに電話をした












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ