表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/15

第十二話 学術都市ソフィア


「わぁ……! すごい、本がいっぱいです!」


俺とルナは、国境を越え、大陸有数の知識が集まる学術都市「ソフィア」に到着した。

道中、ルナの【不幸招来】によって「橋が落ちる」「落石が降ってくる」「突然のゲリラ豪雨」といったトラブルに見舞われたが、俺のステータス5000の力で全て「ハイキングのついで」のように解決してここまで辿り着いた。


「ここなら、ルナの呪いを解く手掛かりが見つかるかもしれない」


「はい! 私、諦めません!」


ルナも旅を通して少しずつ明るくなっている。

俺たちはまず、この街での活動許可を得るため、ギルド支部へと向かった。


「いらっしゃいませ。この街での活動登録ですね?」


ギルドに入ると、眼鏡をかけた知的な雰囲気の受付嬢が対応してくれた。

カウンターには、高価そうな『鑑定水晶』が鎮座している。


「では、ステータスの確認をさせていただきますので、こちらの水晶に手を……」


(マズいな……)


俺は冷や汗をかいた。

この高性能な水晶だと、「レベル-50」なんていう異常数値が出たら、即座にバレてしまう。

どうやって誤魔化そうか……と考えていた、その時だった。

ガタッ!

ルナが不安そうに俺の背後に隠れようとして、うっかり近くの棚にひじをぶつけてしまった。


「あ……!」


その瞬間、ピタゴラスイッチのような連鎖が始まった。

棚の上に置いてあった重たい本がバランスを崩して落ちる。

落ちた本が、床に置いてあったモップのを弾く。

モップがシーソーのように跳ね上がり、カウンターの上の花瓶を倒す。

倒れた花瓶から大量の水が溢れ出し……

バシャアアアアッ!!!


「ひゃあっ!?」


大量の水が、高価な『鑑定水晶』に直撃した。

魔道具は水に弱い。水晶はビカビカッと嫌な光を放ち、プスン……と煙を上げて沈黙してしまった。


「あ、あわわわ……! す、すみません! ごめんなさい!」


ルナが真っ青になって謝る。

受付嬢は、ずぶ濡れになった水晶を見て呆然としている。


「こ、故障……!? まさか、ちょっと水がかかっただけで……!?」


ギルド内が騒然とする中、俺は「これ幸い」と助け舟を出した。


「す、すみません! 連れがドジなもので……! 修理代は払います! だからその、登録の方は……」


「あ、いえ……こちらの管理不足もありますし……。水晶が使えないとなると……」


受付嬢は困った顔で、手元の羊皮紙を見た。


「仕方ありません。今回は特例として、自己申告のデータで登録させていただきます。以前のステータス通りでよろしいですか?」


「はい! レベル1のままです! 全く成長してないんで!」


「……そうですか(レベル1でここまで来るなんて、運がいいのね……)。では、手続き完了です」


俺は修理代として金貨を置き、ペコペコと頭を下げてルナを連れ出した。


「ふぅ……なんとかなったな」


ギルドを出て、俺は大きく息を吐いた。

ルナはすっかり落ち込んで、猫耳をペタンと伏せている。


「うぅ……ごめんなさい、カイさん……。また私のせいで……」


「いや、むしろ助かったよ。あのまま測定してたら、もっと面倒なことになってたからな」


俺はルナの頭をポンポンと撫でた。

結果オーライだ。彼女の【不幸招来】は、時として俺の「隠蔽工作」の役に立つらしい。


「さて、気を取り直して。この街には『あらゆる呪いに精通した変わり者の賢者』がいるらしい。まずはその人の研究所を探そう」


「は、はい……! 次こそはご迷惑をおかけしないように、じっとしてます……!」


そう言って歩き出したルナが、何もないところでつまずきそうになるのを、俺はサッと支えた。

前途多難だが、退屈はしなさそうだ。

俺たちは、街外れにあるという賢者の研究所を目指して歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ