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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第三部
87/122

第85話 決戦の幕は上がる

風が靡き、日が昇る。

これからの戦いを空から見守るようにお天道様が昇り始めた。


「…」


首にかけているネックレスを見る。

…父さんと母さんも俺の事を見守っているのだろうか。


「春斗、ここにいたのか」

「葵?」


屋上で黄昏ていると葵が屋上に来た。


「まだ集合時間じゃないけど…どうした?」

「それはこちらのセリフだ、何してたんだ?」

「…ちょっと色々と考えてた」

「?」


屋上のフェンスに手を添えると、葵も俺の隣に来て二人で太陽を見上げる。


「良い、日の出だな」

「正月は過ぎたぞ?」

「正月は初日の出だ。忘れたか?」

「あー…」


すまんな、去年の正月はタービュランスとして動いてたから忘れてたみたいだ。


「…」


…一応言っておく。

昨日はまともに寝れなかった。

どうしても青葉の事を考えてしまう。


『ごめんね』


涙の理由を知りたい、ハイエンドたちの理由を知りたい。

…正直色々な疑問点がありすぎて今の俺はまともに敵視できないんだ。

何故キャッスルのデータや見取り図を教えた?

何故攻撃タイミングを教えた?

何故俺をハイエンドに入れようとした?

何故泣いた?

と様々だ。


(直談判するしかねぇ)


何が何でも答えてもらうぞ、ハイエンド、青葉。


「なぁ春斗」

「ん?」

「…その、だな」


葵の言葉の歯切れが悪いなと思い、目を葵の方に向けると少し頬を赤らめてもじもじとしていた。


「この戦いが終わったら…私の話を、聞いてくれないか?」

「葵の話?今じゃだめなのか?」

「今じゃ…ダメなんだ」

「そうか…わかった、じゃあ戦いが終わったら教えてくれ」

「…!あ、あぁ!」


葵が俺に話したいことか…。

何だろう。剣道関係か、葵の親のことか…その辺か?

まぁ生きて帰ってこないとな。


「さて、そろそろ時間だし…行くか」

「…あぁ」


葵と二人で屋上の扉に手をかけて管制室に向かう。


(父さん、母さん。俺、行ってくるよ)


俺の家族の形見であるネックレスを握り、軽く念じた。


ーーー


『全員そろったな!』

「はい!」


時間通り校庭に集合。

この場には専用機持ち、そして教員の半分がここにいる。

残りの半分の教員はIGD学園の防衛やオペレーターとして動くこととなった。

ちなみに柊木先生は専用機持ち達の専用オペレーターとして、御影先生は全員のオペレーターとして動くようだ。

…あと最強である御影先生が待機する理由はその最強を攻めではなく守りとして使うらしい。


『何故私が出撃してはいけないんだ…』


と不満を零していたのを覚えている。


『では先に専用機持ち達にアレを』

「はい…!」


そうして水津が俺を含めた専用機持ちにアンブレラを手渡していく。


「使用方法は1から口頭だと難しいから、マニュアルを送る。それに目を通して…」


受け取ったと同時にアンブレラのマニュアルデータがAGに送られてくる。

すぐさまビジョンシステムで中身を拝見した。

…ふむふむ、左腕に付けるデバイスか。

左手を握るとアンブレラが展開され、正面からのレーザーを中和し防ぐことが出来る。

しかし…左腕が縛られるとなるとちょっと痛手かもな。

例として俺の焔と抜刀術が関係してくる。

腰に付いたホルスターで無理やり抜刀できるが、劫火が放ちづらくなるしそもそもの話、あんなデカブツに遠距離攻撃が効くのかどうかすら怪しい。

スターゲイザーなら行けるかもしれないが、水津曰く…。


『スターゲイザーは対エネルギーバリア用。キャッスルにダメージが与えられるかどうかってなると…多分無理。ハイエンドの装甲と同じであれば再生されちゃうと思う』


とのこと。

そういえば装甲関係のデータは無かったんだよな。

まぁ、そんなわけであのキャッスルに着艦するまではされるがままだ。

どれくらいレーザーを避けれて、どれくらい早く着艦できるかが鍵になる。

…あのゼフィルスの時と同じようにアタックは一回限り。


『では、出撃準備。吾郷、最終防衛プロトコルを起動しておけ、学園長からのお達しだ!』

『りょーかい!』


その声とともに学園の校舎中から重々しい音が鳴り響く。


「なんだぁ!?」


IGD学園を覆う白い壁がバカッと開きながら変形し始め黒い壁に変わり迫撃砲のようなものが壁の上に展開され、学園全体を覆うようにエネルギーシールドが出現し、先程まで居た校舎も変形し始め、AG射出装置が展開された。


『各員にゲート番号は振り割っている、該当するゲートに迎え!』


俺は…4番ゲートか。

他の専用機持ちの皆はそれぞれ別のゲートみたいだ。

4番ゲートまで走り、射出装置までたどり着いた。


『各員、AGを装備し射出装置にレッグを装着せよ!』


後ろで教員たちは訓練機を実戦用に改良させたAGを装備している。


「来い、焔」


俺は焔を展開し、レッグを装置に取り付けた。

カシュッカシュッとレッグから空気が抜ける音と装着される音が聞こえてくる。


『九条君、聞こえるかな?』

「吾郷さん?」

『そう吾郷技研の吾郷。君を含めた専用機持ち達がAGを装備して射出完了になったわけだからジェットパックを装備させちゃうね。じっとしてて』


吾郷さんからの通信が入り、言われるがままその場で止まる。

すると後ろからアームが伸びてきてジェットパックだと思われるものが背中に装着され始めた。


『さて、他の専用機持ちも聞いていると思うけど…ジェットパックの説明をしちゃうね。このジェットパックはキャッスルに着艦できるように計算された燃料が入っているけど、限度がある。この射出装置の速度、ジェットパックの速度を考慮して…大体1分半くらいかな?それくらいの燃料が入ってて、キャッスルに着艦できる距離まで近づける。でもキャッスルの攻撃がどれほど苛烈かわからない。要所要所は各々の判断に任せるから』


要は完全に近づけるかどうかは分からないってことか。

まぁ…そういうもんだよな。でもそのおかげでAGのパワーエネルギーの消費を抑えることはできる。吾郷技研様々ってところか。


『次に各装備の確認ね。レフトアームに水津ちゃん作のアンブレラを装着してる?』

「はい、装着済みです」

『皆から装着完了と聞こえたから次に移るよ。使用AGにインストールしておいた緊急脱出用粒子化装置の確認ね…ここは私がしておくからジェットパックがきちんと結合されているか皆、確認して』

「了解です」


ジェットパックの結合…うん、きちんとされているな。

稼働チェック。よし、直ぐにでも出れそうだ。


『もし不備とかあったら報告して』

「了解です…ふぅ」


不備は何一つない。今すぐにでも出撃できるくらい万全な状態だ。

…少し緊張してきたな。これから本気の戦いが始まる。

前のゼフィルスの頃に比べたら慣れたほうだが、緊張する物は緊張するぞ。


「春斗、大丈夫ですか?」

「椿…あぁ、大丈夫だ。でも出撃するときは戻っておけよ」

「勿論です」


椿が俺の身体から出てきて、心配してくる。

…ちょっと元気出た。


『全AGにジェットパックの装着完了、不備も無いようだね。さて…ここからは御影先生に任せるから』

『…総員、心構えをしておけ。水津、アレキサンダー。準備は良いな』

『はい…!』

『いつでも大丈夫ですわ』


聞こえてくる水津とフレヤの声。


『では、射撃準備を!』


御影先生の指示が聞こえたと同時に目の前のディスプレイにスターゲイザーと弾を装填している水津。そしてスコープを覗きながらトリガーに指をかけているフレヤが映った。


(頼むぞ…!)


◇◇◇


「照準合わせ…照準完了。目視での着弾確認…完了。水津さん、そちらは?」

「装填完了。もう少し待ってて」

「かしこまりましたわ」


スプライトを装備し、スターゲイザーを構えるフレヤと質量弾を装填し、各部位のエネルギーチェックを行う水津。


「…そういえばさ、フレヤ」

「何ですの?」

「このタイミングでいうのもアレ…だけど。春斗のどういうところが好きなの?」

「きゅ、急ですわね!?」

「ふと…気になった」

「はっ…!?こ、この会話は春斗さんには聞かれてませんよね!?」

「大丈夫、既に通信は切ってるから」

「ほっ…」


少し安心したフレヤは話す。


「私は昔に色々ありまして男性が嫌いでしたの」

「…」

「でも、春斗さんだけは違いましたわ。タイタンが襲撃した時、自分の事よりも私を逃がしてくれて…『俺は他の人を危険に晒して逃げることは出来ないから』と言ってくれましたわ」

「やっぱり…」

「やっぱり?」

「私を含めた皆が春斗の事を好きになったのって『守られたから』だと思う」

「そういわれればそうですわね…」

「…春斗って太陽みたいな人、だと思うな」

「太陽、ですか?」

「うん。いつも明るくて、皆の為に頑張って、困ったり悲しいときは必ず手を伸ばしてくれる…そんな春斗に私たちは惚れたんだと思う」

「…そうですわね。私たちは優しい春斗さんが大好きですもの」

「うん…でも負けない」

「えぇ、そうですわね」


例え友人でも、戦友でも皆はライバル。

春斗という太陽を独り占めにしたいと奔放する乙女たち。

そんな平和な戦いをまだ続けるためにも、ここで終わるわけにはいかない。


「装填完了及び射撃可能!フレヤ…!」

「かしこまりましたわ!チャージ開始!」


水津の射撃完了という声を聞いてフレヤはスターゲイザーにチャージを開始する。

スプライトからビットが飛び出し、バレル先端で回転しながら電撃を纏っていく。


――キィィィィィン…!


「チャージ率…20…40…65…80…95…100%チャージ完了」

「一撃で粉砕するためにリミッター解除を許可。オーバーチャージを開始して!…」

「了解ですわ!電源タービン、全リミット解除。オーバーチャージ開始!」


スターゲイザーの砲身が赤色から白色へと染まっていく。


「100…115…140…175…!」


白く染まっていく度に稲妻も走り出していく。


「200…240…275…300…オーバーチャージ完了!」

「射撃を!」

「ッ!」


フレヤはスコープを覗き、狙いを定めトリガーを…。


――引いた。


カチッという音とともにバレルの先端に稲妻と粒子が収着していき、赤熱化した影響かバレル付近の空気が歪んでいき…!


――ドキュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!!!!


赤熱化したバレルから雷電を纏った質量弾が超高速で放たれる。

スターゲイザーを支えた杭は質量弾を撃った衝撃を受けて少し地面にめり込み、バレルから撃った衝撃波が横に向かって放たれた。

質量弾はフレヤの狙い通り、バリアとキャッスル本体を目掛けて一直線に向かっていく。

そしてバリアに着弾。


――バキャァッ!!


五層のバリア程度で質量弾は止まらず、バリアに大穴を開けた質量弾は勢いがとどまることはなく、そのままキャッスルに着弾。


――ドゴォンッ!!


流石に貫通することはなかったが、キャッスルに大きな風穴が出来上がった。


「…キャッスルのバリアの貫通を確認!」

「やりましたわ!」

「うん…!とにかく、私たちも出よう!」

「えぇ…ここからが本番ですわ!」


◇◇◇


『キャッスルのバリアの破壊を確認したよ!』

『全ゲートの射出装置のロックシステムをパージ!…完了!』

『キャッスル陥落作戦開始!総員、出撃せよッ!!』


水津とフレヤがバリアを撃ち破ってくれた!

だが喜ぶのはまだ早い!むしろここからが本番だ!

俺の足元の射出装置がガコンと音が鳴り、火花を散らしながら前へ進んでいく。

そして俺は4番ゲートから射出されたと同時に背中に結合されたジェットパックが周囲の空気を吸い込み、燃料を燃やしながらタービンを回し推進力を生みだし、俺を空へと飛び立たせた。


「うぉぉぉぉぉ!!!?」


すさまじい速度だ…!操縦者保護機能などである程度の圧力は耐えれるが、来るものは来る。もうIGD学園の壁を越えていて、キャッスルに向かって飛んでいく。


――ヴィーン!ヴィーン!!


キャッスルから警報が聞こえてきた!


『対空砲が来るぞ!全員、回避に集中しろ!』

「くっ!!」


キャッスルから対空砲が放たれ始めた。

弾丸の雨が出撃部隊全員を襲う。

大きく体を捻って回避するとジェットパックの影響で姿勢を制御できなくなる可能性もあるし、速度による圧力で身体の骨とかが折れる可能性もあるから小さく避けないといけない。

集中、集中…!


「…っぶねぇ!?」


ギリギリ回避!絶対に当たったらヤバイ。


『1名被弾!』

「なっ!?」


どうやら他の教員の人のAGに迫撃砲が着弾してしまったようだ。


『安心してください、遠隔のバイタルチェックでは命に別条はないようです。すぐさま態勢を立て直させ、撤退させました』

「ほっ…」

『しかし、シールドエネルギーが一撃で破壊されます。ご注意を!』


命に別条がないようで安心したが、あの迫撃砲一発でシールドエネルギー一撃か、

つまり二発目を食らったらヤバいってことだ!


「くっ…!」


遠近法のせいか目の前にキャッスルはあるのに…全然たどり着かない!

あと…5.6km!


『九条先頭で残り5.6km!吾郷、あとどれくらいかかる!』

「着艦まであと56秒!」

『やっと一分切ったか…ん!?待て!キャッスル外周にエネルギー反応!』

『レーザー来ます!全員、アンブレラを展開し防いでください!』


柊木先生のいう通りにアンブレラを左腕に展開し、構える。

次の瞬間。


――ドキュゥン!!


レーザーの雨がこちらに向かって放たれる。


「くっ!?何て攻撃だよ!」


だが水津のアンブレラの素晴らしさも同時に実感できる!

正面からならどれほどのレーザーをくらっても目の前で中和されて消えていく。

このアンブレラが無かったら今頃俺は焦げ肉になっていただろう。


『全員、散開せよ!レーザーを一か所に集めるな!九条は先頭でそのまま行け!』

「了解…です!」


他のみんなの声は聞こえない。

というより話せるような状況じゃない!こんなレーザーの雨を食らいながらお互いの状況なんぞ話せるわけがない!

それに全員状況は一緒だからいう必要もない!


『春斗!大丈夫ですか!?』

「大丈夫…だけど、衝撃が左腕に来る…!」

『それと報告です、大半の教師たちが撤退しました。あと専用機持ちのみしか居ません!』

「だろうな…!」


こんな雨の中をアンブレラなしで接近することは無理に等しい。

身体中穴だらけになってしまう。


『…もう少しです!』

「あぁ…もう少し、だ!」


キャッスルが目の前いっぱいに広がってきた。

そうして俺はリボルバー型レーザー連装砲の雨を抜けて…。


――ガッシャン!


火花を散らしながらキャッスルに着艦した。


「はぁ…!はぁッ…!!ほ、本当に辛かった…」


キャッスルに着艦したことを確認し、一度座り込み呼吸を整える。

マジで死ぬかと思った…。


「休んでる…場合じゃないか!」


呼吸は最悪歩きながら整えればいい。

立ち上がってジェットパックを背中から取り外し、アンブレラもその場に捨てる。

吾郷さん、水津。本当にありがとう。俺はまだ戦えるぞ。


「九条春斗、着艦出来ました!」

『こちらも確認している。よく耐えたな、九条』

「他のみんなは、どうなりました?」

『他の場所で只今着艦成功しました』

『着艦完了したAGは全7機、焔、飛脚、スプライト、シトリン、レオン、海神、フロスト・クイーン、ランスロットだ。総員、各々の判断で制御室を目指し、迎撃システム及び攻撃システムを無力化せよ!』

『『『『『『『「了解!!」』』』』』』』


俺も…休んでられないな!


「うし!!」


両腕のアームを一時的に粒子化させ、両頬を叩き喝を入れる。

さぁ行くぞ!

近くにあったゲートを…ハッキングで開けられないかと思ったがここは敵の本拠地。

しかも迎撃してきたということは俺たちが向かってきたことは知っているはず。

となれば…既にバレていると思っていいだろう。


「ふん!」


ガッと扉の隙間に両手を差し込み、こじ開ける。

警報は鳴らない。

正面から突入開始。

しかし。


「!!」


大量の人型のハイエンドが待ってましたと言わんばかりに武装してこちらを見ていた。


「お出迎えにしては…随分と数が多いな!」


銃、槍、剣など様々な武器を持っている。

だが止まるわけにはいかない!



「な、何だこの数…!?」

「あら葵さん、この程度の数で怖気づますの?」

「…いや、むしろ燃え上がるぞ!」

「フレヤ様、葵さん…ハイエンドが来ますよ!」



「行かせないつもりだね!」

「あぁ、だが私たちに貴様らが敵うと思うなよ!」

「行くよ、アナスタシア!」



「水津ちゃん、行ける?」

「勿論…こんなところで止まれない…!」

「なら…お姉ちゃんも本気、出しちゃおっかな?」



「行くぞ、椿!」

『はい!』


◆◆◆◆


「突破するッ!!」


こうして。

雷撃と二刀と聖剣が、霧と数多の武装が、水と氷の世界が、焔と赫い蝶がキャッスルへ突入した。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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