表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/12

軍議

幕舎の中で軍議が始まった。

「明日から、改めて司馬懿の魏を攻める事にする。諸将は準備等怠りない様に」

孔明が、盃を手に持ちながら言う。

諸将に騒めきが起こる。

「おう、丞相。今度はどちらを攻めるおつもりで?」

魏延(ぎえん)が問う。魏延、(あざな)文長(ぶんちょう)荊州義陽群(けいしゅうぎようぐん)の出身。元々は劉表(りゅうひょう)の配下であったが、劉備(りゅうび)新野(しんや)曹操(そうそう)に攻められた時、既に曹操に降伏していた蔡瑁(さいぼう)は、彼らを矢で攻撃した。

このため魏延は蔡瑁の行為に怒り、反乱を起こした。だが、民が傷つくのを恐れた劉備が江陵(こうりょう)に向かったため、魏延は合流できずに長沙(ちょうさ)太守の韓玄(かんげん)を頼り、その配下となっていた。

赤壁の戦いの後、劉備は荊州の南4郡の攻略に着手。韓玄の長沙には、劉備の命を受けた関羽(かんう)が攻め込んで来た。黄忠(こうちゅう)と関羽の一騎打ちの結果、黄忠は韓玄に内通を疑われ、処刑されそうになる。魏延は民や兵士を扇動して韓玄を殺し、劉備に降伏した。


孔明が今回攻める場所を言った。

「今回は、祁山(きざん)方面から魏を攻めてみようと思う……」

王平も孔明に理由を聞く。

「丞相、街亭(がいてい)はどうするおつもりで?」

街亭。かつて、あの馬謖(ばしょく)が山頂に陣を敷き大敗した場所である。

馬謖。字は幼常(ようじょう)襄陽(じょうよう)の名家で『馬氏の五常』の末っ子である。兄の馬良(ばりょう)と一緒に劉備に仕官した。劉備が白帝城(はくていじょう)で臨終を迎える際、『馬謖は口先だけの男、くれぐれも重要な仕事を任せてはならぬ』と言い残した。

だが孔明は馬謖を重用し、街亭の守りを命じた。その…結果が大敗(コレ)である。


馬謖は、副官の王平の諌めも聞かず単独で山の山頂に陣を敷いた。

それにより深刻な水不足に陥り、魏軍に投降する兵が続出した。血路を開くために、決死で山を降りるが、喉の渇いた蜀軍とそうで無い魏軍とでは、勝敗は明らかであった。

馬謖は魏延や王平達の助けを借り、何とか街亭から脱出できたが、失われた兵士の数は莫大なものだった。


孔明は大敗の責任を馬謖にとらせ、斬首しようとした。だが、姜維の一言で命を救われた。

「馬謖殿を処刑した所で、亡くなった兵士達の命は戻りません。また、有能な武将が少ない今、馬謖殿を一回の敗北で処刑するのはどんなものかと…」

馬謖は処刑されたかの様に見えた。だが、馬謖は生きている。この事実を知っているのは、孔明と姜維のみだ。


その孔明が、重い口をひらく。

「ああ。街亭は今や然程重要じゃなくなった。既に魏軍が堅固な陣を敷いているからな。そこでじゃ…今回は祁山の東西に、軍を二分してだな。攻めようと思う」

孔明の言葉が続く。

「私の見立てだと、東に郭淮(かくわい)。西に仲達が出てくるだろう。東はこの孔明が、指揮を執る。西は姜維に任せる。副将に王平を連れて行け。石山殿には、私の下について貰う。姜維。それ以外の将の配置は其方に任せる。以上だ」


孔明配下たち、騒めきと一緒にいろんな言葉が、飛び交う。

「こんどこそは、仲達の奴を縄目にしてやるぞ」

「街亭の恨み、祁山の地で晴らしてやるぞ」

「司馬懿め、首を洗って待っておれ」


孔明が、俺をチラッとみた。そして…また喋り始めた。

「今日は、我が軍に新たなる将が加わった日でもある。よいか皆の者、この者を今日から副軍師と任命する。石山殿、頼みましたぞ」


うえ〜⁉︎マジで?俺が副軍師?

なんか、凄い事になってねえか…俺。


俺には断る理由もない。

大人しく、副軍師の座受けるしか無いのか…

「孔明様。微力ながらお手伝いさせていただきます」


一同拍手が沸き起こる。


「ささ、軍議はここまで。あとは石山殿の歓迎の宴じゃ」


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ