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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第三部
94/122

第92話 立ち上がりし残された者

翌日。


「…」


空気は静寂かつ最悪。

無理もない。


「みんな、来たみたいね」


雪華さんの計らいの元専用機持ちたち全員が生徒会室に集められていた。

勿論、未だ立ち直れなかったフレヤ、アナスタシア、水津を連れて。


「…」


特に、この三人はかなり深くまで傷を負っている。

三人とも春斗のお陰で今のように生活できるようになっている。ある意味恩人に近いが、今はどちらかというと呪縛にも近い。

…私もフレヤ側の人間になっていたかもしれない。

だが、私は春斗に意志や立ち上がる想いをくれたからこそ上を見上げることが出来る。

この三人には立ち上がるきっかけがない。だからこそ、こうしてみんなと話そうと言うわけらしい。


「さて、三人とも。大丈夫?」

「大丈夫に…見える…?」

「全然よ、今すぐに抱きしめたいくらい」

「結局春斗に守られっぱなし…だった…」

「フレヤ様…」

「…アイヴィーは大丈夫ですの?」

「私は春斗の意志を失わないようにするだけです」

「私は…どうすれば」

「アナスタシア…」

「…私は、臆病者だ。あの時の春斗に手を…伸ばせなかった」

「それは…みんな同じだよ」


三人とも各々の理由で項垂れている。

なれなかった者、迷う者、動けなかった者。

三人は後悔している。

私は…何て声をかければいいんだ。


「…なぁ、葵」

「なんだ、アナスタシア」

「1つ…聞きたい」

「…」

「春斗は…最期、笑っていたのか」


…今でも覚えている、忘れられるわけない。


「優しく…笑っていた」

「アイツは私と約束してくれたんだ、私が笑顔で過ごせる場所を守ると…だが、春斗が居なければ意味が無いだろう…!」

「…」

「私に…笑える場所を作ってくれたのは…」

「ねぇ、アナスタシア」


そこへレベッカが入る。


「もし、仮になんだけど。春斗がここに帰ってきたら笑って迎えられる?」

「当たり前だ…」

「…でもそれじゃあ春斗は喜ばないと思うな」

「…何だと?」

「春斗はアナスタシアが笑っていられる場所を守るために戦ったんでしょ?でも、もう…春斗はいない」

「レベッカ…貴様…!」


アナスタシアは先程のレベッカの発言に対して怒りを露わにし立ち上がろうとした。


「でも春斗がいなくても…みんなやアナスタシアが笑えてなかったら、一番悲しいのは春斗だと思う」

「!」

「知ってるでしょ?僕たちの知る春斗がどんな人か」

「…」


そうしてアナスタシアは考え込んだ。

みんな知っている。春斗がどんな奴か。

自分がどうなろうとも皆を守る、心配をかけまいと笑う。

そして…優しい。

現に春斗はアナスタシアが笑顔になれる場所を守り切っている。

今を生きているならいつかまた笑うことが出来る。


「…私が笑えなければ春斗は喜ばない、か。実際そうかもな」

「でしょ?」

「あぁ、思えば春斗もよく笑っていたな…ならまた笑えるようにならないとな」

「アナスタシア…!」

「泣いてばかりじゃ春斗が浮かばれない、ならまた笑えるようにハイエンドたちに立ち向かおう!」

「…春斗の笑顔」


次に反応したのは水津だった。


「私も…助けてもらったとき…春斗は笑ってた」

「助けてもらったってどの時に?」

「まだ…椿さんが春斗の中にいないとき」

「もしかして、赫蝶と水津ちゃんが戦った時かな」

「うん…右目から血を流してたのに、私より辛かったはずなのに…春斗は笑ってた」

「そうだったんだね」

「…それで思い出した、ヒーローになりたかった私とヒーローだった春斗の違い…それは覚悟と想い」


座って泣いていた水津は涙をぬぐい立ち上がる。


「なら…私も春斗のように想いをもつ…!春斗のお陰で私はクラスメイトたちとより仲良くなれたし…皆とも」

「水津ちゃん…」

「私も…戦う…!みんなを…守りたい!」

「…私は、どうすれば」


残りはフレヤだけになった。


「フレヤ様、私から1つ良いでしょうか」

「…なんですの」

「以前、春斗が自壊で苦しんでいたことを覚えていますか?」

「…」

「あの時、私がチョコを渡すことが出来ませんでしたが…フレヤ様が押してくれたことで渡すことが出来ました。なので、今度は私が貴方の背を押す番です」


座っているフレヤに目線を合わせるように、アイヴィーは座り込む。


「…春斗の意志をここで潰えさせては行けません。春斗のお陰で…私もこの場に入れるのですから。先程、レベッカの言っていた通り、春斗はよく笑う。ここで泣き続けたフレヤ様を見れば…春斗は悲しいはず」

「…ですが」

「それに…春斗は今も一人ぼっちです」

「!」

「命は潰えても、魂が宿った肉体だけはまだキャッスルに取り残されたままです。だから私は戦うんです、守られたこの命、守られたこの人生…その恩を返すためにキャッスルから春斗の魂を救い出し、せめて…この地で眠らせようと」

「…恩、ですか」


すると、フレヤは考え込んで言った。


「思えば、私は春斗さんに恩を返しきっていませんでしたわ。タイタンの時、ルゥサの件、そしてキャッスル…助けられてばかりではアレクサンダー家としても示しが付きませんわ」

「フレヤ様…!」

「私は全ての恩を返します。春斗さんのお陰で…皆様と話せましたから」


笑えるようになる為、今度こそヒーローになる為、今までの恩を返す為。

失っていても、春斗から受け継いだ『ともしび』は私たちの中にある。

私たちが代わりにその灯に火をともし、共に燃え上ろう。


「…やっと立ち直ったか、小娘ども」

「御影先生!」


会議室の扉がいつの間にか開いていて、そこには御影先生が立っていた。


「…何か言葉をかけてやろうと思ったが、いらぬ世話だったな」

「でもこういうのも青春ですよね」

「柊木先生も…」

「実は聞いていたんですよ、もしもの時は声をかけてほしいと雪華さんから」

「雪華さんが?」

「一応よ、一応。でも各々が自分なりの立ち上がる理由を見つけたようで安心したわ」


これで専用機持ちたち全員がきちんと立ち上がることが出来た。

…春斗、先に言っておく。

まだ私たちはお前を許していない…!

私たちがお前のことをどれだけ好きだったと思っているんだ!

この想いは天にも届いているだろう?


「…まだ綺麗な立ち上がりをして安心したぞ」

「綺麗な立ち上がり?」

「全員春斗の仇を取るために復讐者とかになったら笑えない」

「…春斗にドン引きされそうです」

「まぁだろうな、アイツがこの場にいる全員が復讐者になりかけたら何が何でも止めに来るだろう」

「あ、もういっそのこと全員復讐者になっちゃう?」

「な、なんで…?」

「春斗君が嫌でも帰ってくるでしょ?」

「…」

「流石に冗談。帰ってきた後に春斗君が大号泣しそうだし止めておくわ」

「…さて、全員が立ち上がったところで情報共有したいことがある。いいか?」

「はい!」


全員が返事をし、御影先生から送られてきた映像を確認する。


「…これは」


映っているのは人型のハイエンドとAG行動隊が戦っている。

人型のハイエンドは知っている。キャッスルにもいた奴らに間違いない。

だがこの映像を見る限り場所は地上、人型も…地上に降りてきたのか。


『行ける!相手は脆い!一気に攻め立てろ!』

『了解!』


隊長機のようなものに乗り込んだ人が叫び、人型のハイエンドたちを駆逐していく。

そこへ。


『―――』

『待て!…なんだ、あのハイエンド』


新たに人型のハイエンドたちが出現した。槍、剣、銃など様々な武装を持つハイエンドが居る中…明らかに一機違うものがいた。

武装らしい武装は持っておらず、他の人型のハイエンドに比べれば一回り大きく、前腕部が発達しているような感じだ。

両足にはレッグダガー、両手のアームのようなものには指の一本一本にクローが付けられており、腰の部分からは二本の尻尾が生えていて、その先端はブレードになっている。

そして背中にはジェット機構を供えた二本の翼のようなものが生えていた。

まるで獣のよう。


『―――』

『総員、来るぞ!』


両アームを地面に添えて、獣は構え、映像を撮っていた者の目の前にいたAG目掛けて突撃してくる。


『くっ!?何てちか…!?』

『―――』


獣と衝突し、鍔迫り合いをしたAGをクローでひっかきつつ、吹き飛ばした瞬間、尻尾で吹き飛ばした機体のレッグをからめとり射撃部隊目掛けてAGを投げ飛ばす。


『なんだ!?そのうご』

『―――』


射撃してくるAG目掛けて左右に回避しつつ、接近。

上に蹴り飛ばしながら回転し、その後ろにいたAGに尻尾のブレードで斬りつつ、上に蹴りあがったAGの顔面を掴んで地面に叩きつけた。


『く、来るな!?来る』

『―――』


次に狙われたのはカメラを撮っていたAG。

その獣に武器を振るうが蹴りで折られ、AGと肉体を勢いよく引きずられながら壁に激突。


『あぁぁぁぁ!!?』


そしてAGの両腕のアームとシールドエネルギーで獣の尻尾のブレードの連続の突き刺しを防ぐが、シールドエネルギーが底をつき、アームが完全に破壊され、ブレードが迫ったが…。


『えっ…?』

『―――』


そのブレードは操縦者を突き刺すことはなかった。

しかも、拘束を解いて他のAGを目掛けて走り始めた。


「…以上だ」


そうしてこの動画は終了した。


「このAG行動隊はどうなったんですか?」

「報告書によれば10機のAGの内、8機が大破。負傷者数名、重傷者ゼロ、死亡者もいない」

「…」

「そして、この人型でありながら獣のような動きをするハイエンドを今後は『正体不明(UNKNOWN)』と呼称する」

「アンノウン…」

「他の狼や鴉に比べると戦闘能力があまりにも桁違いかつ危険すぎるハイエンドなので呼称名を付けることとなった。忘れるなよ」


獣ことアンノウン。

人型のハイエンドに比べたら明らかに分かる戦闘能力の高さ。

…だが人を殺すことが目的では無いようだ。

でなければカメラの主をブレードで突き刺していたはず。

本来の目的は不明。


「…前に聞いたと思うがあと1日でIGD学園の壁にある迫撃砲の射程圏内にハイエンドたちの軍勢が到着する」

「先程のアンノウンは軍勢の中に居ますか?」

「今のところは確認できない。だが、乱入してくるとみていいだろう」

「…」

「とにかく防衛だ。IGD学園を守りつつ、アンノウンが乱入した場合は専用機持ち及び私と柊木先生で対応する、いいな」

「はい!」


ーーー


「―――」


やや傷がついたマンションのような建物の一番上で鎮座するアンノウンと呼ばれる人型ハイエンド。

その下にはハイエンドの軍勢。


「―――」


尻尾を靡かせて、ハイエンドの軍勢が向かう場所を見る。


「―――」

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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