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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第三部
97/122

第95話 灰

「―――」


黒色と緑色の焔が私たちを見る。

操縦者のハイエンドは一体、何を思ってその姿を私たちに見せたのだろう。


「――殺す。」


怒り心頭。

私たちに対する侮辱か?それとも、春斗に対する侮辱か?

どちらにせよ、いい気分ではない。


『総員、落ち着け』

「…」


御影先生からの言葉が耳に入る。

そうだ…落ち着こう。怒りのまま刃を振るえば相手の思うつぼだ。


『落ち着いたな、では…あの鉄屑を殺すぞ』

「…え?」


一瞬の激怒であまり周りを見れていなかったが、ふと御影先生の方を見る。


『…』


御影先生の怒りか、はたまた殺意か何なのか分からないが…御影先生の周りの空気が歪んでいる。それに、御影先生の顔は見たこともないような顔をしている。

額には青筋を浮かべ、唇を噛み締めてしまったのか口から血が垂れている。

間違いない、ブチ切れてる。

その隣にいる柊木先生も同じような感じになっている。

真顔。両目に光がない。冷酷に、淡々と敵を屠るような者の顔つきをしていた。

はっきり言おう。


(先生方が一番怒ってますよね!?)


なんて言ったら殺される気がしたので…黙っておこう。

でも、私も、私たちも同じ気持ちだ。

私たちの為に死んでいった春斗を真似するのは、非情に腹が立つし侮辱と感じる。

なら…殺す。


『総員!アンノウンを生きて帰らせるな!!確実に殺せッ!!』


御影先生の指示と同時に全員でアンノウンに攻撃を仕掛ける。

幸いにもアンノウンの武具の生成で他のハイエンドは一匹も居ない。

ある意味、総攻撃のチャンスとも言える。


「―――」

『ふん!』


御影先生とアンノウンが正面からぶつかり合う。


『…』

「―――」


その正面からぶつかり合った衝撃が周囲へ電波する。


『援護します』

『頼む』


淡々とした指示のもと柊木先生の援護射撃がアンノウンに放たれるが。


「―――」


篝火を納刀し、背中の輪から村雨と白露と取り出して放たれた弾丸を二本の刀で弾いた。

私の武器を使っているのだが…流石に弾丸を弾く技量は私にはない。

しかもアンノウンは御影先生と柊木先生に襲いかかるが、私の動きとは全く違う動きで刀を振るっている。

…何故だろう。


(あの振り方に見覚えがある…ような)


いや、今は気にするな。

確実に…倒す!


「はぁぁぁぁっ!」

「―――」


アンノウンが御影先生たちに意識を割いている間にインパクトブーストで、接近し横に一閃。


「くっ!」

「―――」


村雨と村雨がお互いに火花を散らしながらぶつかり合う。

…何だこの力。

お互いに拮抗状態のままで、一歩も譲らない。

AGを軽々しく弾き飛ばす力があるはずなのに何故互角のまま鍔迫り合いが起きる…?

しかも…なんだこの感じは。


『葵さん!避けてくださいまし!』

「!」


フレヤに言われるがままに、村雨を横に流し離れる。


『春斗さんへの侮辱は…許しませんわッ!!アクセラレータ…シングルポイント!』


「―――」


フレヤの専用アビリティのアクセラレータがアンノウンの操縦者を目掛けて放たれる。

すると村雨と白露を輪の中に戻し、次に構えたのはレベッカのアサルトライフルだった。


「――アルタースイッチ」

「え…」


機械音の声がアンノウンから聞こえてきた。

その声とともに焔の装甲の一部がパージし、アクセラレータのレーザーを回避しつつ地面を滑りながらスプライトへの射撃。


『何てスピード…!』

『僕の真似は許さないよ!』


レベッカがアンノウンに向かって射撃を行おうとしたが。


――カァァァン!!


『ビット!?しかも…アレは!』


先程のアルタースイッチでパージした装甲が、フレヤの操るビットと同じような形に変形しレベッカや後ろから射撃する射撃部隊を目掛けて放たれる。


『やらせないわよ!水津ちゃん!』

『うん!』


雪華さんと水津の氷結界と水結界が後ろにいる射撃部隊とレベッカに氷の障壁を作り出し、ビットの攻撃を防いだ。

だが間髪入れずにアンノウンは動く。


「――アクセラレータ」


輪にアサルトライフルを戻し、フレヤのアクセラレータを装備しチャージする。

そこを。


『フレヤ様の武器で…春斗の恰好で友人たちを傷つけるなぁァァァ!!!』

「―――」


アイヴィーが聖剣を握りしめて振りかざす。


――ガキッ!


『なっ!?』


なんとアンノウンは左手で聖剣の刃を直接、握りしめた。

ミシミシと音が聞こえてくる。


「――オンリーワン」

『!?』


チャージしているアクセラレータをそのまま空中に置き、輪からシグルドを構え、アイヴィーを目掛けて突きや薙ぎ払いといった連続攻撃を繋いで行く。

知っての通りアイヴィーの専用機『ランスロット』の専用アビリティのオンリーワンは連続攻撃を仕掛ければ仕掛けるほど武具にエネルギーが収縮されてゆく。

つまり、あのアンノウンが使うシグルドにはハイエンドのエネルギーが集約していっている。

現に槍先に緑色の粒子や閃光が集まりつつある。


「―――」

『くっ!?』


槍先から粒子が溢れ出し、槍の先端が聖剣を滑っていきアイヴィーに突き刺さりかけた所で。


『やらせません!』


柊木先生がアンノウンとアイヴィーの間に入り、シールドで槍を防いだが。


『何て衝撃!?』

「―――」


衝撃を受け流すことが出来ず、吹き飛び少しよろける。


「――アクセラレー」

『させませんわ!』


アクセラレータを回収し、よろけた柊木先生を目掛けてレーザーを放とうとしたがフレヤがアクセラレータを撃ち抜き、アンノウンの手から下へ落ちていく。

そこを…!


「はぁぁぁぁっ!!」

『穿て!!』


私と御影先生でアンノウンに武具を振りかざす。


「――クリスタル」

「消えた…!?」

『私の専用アビリティだ!光の屈折を利用し透明化する!だが…光の屈折を起こさず単騎で透明化だと…?』

「何処だ…?」


周囲を見回す。

だが…透明化されてはどうしようも。


『そこだ!!』


アナスタシアが急に明後日の方向にパンツァーカノーネを撃つ。

すると。


「―――」

『炸裂弾を…素手でだと!?』


透明化を解除したアンノウンがそこにいた。

アナスタシアがいち早く透明化したアンノウンを捕捉し射撃を行ったが、炸裂弾を素手で受け止められてしまう。


「――蒼刃剣」

「!!」


ついに私のアビリティもか…!

…?


(握らない…?)


輪の中にある蒼刃剣を取り出そうとしたアンノウンの手が止まり、動きも完全に停止した。


「…?」

『何故止まった…?』

『機能は停止していません。しかし、何故』

「――オンリーワン」


アンノウンは再度動き出した。

アイヴィーの聖剣を握りしめた。


『来るぞ!』

『待ってアナスタシア!』

『どうしたレベッカ!』

『射撃部隊の方に新たに出現したハイエンドが向かって…!』

「―――!!」


射撃部隊の方を見ると大型のハイエンドが襲いかかろうとしたが。

一瞬のうちに真っ二つになった。


「!?」


切り伏せたのは…アンノウン。

オンリーワンのチャージを私たちに向けたのではなく、仲間であるはずのハイエンドを狙い、切り裂いた。


『何なの…?』

『何故、仲間を殺してまで敵を助けるのかしら…』


あの行動原理は何なんだ。

一体、何が目的で…。


「――破壊実行」

「何だと!?」


今度は急に助けた射撃部隊に襲いかかり始めた!?


『止めるぞ!』

『了解!』


全員が射撃部隊と合流し、アンノウンを止めにかかる。

もう焔の状態ではなく、獣のような形状になっていた。


「きゃあっ!?」

「貴様ァァァァァ!!!」


一人一人と傷つけられていく生徒たちを見て御影先生は一目散にアンノウンに向かって特攻する。

それに続き、私たちも応戦しようとする。

だが。


「―――!!」

「なっ!?」


御影先生と戦っているのに尻尾についたブレードを伸ばして他のAGを無尽蔵に切り刻んでいく。


「みんな、避けろ!!」


ふたつのブレードのうち、村雨と白露で1つを抑える。


「なんてパワー…!」


キャッスルの時のアジダハーカ並の力で徐々に後ろへと押されていく。

そして。


「があっ!?」


飛脚の体制が完全に崩れ、IGD学園の障壁に叩きつけられてしまう。

保護機能のお陰で私へのダメージは少ないが、機体へのダメージがマズイ。

エネルギーも…殆どが無くなっている。

あの短期決戦でさえ、アンノウンの攻撃力があまりにも高く、シールドエネルギーは先程の衝撃でほぼなくなり、ブレードが私の機体を切り刻んでいく。


「くっ…!」


シールドも、ヘルスも尽きかけブレードが私に突き刺さろうとしたが…刺さらなかった。


「…?」


すると私に向けられたブレードは明らかに殺せそうな私を見逃し何処かへと戻っていった。


『葵さん!大丈夫ですの!?』

「あ、あぁ…何故か見逃された…」

『見逃された…?機体の方は』

「もう動けない。ヘルスエネルギーも、パワーエネルギーも殆どない、それに機体のダメージが酷く動けない」

『なら撤退したほうが…きゃっ!?』

「フレヤ?!」


私は急いでAGのビジョンシステムを起動し、専用機のみんなのバイタルを確認する。

…一人を除いて、脈拍はある。だが機体の反応が一機一機と失われていく。


ーーー


砂埃が晴れ、周囲の状況が分かるようになった。

結論で言うと…IGD学園防衛線は、大失敗だとわかる。


「あり…えない…!?」


防衛線にて戦った全AGは全て大破され、修繕がなければ戦えない状態にまで破壊されてしまった。

今、現在この場で立っているモノは…アンノウンのみ。


「―――」


全員を見下すかのように鎮座しているが…一向にトドメをさそうとはせず、ただそこに立っているだけ。


「―――」

「…!」


立っていたアンノウンが遂に動き出した、しかも私の方へと向かってくる。


「葵…さん…!」

「ダメだ…葵…!」

「葵…!」


一歩一歩近づいてくるたびに恐怖が身体中に巡ってくる。

…なぁ春斗、お前はこの恐怖を知りながらも私たちの為に身を削り、命を捨てたんだな。

やはり、お前はいつも私の前にいる。

隣ではなく、前に。


「あお…い」

「葵ちゃん…!」

「くっ…!」


アンノウンの手が私に伸びてくる。

あぁ、これで私は終わりなんだな。

…良くも悪くもない人生だった、春斗。


(私も、そっちに)


――ガシッ。


「…?」


目を開ける。

すると。


「!?」


私はアンノウンに抱えられていた。

このまま握りつぶされるのかと思ったが、そうではないらしい。

私を抱えたままIGD学園へと歩いていき、城壁の入口に私をそっと置いた。


「…」

「―――」


何もしてこない…?

私を置いて、そのまま歩きだし他の生徒や先生を一人一人懇切丁寧に運び入れていく。

そうして、しばらくの時間が過ぎ全ての大破されたAGと共に全員をIGD学園に運び入れたアンノウンは。


「―――!」


そのまま空へと飛び去って行った。

私たちにトドメをさすのではなく、怪我を負った私たちを避難させるかのように。


「…」


空へ戻っていくアンノウン。

何故か、その景色が…懐かしく思えた。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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