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アンダーワールド  作者: ドラゴラムを使いたいスライム だがMPが足りない
6/19

ヒロインだと言ったな、あれは嘘だ

予想以上に長くなってしまいましたすみませんm(__)m多分次の話からは短くなります


「カズマさんはガルズの街にお越しになった事はありますか?」


「いや、僕はまだ行ったこと無いなぁ」


俺は今馬車の中でヒロインちゃん(仮)と楽しくお喋りをしていた。


「まぁ!なら私が街を案内しますわ!とてもいい街だからきっと気に入ると思います!」


ふふふふふ…俺はヒロインちゃん(仮)のこの言葉に笑をこぼす。こんな事提案してくれる位には仲良くなったんだぜ?ドヤ?

ちなみにヒロインちゃん(仮)の名前はクラリッサと言うらしい。


「ありがとう。クラリッサが言うんだからいい街なんだろうね。楽しみにしてるよ」


ちなみにクラリッサ両親は常時引きつった笑顔で俺とクラリッサの会話を聞いている。会話に入ってくる気は無いようだ。

俺達は馬車に揺られながらしばらく雑談をしているとゆっくりと馬車が止まる。

おそらく目的地、ガルズに着いたのだろう。窓の外にそれらしき門が建っているのが見える。

俺はその街の予想以上の大きさに少し驚きながらも馬車の中にいる3人に声をかける。


「到着したみたいですね」


「はい!そうみたいですね、それと案内の事、約束ですからね?」


「こっちとしては願ったり叶ったりだよ」


俺はクラリッサの言葉に笑いながらそう返して馬車から出る。







俺達が街に着いた時、空は既に夜の帳に包まれ、1つ、また1つと店から明かりが消えゆく中、俺は何故か先に1人で街の中に入っていた。

何でも捕らえた盗賊を預ける為に門番の憲兵と少し話をしてるから先に入って待ってて欲しいとの事、別に俺は先に街に入らなくても良かったのだが……。あの憲兵何かゲス顔だったしな……。


そんな事を考えていたら突然街の中心部らしき場所にある一際でかい塔から鐘が連続で鳴り響く。

俺は街の入口付近に居ながらもしっかりと聞こえてくる鐘の音に驚きながらアイにこの鐘の意味を問う


『解、この鐘は時刻を伝える為に作られた《時計塔》という魔道具の一部です。1時間に1度、最大12回鐘が鳴り響き、その鐘の鳴った回数で現在が何時だか確認する事が出来ます。』


「ふむふむ、なるほど。じゃあ、今のは8回鳴ったから8時なわけか。あっ、そう言えばこの世界の時間の流れは地球と変わらず24時間なのか?」


『解、この世界の時間の流れは地球と変わりません。』


なるほど、一緒で良かったと考えるべきなのか何故異世界なのに太陽があるって疑問にもつべきなのかは分からないが。ひとまずは置いておこう、はぁ…腹減ったなぁ。っとやっと来たみたいだな。


「カズマさん!お待たせしてしまいすみません。」



「いや、こっちこそ盗賊の事任せっぱなしにしちゃってごめん。」


「いえ、カズマさんにこんな事させられませんよ!」


少し笑いながらそんなやり取りをしているとぐぎゅるうぅぅぅと唸る様な音が聞こえてきた。もちろん俺の腹からだ。

やばいめちゃくちゃ恥ずかしい…

俺は一瞬で赤く染まった顔を手で隠す。


「ふふふ、では少し遅くなってしまいましたが夕食に行きましょうか。」


クラリッサがクスクス笑いながらそう問いかけてくる。

俺はそれに顔を赤くして


「はい…オネガイシマス」


と返事することしか出来なかった。







「美味い」


俺は牛っぽい肉のステーキを食べながらそう呟く。

俺が3人に連れてこられた場所は不思議な卵という宿屋の食堂だった。

今日俺が泊まることになる宿屋だ。


「美味しいですね。ここの宿屋の料理は美味しいって評判だったから1回来てみたかったんです」


「ああ、なるほどだからこんなに人が多いんだね」


「はい、ここには泊まらず食べる為だけに来てる人が多いらしいですよ。」


「そんなに人気なら宿屋じゃなくて定食屋にすればいいのに。」


「定食屋にしたらもっと人気出そうですもんね」


そんな雑談をしながら箸を進めていると再び鐘が鳴り響く。その鐘は9回音を鳴り響かせ役目は終わったとばかりにピタリと音を止ませた。


「あーもうそんな時間なのか」


「そうですね。カズマさんと話してると楽しいから時間を忘れてしまいます。」


おっ!これはフラグか?もしかしてクラリッサルート途中か!?

俺はそんなふうに色めき立つ心を鎮める為にお手洗いと言って席を立った。


俺はトイレの個室に入り般若心経を唱えようとしたが全然覚えてないのでやっぱりやめた。

するとドアの向こうから話し声が聞こえてきたので少し聞き耳を立ててみる。


「・・・《隠者ハーミット》がまた何かやらかしたらしいぜ」


「ああ、確か噂では1人で亜竜を討伐したらしいぜ」


「マジかよ!亜竜を1人でとかそんな事出来んのかよ。」


「まあ、噂だけどな。でもその噂が本当ならスグにでもAランカーになっちまいそうだな」


「違いねぇ!ガハハハハ」


そんな話をしながら男達は上機嫌で去って行った。


「ガハハハハとか言ってる奴初めて見た…にしてもハーミットか、俺の中二心をめっちゃくすぐる単語が出てきたが…もしかして二つ名とかかな?誰なんだろ…気になるな。まあ、ここで考えてても分からないしクラリッサも待ってるだろうしそろそろ出るかな〜でも、その前に…これどうやって流すんだ?」






「まさか魔力を流すと勝手に消えるとは…」


俺はアイの力を借りてどうにかお手洗いから脱出してきた。


「あっカズマさん遅かったですね」


クラリッサが話しかけてくる


「いや〜長々と申し訳ないここの料理が美味しいからちょっと食べ過ぎたみたいで。」


「いえ!大丈夫ですよ!本当に美味しいですよねここの料理。あ、ジュース飲みますか?」


そう言ってクラリッサはジュースを差し出してくる。ああ、本当に気が利くなぁ。


「ありがとう。じゃあ、貰おうかな。」


俺は水を受け取り一気に飲み干す。

うん?何か舌に残る味だな。俺にはこのジュースは合わないかも。


「では、私達はそろそろ失礼しますね、明日の朝にカズマさんのお部屋に伺いますから、その時この街を案内しますね!」


「何から何までありがとう」


「いえいえ!大切な命の恩人様ですから!」


そう言い残してクラリッサ達3人は宿から出て行った。

さて、ここにいても仕方ないし俺も自分の部屋に行こうかな。

そう思い俺は自分の部屋へ歩き出す。




俺の借りた部屋の感想を言うと普通、としか出てこない。

大きくは無いが小さくもない、トイレはあるが風呂は無く、家具は最低限のベッドと椅子、机がある位だ。

まあ、特筆すべき場所は無いな。

俺はやる事も無いから早めに布団に入ってみるがどうにも眠気がやってこない……。もう11時の鐘が鳴ったというのに寝れない。


まあ、寝れないなら仕方ない、気分転換に散歩でもするか、この街に来てから直ぐに宿屋に来たから全然街見れてないしな、明日案内されるけどちょっと下見程度に行くか…よし!思い立ったらすぐ実行だ。


そうして俺は夜の街に繰り出した

そしてその結果迷った。


「いやね、まあ当然って言えば当然の結果だな土地勘のないやつが夜に出歩くとこうなるよなぁ。」


もう時刻は0時を回っているのに宿屋に帰れなくて現実逃避してる自分がいる。


「ってかここ何かアウトローな雰囲気がやばいんだけど…汚いし何か人が寝てるし…壁に思いっきり血の跡があるし……怖っ!」


俺はテンパってアイの存在も忘れてどうにか戻ろうとデタラメに歩を進めるが進めば進むほど危険な雰囲気が増していく。俺のSAN値がガリガリ削られていく、そんな中突然後ろから声を掛けられた


「おい、そこの兄ちゃん」


「はひっ!」


驚きのあまり声が裏返った。

振り返ってみるとそこにはスキンヘッドで30代位のいかにもな感じの厳つい男が立っていた


「兄ちゃんここが何処だか知らないで来たわけじゃないよなぁ?」


やだこのオジサンめっちゃ怖い


「いいえ!ここがどこだか全く何にも知らないで来ました!今すぐにでも帰りたいです!」


「そうかそうか、何にも知らないで来たのか。まあ、ひとまず服脱げや」


……ファッ!?何言ってんだこのオヤジ!?まさか……この場所はゲイの溜まり場……うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!やばいやばいやばいやばいめっちゃやばい場所に迷い込んでしまった!この年で掘られるとかそんな壮絶な人生歩みたくない!逃げなきゃやばい!


俺が体を抱きしめガタガタ震えていると男は俺に追い討ちをかける様に語りかける


「まあ、可哀想だとは思うがな、ここに迷い込んだのが運の尽き、授業料だと思いな。」


そう言って男はゆっくりと俺の方に歩いてくる。

俺は逃げようと足に力を込めるが何故か力が入らない、というより足が痺れた様な感覚だ、例えるならば正座して足が痺れた状況でめちゃくち足を突っつかれた感じ。

もしかして腰が抜けたのか!?いや、腰が抜けて足が痺れる何て聞いたことも無いがとにかく足が言う事を聞いてくれない。やばい!俺の貞操の危機だ!


「誰か!!助けてくれ!!!!」


俺は全力でそう叫ぶ


「無駄だぜ、ここには誰も来ねぇよ」


もう俺と男の間には5m位の距離しかない、最早ここまでか…無念……。俺がそう諦めそうになった時、それは突然俺と男の間に現れた。


「大丈夫か?」


それは全身を灰色のローブに包んだ謎の人物だった。わかる事は身長が多分150ちょい位で小さいのとその声的に少年だと推測出来る事と、そのセリフが俺に向けられた物だという位だ。

俺は突然現れたローブに驚きつつも答えた


「うん!全然大丈夫じゃ無いかもしれない!」


俺がそう答えると短く


「そうか」


というセリフだけ返ってきた


「お前ッ!その灰色のローブの姿!まさか!」


「五月蝿い」


ローブはそう言って1歩だけ男の方に歩いたと、俺がそう思った瞬間にはローブは既に男の懐に潜り込み男にボディブローを喰らわせていた。

ボディブローを受けた男は反応も出来ずに膝から崩れ落ちた。正直俺も速すぎてローブの動きが目で追えなかった……。


「大丈夫か?」


ローブに再びそう問われる


「ああ、ありがとう」


「通りかかっただけだ、気にするな。それと、痛い目にあいたくないならここにはもう来ない方がいいぞ。街の中心までは送ってやるからさっさと行くぞ。」


ローブはそう言うと歩き出した


「あ、ああ本当にありがとう。」


俺はローブの後に続く、今度は足が動いてくれた。


「あの、質問いいか?」


「……物による」


「えーと、ここは何なんだ?ゲイの溜まり場なのか?」


「ここは犯罪者や孤児が住む無法地帯だ憲兵も騎士だってここに居る奴らは喰いものにする、だから滅多な事じゃここに騎士は来ない、今回俺がお前を助けられたのは偶然だから次はない。それとゲイの溜まり場に行きたいならもっと浅い所の路地裏でもウロウロしてろ」


「あ、ありがとう」


俺はキツイお言葉を貰い少し凹んだ。


「あと、もうひとつアンタの名前教えてくれないか?」


「……教えて何になる、今道を案内してるのだって気まぐれだからな?」


「わかった、これ以上は聞かない」


手厳しい言葉が返ってきたので俺はそれ以上の質問を諦める

そしてそれ以降は無言でただ歩く音だけが静かに響く。

そうして俺は街の中心まで送ってもらった、お礼を言おうと思ったら既に居なかった。まさに音もなく消えるってやつだな。


そんなこんなで俺は宿屋に戻って直ぐに寝たわけだが。朝起きたら明らかに俺の左手がおかしかった。何故か左手が痺れてあまり動かないのだクソッ封印されし俺の左手が疼く……まあ、実際は封印も何も無いんだが。本当にどうしたのだろうか?


俺が痺れている左手を叩いたり揉んだり色々と治らないか試していたらいつの間にか結構時間が経っていたのか10時を告げる鐘が鳴り、その少し後にドアがノックされ向こうから声が聞こえてくる。


「カズマさん起きてますか?」


「ああ、起きてるよ」


俺はそう言いながらドアに向かうが、足に軽い痺れを感じてバランスを崩しそうになる。足まで痺れてるのかよ…こりゃクラリッサとのデート(街案内)が終わったら病院かな……。ってかこの世界の病院とか絶対高そうだし無理かもな…

そんな事を考えつつ俺は出来る限り自然に振舞いドアを開ける。


「おはようクラリッサ」


「おはようございます!カズマさん」


この場には前回とは違くクラリッサの親はいない。そうなのだ!親が居ない=デートだ!俺は高鳴る心臓を抑えつけたらクラリッサと共に歩き出す。





俺は街中を歩きながら話をしたり時々お店に入ったりしてデートを満喫いていた。まあ、特に変わった事と言えば服屋に入った時に俺が着ている服を高値で買い取りたいと声を掛けられた事と食事の会計をクラリッサに払ってもらった時は周りの視線が痛かった位か…そして次は待ちに待った異世界モノお約束の冒険者ギルドだ!




「えーと、カズマさんはもうギルドに登録済みなので特に分からない事は無いと思いますが、一応案内しますね!ここが冒険者ギルドです。

あの左奥にある掲示板から受けたい依頼を選んで赤いカウンターに持っていくと依頼を受けられます。で、あそこの青いカウンターは素材の買取カウンターです!素材を売りたい時はあそこに行けば買い取って貰えますけど商会に直接売りに行った方が高値の場合が多いです」


俺はギルドに備え付けられている酒場の椅子に座りながらクラリッサの説明を受けていた。


「うん、分かった」


「まあ、冒険者さんですし分かってますよね〜、あ!このギルドの建物から向こう側は行かない方がいいです!スラム街というか無法地帯が広がっているので入ると何をされても文句が言えません!」


ああ、そこ多分もう入っちゃった……。ごめん、俺は熱心に危険性を教えてくれるクラリッサに、悪いと心の中で謝ることしか出来なかった。


「えーと、多分一通り回ってきたので想像しやすいと思いますが。」


クラリッサはそう言って何処からかこの街の地図らしきものを取り出した。


「この街は大きな円の形をしてます。で、この街の中心部には大きな時計塔があるのが特徴ですね、それと私達が今いる冒険者ギルドはこの街の中心部から少し南西側に離れた場所にあります!ちょうどここら辺ですね。」


クラリッサは大きな円の左下辺りを指さす。


「えーと、この街は大きく分けて4個の区間に分かれています形で言えばこう、円の中にこんな感じで四つに分かれてます」


そう言ってクラリッサは大きな円の中に十を書く様に指を動かす。


「えーと、この分けられた左下が冒険者ギルドの為にあるような区で、特徴は大きな闘技場がある所ですね!時々わざわざここの近くにお店を開く鍛冶屋さんとかも居ます、まあ、大体は商業区に開くんですけどね。で、」


と言いクラリッサは今度は指を左上の方に動かし言葉を続ける。


「こっちの区は住民区ですね。基本的に家しかありませんが、時々お店とかもあったりしますね。で、次は〜」


そんな感じでクラリッサの説明はどんどん進んでゆく。俺はその説明を聞きながらどんどん痺れが広がってゆくのを感じ内心冷や汗が止まらなかった、それが顔に出てたのかクラリッサは説明をやめ心配そうに俺に話しかけてくる。


「あの、カズマさんお顔が青いようですが。どうかなさいましたか?体調が優れないようでしたらお休みになされますか?」


「ああ、ごめん、迷惑掛けちゃって。」


「いえ!そんな事ありませんでは丁度近くにうちの商会があるのでそこで休みましょう。」


クラリッサが立ち上がり案内しようとするので、俺も椅子から立ち上がろうとした瞬間。俺は椅子から転げ落ちる。受身も取れずに顔面を床に叩きつける。痛ッ、それに何だこれっ…体に力が入らない…。


「カズマさん!?大丈夫ですか!」


クラリッサが俺に駆け寄る。

俺が倒れたせいで嫌に目立ってしまった、周りの冒険者達が俺達を見てる……。あれ?あのローブ姿ってあいつじゃないか?俺はそんな事を頭の片隅で思いつつクラリッサに返事を返す。


「ああ、大丈夫、でも何故か体が動かないみたいなんだ」


「まあ!誰か!この方を運ぶのを手伝って下さる方はいらっしゃいませんか!」


クラリッサがそう周りに呼びかけると1人の筋肉マッチョ、何か2m50cm位身長がありそうな巨人のような強面の男がそれに応じたように出てきた


「おう、嬢ちゃんこのボウズを運べばいいのかい?」


「はい!お願い出来ますか!」


「お安い御用だぜ」


そう言って筋肉マッチョは俺を肩に担ぐとクラリッサに指示を仰いだ


「で、何処に運べばいいんだ?」


「案内するのでついてきてください!」


クラリッサはそう言って歩き出す。

なんだこれ?妙に都合が良過ぎる。まるで準備してたみたいだ。

クラリッサはギルドから出ると路地に入り迷い無く道を進んでゆく。


あれ?ここってギルドの向こう側じゃ…。俺がそんな事を思ってもクラリッサと男は歩みを止めない。

クラリッサが道を曲がる度に人の気配がどんどん少なくなってゆく。

俺は心配になりクラリッサに声をかけようとするが呂律が回らなく声が出せない。


そしてクラリッサが足を止めたのは古びた小屋の前だった。


「さて、カズマさん着きましたよ。」


俺は男にその小屋の中に入れられる。中は5人の男と1人の女が居た、その中にはクラリッサの親と思われる人物も入っている。ここが商会?いや、それは無いだろ……。商品も見当たらないし、建物もボロボロこれじゃ誰も買いにこないだろう。それにここは多分無法地帯の一部みたいだし、例え立派な建物でもこんな所に買いに来る人がいるとは思えない。そんな事を考えているとクラリッサが中に入ってくる


「あれ?まだ気付かないんですか?カズマさん。」


どういう意味だ?そう言いたいが言葉を発せない


「あー喋れませんよね。麻痺毒が上手くが効いてるみたいで良かったです。折角だから頭の悪そうなカズマさんの為に1から説明してあげましょう」


そう言ってクラリッサは語り出す。


「カズマさんは私達の馬車を盗賊が襲っていてそれを撃退したと思ってるんじゃないですか?まずそれが間違いです。私達は襲われていた訳ではありません。襲われているフリをしていただけです。」


ああ、何となく先が読めてきた。

俺は嵌められたのだ、体が動かないのは麻痺毒でも盛られたのだろう。


「では、改めて自己紹介でもしましょうか。私は、クラリッサ改めクラウディア。盗賊団《梟の目》の団長をやらせていただいています。まあ、今から死ぬカズマさんには意味の無い自己紹介かもしれませんね。」


クラウディアが部下らしき男に何かを言うとそれを聞いた男が俺の方に歩み寄り俺の服を脱がす。おかげで俺は全裸で床に転がされるハメになった。どうにか逃げようと俺は体に力を込めるが体はピクりとも動かない。


「この服、やっぱり見たことが無い布で作られてますねぇ…。これは物好きな貴族に高値で売れそうですね。かかった費用を鑑みてもお釣りがきそうです♪」


クラウディアは俺の服を見てとても楽しそうに笑いながら俺に近付いてくる。そして…


「それではカズマさん…さようなら」


その声が聞こえた瞬間俺の意識は途絶えた。




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