ローブの正体…2
遅くなって申し訳ありません!少し熱が入ってしまって!学校もあるので更新出来ない日も出てくると思いますがそこら辺はどうかご容赦下さい<(_ _)>
俺はシャルと作戦を決めた後別れて宿屋に帰ってきていた。
「はぁ…失敗したら死ぬのか…やっぱり緊張するなぁ…まあ、やらなかったらどうせ俺は死ぬんだし、やらずに後悔するよりやって後悔した方がいいに決まってるしな。」
人事を尽くして天命を待つだな。
俺はそう思いベッドに潜り込む。
あっ、そう言えば報酬の話してないな……そんな事を考えながら俺の意識は夢の中に吸い込まれていった。
俺がベッドでまどろんでいるとドアの方からコンコン…コンコン…とノック音が聞こえてくる。
「…さん……カズマさん起きてますか?」
やべぇ!どうやら前回より色々とやってて疲れたから予想以上に長く眠ってしまったようだ。
「ごめん!すぐ開ける!ちょっと待ってて!」
これで前回の時と何かが変わったりしないかと思い俺は背中に冷や汗がつたうのを感じつつ、寝癖のついた髪を直しながらドアを開ける。
「やっぱりまだ寝てましたか」
ドアの向こうには微笑むクラウディアの姿があった。俺は冷静にクラウディアを観察してみる。そうしてみると俺は何故この子に心酔していたのかがわからなくなってくる。
(顔は可愛いとは思うが中の上辺り、例えるとクラスの中の可愛い女子位だろう、決して2次元や神秘的な可愛さ、美しさを秘めてる訳ではない……何故俺はこの子を好きだったんだ?)
俺がボーッとクラウディアの顔を見ていると流石に何かと思ったのか俺に問いかけてくる。
「えーっと?私の顔を何か付いてます?」
「いや、別に何でもないよ。ちょっと手が痺れる感じがしたから少し考えてただけ。」
「大丈夫ですか?辛くなったらいつでも言ってくださいね?」
クラウディアが心配そうな顔をして俺にそう告げる
(自分でやっといてよくそんな顔が出来るなッ!!…いや、ここは抑えないと…折角の作戦が台無しだ。)
俺は出来る限り平然を装いながら「大丈夫」と告げる。
そして俺達は、復讐という名のデートに出掛けた。
そこから先は前回と変わらない道のりを前回と同じ様に歩く、出来る限り前回と同じ様に振舞ったが少し緊張していたので、クラウディアの瞳にどう写っていたのかは俺にはわからない。ちなみにシャルは俺が宿を出た時から護衛を開始すると言っていたが今の所姿は見てない。もしかしたら騙されたのかも…という不安が俺の胸をよぎる。だが、これは信じるしか無いだろう……どの道俺にこれ以外の道はない。
そして俺は今、ギルドの酒場でクラウディアの説明をもう1度説明を受けていた。
(さて、ここからが本番だ…俺の演技力が試される時が来た。何かに感づかれて行先を変えられたりでもしたら目も当てられない)
俺は前回と全く同じ様に説明してくるクラウディアと少しづつ体が動かせなくなっていく感覚に少し不安になりながらも、慎重にタイミングを見計らう、そしてその瞬間は訪れた。
「あの、カズマさんお顔が青いようですが。どうかなさいましたか?体調が優れないようでしたらお休みになされますか?」
来たっ!俺は緊張でバクバク脈打つ心臓を抑え前回をなぞる様に台詞を言う。
「ああ、ごめん、迷惑掛けちゃって。」
「いえ!そんな事ありませんでは丁度近くにうちの商会があるのでそこで休みましょう。」
そう言ってクラウディアは立ち上がる。俺はそれを追いかける様に立ち上がる…そして俺は体に力が入らないと知っているので、重力に引かれて倒れていく体に無理に力を込めずそのまま倒れさせる。当然受身は取れなかったが顔に来る衝撃を予想していたからか前回程痛みは感じなかった。
「カズマさん!?大丈夫ですか!」
クラウディアが俺に駆け寄る。
よしっ!ここまでは完璧!チラリと前回シャルがいた場所を見るがそこにシャルの姿は無い、まあ、当然だな。俺はそれだけ確認すると前と同じ様に話を進める。
「ああ、大丈夫、でも何故か体が動かないみたいなんだ」
「まあ!誰か!この方を運ぶのを手伝って下さる方はいらっしゃいませんか!」
クラウディアがまた前回と同じ様にその台詞を言う。だが、その時の仕草は前回と少し違う気がした……。
そこからはトントン拍子で話は進んでいく。クラウディアが俺を運ぶ男を呼び、男は俺を担ぎギルドから出てクラウディアと一緒に路地裏に入っていく。
その時俺はちゃんと思案気な表情をしておいた。他は体が痺れて動かせないから何もやらなくてよくって意外とさっきよりも楽だった。
そしてクラウディア達はどんどん道を曲がり早くも前回俺が殺された小屋の前に着いた。そしてクラウディアはその小屋を……スルーした。
(なっ!?前回と違う!!何でだ!?)
俺はクラウディアが小屋をスルーした事に動揺して目を見開いた。
「ふふっその反応、やっぱり気付いてたんですね。」
俺のその様子を見てクラウディアが俺に話しかけてくる。
まずいまずいまずいまずい!!!!何時から感づかれた!?俺は何処でミスを犯した!?
俺のそんな思考などお構いなしにクラウディアと男はどんどん奥へ進んでいく。そしてそこには広けた場所があり……目測で30人近い数の人が(何かケモノ耳っぽいのも少なくなく居る。)その広場に集まっていた。
「まあ、カズマさんが何故私の計画に気付いたのかは不明ですが。まあ、カズマさんが何か手を打ってもこの人数なら押しきれますよねぇ?」
クラウディアが愉しそうに笑う……
その時俺は俺の敗北を悟った。
1対30しかもシャルは動けない俺を守るというハンデまである、どう足掻いてもシャル1人でどうにか出来る条件じゃないだろう、それにそもそもシャルが居るかどうかもわからない。これは…死んだな……
「まあ、そう簡単に絶望しないでくださいよ、ネタばらしはまだなんですから。」
クラウディアはそう言って誰に言われたでもないのに嬉々として話し出す。
「初めにカズマさんがおかしいと思ったのは街で案内をしていた時です。初めて歩く街の筈なのにもう1回来たことがあるみたいな顔をしてましたよね?それが初めに疑問に感じた所です、その次は私の魅惑魔法が効いてない様子だったからです。昨日までは魅惑されていたのに翌日には解除されていた…それだけでもおかしいのに対応が昨日のソレと変わりませんでした。他にも色々と気になる点はありましたけど最後の決め手はコレです。カズマさんがギルドで倒れた時の表情、それは何かをやりきった様な顔でした。それで私はカズマさんが何かを仕組んだ事に確証を得ました。どうです?私の計画に気付けたけどその上を行かれた気分は?悔しいでしょう?悲しいでしょう?己の無力さに打ちひしがれるでしょう?どうか気持ちのまま死んでください、さようならですカズマさん。」
クラウディアが満足気に話し終えた瞬間、俺を担いでいた男が俺を乱暴に落とす
「ああ!ちょっと!勝手に何降ろしてるんですか!降ろすならもっと丁寧に降ろしなさい!!服が傷ついたらどうするんですか!?」
クラウディアが男の方を向きながらそう文句を言うと男は……ゆっくりとクラウディアに向かって倒れはじめた。
「きゃッ!」
クラウディアが短く悲鳴を上げた瞬間、俺の視界がブレる。そして俺はいつの間にローブ姿の人間……シャルに抱えられていた。
「なるほどねぇ、カズマお前は失敗し過ぎだ」
俺はその声に心で安心しつつも、理性が騒ぎ出す、シャル1人じゃ勝てない!逃げろ!と、だが俺は声を出せない……どうにか逃げるように顔だけで示そうとするとシャルは少し笑ってこう言った
「言ったろ?俺が守るって」
その声を聞いた瞬間その場が闇に包まれた。
俺が突然の闇に覆われた事に驚いていると、次第に闇が晴れてゆく……そして闇が晴れた時、俺が見たものは地に伏す盗賊達の姿だった。
俺がその光景に言葉を失っていると(麻痺してるからどの道話せない)シャルは一言だけ呟いた
「依頼完了」
と……