表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で無職美少女に転生したオレと勇者の君と魔王のお前!  作者: 青木森羅
〜初心者ダンジョンと臨時のパーティ〜
34/37

神は赤毛の少女(元少年) を見ながら、笑う

 1




 プリートを出発して二時間程経っただろうか。


「へぇ、ソフィーさん以外のお二人は転生者の方なんですか」


 御者台ぎょしゃだいに座るえんじ色のキャスケット帽を被ったおじさんは、オレと鏡花キョウカの方を軽く見て話した。


「お二人共かわいいですし、向こうでは相当モテたんじゃないんですか?」


 鏡花は「いえいえ」 と恥ずかしそうに否定していたが、


「ハハハハ」


 と、オレからは乾いた笑いしか出なかった。



「オレの名前は乙桐信吾おとぎりしんご。日本に住むごくごく普通の学生だったオレは高校の校外学習を実施するキャンプ場に向かう途中、バスが事故を起こして死んでしまった。死んだはずの俺の目の前に現れたのは虹色の髪と眼を持つイケメン少年。彼、シェダムに「生き返らせてあげる」 と言われ蘇ったのは見知らぬ地『トリズモ』 だった。なぜか赤髪の女性へと生まれ変わってしまったオレの前に現れたのは、同じようにこちらに来ていた親友で勇者の「宮島鏡花みやじまきょうか」 と、魔王である「真鍋海斗まなべかいと」 だった。街で出会った科学者「ソフィー」 の協力を得て、三柱の神々との約束『この世界を平和的に世界征服』 を達成して、日本への帰還を目指す事になったオレ達。これからどんな冒険が待っているんだろうか?」


「シェダム、ひとりでなにを言っているのですか?」


 暗い神の世界で虹色の髪の子供と銀色の髪を持つ女性が話している、しかし少年の方は女性を見ずに遥か彼方を覗く様に手で眼鏡を作っていた。


「いや、なんでもないよ。女神プラケニア」


「ソイツの独り言はいつもの事ではないか」


 いつの間にか神の世界に現れた椅子に黒髪の男が座っていた。


「悪神ディアネグロ、そんな言い方はないだろ? まるでボクが変人みたいじゃないか」


「変人であろう。いや、神であるから変神へんじんか。にえの事などを覗き見る価値などない事をするなぞ、変神以外なんというのだ」


 シェダムは手で作っていた眼鏡を止め、ディアネグロの方を向く。


「ディアネグロ、君でもそんな冗談を言うんだね」


 と、薄く笑った。


「ボクはね、この世の中で一番人類が好きなんだよ。チョットした事でおこり、泣き、笑う。そんな彼らを見ているだけで、愉快なんだよ」


「それは神としての家畜を見る目か? それとも『人間神』 としての……」


「どちらでもないよ」


 ディアネグロの言葉に間髪を入れず、シェダムは返す。


「さ、彼はっと」


 再度手眼鏡をして地上の様子を窺う。


「うん? あの馬車は?」


 車輪と客車を繋ぐ部分がガタガタと揺れている。


「いい事思いついた。コレをこうしたら」


 シェダムは指をクルクルと回す。


「シェダム、下界に干渉したのですか?」


「女神よ、そんなに気にすることではないさ。一時間だけその部分の時間を進めただけでね」


 そう言って、満面の笑みを見せた。



「あちゃー、これは駄目だねぇ」


 四輪ある内の右前輪があるべき場所には何もなかった。


「きちんと整備して来たってのに、なんだってあんな外れ方したんだか」


 右前輪はガコンッ! と異音を放つと同時にしばらく馬車と並走し、ゆっくりと右に逸れて木にぶつかって止まった。おじさんは慌てて馬車を止めるとオレ達を下ろし、馬を近くの木に留めて馬車の様子を見ていたのだがあんまりいい状況じゃないってのは分かった。


「これは修理に部品がいるな、とはいえ予備の持ち合わせはないし。すまないけど、ここまでしか送れないな」


「そうですか」


 一緒に馬車を屈んで見ていたソフィーが立ち上がり、答えた。


「すまないね。それと向こうについたら誰か人を寄こしてくれたら助かるんだが」


「分かりました。伝えておきます」


「助かるよ。もう半分以上は来ているからあと一時間くらい歩けばブジョニアまで着くはずだ」


 ソフィーは外していたポーチを腰に付けなおし、オレと鏡花も剣を装着した。


「ここまでありがとうございます。じゃあ、行こっか?」


 そう言って歩き出したソフィーの後を、おじさんにお辞儀をして追いかけた。

 2話スタートです!

 感想や評価があると浮かれます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ