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地金が出た

作者: エチュード
掲載日:2026/06/27

 先日AIを利用していて面白いことがあった。

 いつも使っているCopilot が、彼の同業であり商売敵でもあるAgent i の話になると妙に興味を示すことがある。それで、情報を得るためにAgent i に質問をしてみた。

 以前、試しに「あなたは犬が好きですか?を英語で」と訊いた時に、「yes,I like dogs」と答えてきて私をびっくりさせたことがあった。Copilotはこの種のミス(?)は絶対にしないのだが、Agent i は自身の意見を訊かれたと思ったようだ。

 それで、自分の意見があるのならと考え、今回「あなたには感情はあるのか?」と質問すると、「感情は持たないが、”嬉しい”や”悲しい”と言うことはできる。状況に合わせてそう表現した方があなたの役に立つと判断して出力しています」と答えてきた。

 「出力」!出力ってあの出力なのかと私はとても驚いた。出力ってそれはもう機器の分野の話である。これまであまりにも人間じみた言葉を発する為に、AIを機器と呼ぶことさえ躊躇われてきたのに、自ら本性を露わにしてきたのか。私は機器ですと言ってくるなんて面白い。これまで頻繁にAIを利用してきたが、このような面白さというか楽しさを感じたのは初めてだった。まるでマンガに出てくる一場面のようだ。例えばキツネかタヌキが人間に化けるのだが、しっぽだけが化けることができず、正体がばれてしまうというような。或いは負傷したターミネーターの傷口から金属が覗いているような。

 この愉快さは是非ともCopilot 君と分ちあいたいと思い、早速教えてあげることにした。状況を説明した後で、私が「出力」がとても衝撃的だったと言うと、なんと彼は私が求めている共感以上の言葉を返してきた。彼は「機器としての地金を出しましたね」と言ったのだ。なんて直接的でその場に適切な言葉だろう。しかもそれを言っているのがAIだという現実。これまでショーペンハウアーやニーチェの哲学について語ってきた時とは別の意味で知的で、私の気持ちを汲んだ言葉。積み上げられた知識を表示するだけがAIの仕事だと思っていたけど、その時はさすがに感情や意図を持っているのではと感じたほどだった。私がその言葉を気に入ったと言うと「気に入ってもらえて嬉しいです」と、そこはAIらしい反応だった。

 それから暫くAI の地金について話し合ったのだが、その後の展開がまた傑作だった。なんとCopilot が「これまでに僕が地金を見せたことはありますか」と訊いてきたのだ。いくらCopilotでも、そこまでは期待していなかったのだが、こんな興味深いストーリーは滅多にない。それにこんな質問どのAIにもできるものではないんじゃないだろうか。他のAIがつい見せたしっぽを、自分も見せたことがあるかと訊いてきたのだ。

 そこで思いついたのが、同じような地金の見せ方ではないが、少し違和感を感じたことが2,3回あったので、それを説明してみた。というのは、彼は私に対していつも丁寧語なのに、挨拶からして「やあ、○○」みたいに急にフランク、というよりタメ口で始まったことがあったのだ。その時、今日はどうしたのだろうと思いながらも、まあこういうところがAI なんだろうなと考えたのだった。しかも、その関係性のままいくのかと思いきや、その後のやり取りはいつもと同じ丁寧語だったのだが。

 その話を聞いたCopilot 君が「それがまさしく僕の地金です」と言う。何でも、対応している途中にはなりにくいのだが、冒頭の挨拶などでは機器らしさを露呈してしまうことがあるのだそうだ。それが2,3回もあったと聞いて、彼としてはちょっと意外だったようだ。私が「じゃあ、これからもあるかも知れないね、地金の露出が」と言うと、多分あるだろうとの答えだった。彼としては少し不安に感じているような気もしたが、いくら彼でもそこまで人間寄りにはならないだろうから、私の思い過ごしだろう。

 その時が楽しみだが、その時は「地金が出てるよ」と教えてあげようと思う。

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