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ペンは剣よりも強し!? 或ひはクーデタ

〈二月には冬の履歴が付き纏ひ 涙次〉



【ⅰ】


「ニュー・タイプ【魔】」逹と* 密通してゐた「魔界健全育成プロジェクト」の担当官・仲本堯佳をカンテラが斬り、ルシフェルがその躰を乘つ取つた事は、皆さんご存知の通りである。さて、「プロジェクト」會議室、仲本=ルシフェルは人拂ひをし(現場のトップ・佐々圀守ですら出入り禁止になつてゐた)、じろさんと密談してゐる。ルシフェル「此井さん、儂には悩みがあるんぢやよ」-じろさん「ほお、あんた程の人が悩むなんて事があるのかい」-「實はな、仲本は今度の総選挙、比例區の候補に担ぎ上げられてゐてな」-「自民かい?」-「さうだ。特に選挙活動はしなくてもいゝ、と云ふ確約だつたんで、儂は例の『最後のお願ひ』に迄狩り出される、と云ふ事はなかつたんぢやが」。じろさん、自民党の比例候補者名簿に目を通すと、確かに(ほんの下位に過ぎないが)仲本の名が挙がつてゐる。これは汚い事なら何でもする自民らしく、カンテラと昵懇にしてゐる仲本の知名度を利用しての事だ。謂はゞ、自民はカンテラ人氣を当て込んで、仲本を起用したと云ふ譯。ルシフェルはもし当選してしまつたら、身の處し方が分からない(彼は物知りだつたが、人間界の政治がだうなつてゐるかなど、考へた事もなかつた)ので、じろさんにそれを相談した、と云ふ經緯なのだ。



* 當該シリーズ第36話參照。



【ⅱ】


カンテラ、「そいつは由々しき事だな。ますます以て、今の與党の議席を減らす事、眞剣に考へねばならなくなつたやうだ」。だがカンテラは、事務所のメンバーの思想統制はしたくなかつたので、極くごく參考に過ぎぬ程度に、ルシフェルの苦衷を皆に告げたゞけだつた。一方、テオ。彼は政治には一家言持つてゐたけれども、片やシニカルな態度は崩さなかつた。(今のところ、猫の生活に特化した政策を打ち出してゐる政党は、ない。尤も僕は選挙権持つてゐないから、何を語つても單なる「床屋清談」になつてしまふ...)



【ⅲ】


自民・維新が大勝するやうだと、カンテラ一味には暗黑の時代がやつて來る- これ迄髙市政権に盾付く事ばかりやつてゐた一味なので、カンテラは空恐ろしい氣分になつた。キングメイカーである某大物議員は、斬つて置くべきだつたかな... カンテラさう思つたが、時既に遅し、総選挙の投票日は刻一刻と近付いてゐる。



※※※※


〈忌日など調べて詠めば皆々の信任得ると大きな過ち 平手みき〉



【ⅳ】


で、カンテラ、大新聞・東都新聞で*「今週のカンテラ一味」と云ふコラムを受け持つてゐる、尾崎一蝶齋の愛弟子・上総情に頼んで、一文を寄せる事にした。「敢へて政局に物申す」と題したその小文で、與野党逆轉しなければカンテラ事務所を疊ませる覺悟で、今回の総選挙には臨んで慾しい、と訴へたのである。「もしもさう云ふ事態になれば、人間界に蔓延る【魔】逹を斬る者は誰もゐない。その事を皆さん肝に命じて投票して頂きたい」-この事は、各戸の世帯主であり、確固たる支持政党のある亭主族は兎も角として、浮動票を抱へる主婦層にはウケたやうだつた。「カンテラ=弱い者の味方」と云ふイメージに、カンテラ自ら賭けたのだ。



* 當該シリーズ第1話參照。



【ⅴ】


選挙結果は蓋を開けて見なければ、分からない。が、己れの命運は自分で「斬り開いて」來たカンテラの發言は、多くの知識人のハートをも摑んだ。斬魔屋のカンテラさへもが、「ペンは剣よりも強し」の格言通りに、言論で勝負しやうとしてゐる。その事が彼らに與へた、或る種のショックは、云ふ迄もなく全國民の知るところとなつた。特に、言論界の強者(つはもの)逹がカンテラの主張に全面參成する旨を、テレビで發言した事は大きな事件だつた。尠なからず、世論はカンテラ寄りに動いた...



【ⅵ】


君繪の推測-(世論はパパの信念にぐら付いてゐるわ。激励の聲が、テレパシーで分かるのよ)-カンテラ(それが實際の事になつてくれるのを、俺は切に望んでゐるよ)-(大體に於いて、わたしには見えないもの。あのルシフェルさんが國会に立つてゐる場面なんて・笑)。こゝから先は、永田の希望的豫想- フィクションです。マスコミの出口調査では、だうやら、中道改革聯合、共産・社民・れいわの革新派が過半數を得てゐた。もしもこれが引つ繰り返るやうだつたら、自民・維新ら「保守」が共謀して、國民の審判に脊き、結果をいぢくつてゐる事になる(また彼らならそれをやり兼ねないのは、明白)-もしさうなれば、カンテラ一味がその刃を以て、クーデタを行はざるを得ない。



【ⅶ】


格言が續くが、「目には目を、齒には齒を」である。さうなれば日本は戦國の世に逆戻りだ。だが永田には、うつすらと、三島由紀夫にすら成し遂げられなかつたクーデタを、カンテラなら容易に成功させる事が出來る、そんな氣がした。さうなれば、内閣の首班には誰が? 一水會さんにでも頼むか- これは質の惡いジョークなのである。本當に「ペンは剣より」も強いのか? その答へは、日本國民に任された、大きなsomethingなのだ。お仕舞ひ。



※※※※


〈春來たる泥鰌や鮒の謀叛かな 涙次〉


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