始まり
大学の食堂にて。
「今日の課題できたー?」
「部活今日19:00までだから終わったら呑みに行こ!」
学生たちの賑やかなおしゃべりをBGMにして、2人の事務員が日替わりランチを食べていた。
そのうちの片方ー茶髪で少し癖っ毛の若い女性事務員が、もう片方にこしょこしょと話しかけた。
「日下部せんぱ〜い、最近流行ってる噂もう知ってますか?」
「噂? 実は学務課の課長がズラだったのがバレたこと?」
話しかけられた日下部ー長い白髪を綺麗に三つ編みポニーテールにした女性事務員は味噌汁を啜りながら問いかけた。
「んもう、違いますってば!ていうかそんなのみんな知ってますよ。学長に関するお話です!」
「(ズラのことみんな知ってるのか…)は?学長?何?」
「実はですね…御影学長のお気に入りの学生さんが2年にいるらしいですよ!!なんかファンクラブの会長さんがハンカチキィーしてました!」
「(リアルでハンカチ噛むのか)やばいじゃん。」
「御影学長。外つ国の某超エリート大を飛び級で卒業後、本学の学長に就任。古き伝統を尊重しつつも新たな改革を取り入れる見事な経営腕は国内外でも評価されている。現在28歳にして独身…どこぞの少女漫画かってくらいのハイスペですねー。ファンクラブの会員数百いくとかなんとか…」
「そんな人のお気に入りって(色々と)大変な気がするけど」
「この前見かけたんですけどめっちゃ可愛かったですよ!黒髪ロングでお人形みたいで!」
「ふーん…あの子みたいな?」
「そうそうあの子‥って本人じゃないすか!しかもなんか揉めてる…??」
「(げ、めんど修羅場か)巻き込まれたくないからお先に。」
巻き髪の女子とその取り巻き2人に囲まれた女学生を見て、ため息をついて日下部は席を立った。
「じゃあごゆっくり」
「それフラグっていうんですよ…」