第76話 正体不明の乱気流
「はっ!」
今は放課後。アリーナにて抜刀術の練習と軽い格闘術の訓練。
思えば最近、暁光来光を使った訓練をしていないことに気が付いたので本当に軽く行う。
メインは抜刀術の鍛錬だ。
心を研ぎ澄まし、抜刀。
抜刀速度、居合斬りの連度を上げるべく斬る。
抜刀したのち左足を前に出し、振り上げた刀をそのまま左斜め下に振り下ろす。
居合斬りの後の振り下ろしによる二連斬り。
「ふぅ…」
刀を鞘に収める。
自惚れかもしれないけど、抜刀術は結構取り戻せた気がする。
次に…。
「暁光来光!」
専用アビリティである暁光来光を発動し、視界の周りが歪む。
排熱機関を露出するからこその影響だけど…何というか心配になるな。
レーザークローとレッグダガーを用いたハイキックやパンチなどを軽く繰り出す。
格闘技関連はアナスタシアから学べばよかったと後悔。
『いい感じですね。私も嬉しいです』
「椿が喜ぶのか?」
『はい、とっても。初めて春斗と会った時から今に至るまでの成長を感じれるので』
「まるで俺の親みたいだな」
『春斗の親…』
「そこ、暗くならない。別に自虐ネタとかそういうので言ったわけじゃないから」
『…』
「…青葉の事か?」
『はい…あれから緑色の蝶の反応はありますか?』
「全くだ。花畑とかそういうのもない、自分の意思で出せない、予兆とかもない…打つ手なしだ」
俺の左腕に宿っているであろう緑色の蝶々、名前も分からない。
でも青葉が纏っていたあの蝶だろう。
あれからまた青葉からの連絡はない。時々、俺からもかけているが…電波につながらないところにあるみたいでコール音すらならない始末。
様子を見に行こうにも場所は不明。
どうしようもない。
「…変革」
「言っていましたよね。変革の時が近づいていると」
「あぁ。てか、一度AGを解除するか」
椿が俺の身体から現れたので、休憩がてらAGを解除しアリーナのど真ん中で座る。
「どうしたもんかな」
暗く成り行く空を眺め、呟く。
その時。
ーービーッ!ビーッ!
「!!」
突然学園中からサイレンが鳴り響いた。
「何だ!?」
『総員!戦闘態勢を取れ!ハイエンド4体!そして…タービュランスがこちらに向かってきている!!』
「た、タービュランス!?」
久々にタービュランスの名を聞いたが嬉しいと思えない。
ハイエンドと共にタービュランスがこちらに向かってきている…?
まさか…タービュランスは!
『聞こえるかしら、九条春斗君』
「テンペスタ!?」
急に俺の個人の通信にテンペスタからの連絡が強制的に繋がった。
『私も居るよダーリン♡』
「お前らの仕業か!?」
俺はすぐさまハイエンドはお前たちが仕向けたのかと思っていたが…。
『んなわけねぇだろ!それと手ぇ貸せ!』
「何…?」
どうやら違うみたいだ。
「何故俺に協力を願う!」
『九条春斗、申し訳ないけど私たちには時間がないの。取引しましょう』
「取引だと?」
『内容はこうよ。一時的に私たちタービュランスと協力し、ハイエンドの撃退あるいは撃破。もし成功した暁には…そうね、学園を守れることと今恐らく貴方が一番会いたいと思っている子を明け渡すわ』
「会いたい…まさか!?」
『桐生青葉、といえば分かるかしら』
「!!?!?!」
な、何でタービュランスが青葉を!?てか、その言い方…!
「青葉をどうするつもりだ!!」
『…』
「答えろテンペスタ!!」
『…九条君』
「…」
『貴方が了承しやすくなるように報酬を上乗せするわ。協力した暁には桐生青葉の身柄の明け渡し、そして…』
ーー私たちタービュランスの目的を明かしましょう。
「…は」
『て、テンペスタ!?それは』
『いいの。この子なら』
『え、何?テンペスタもダーリンの事狙ってるの?』
『誤解を生む言い方は止めて頂戴。とにかく…どうするかしら?九条君』
「…」
ーーやる。
『ありがとう九条春斗君。いえ…ストリーム』
◇◇◇
職員室。
「一般生徒は避難区画にて待機!専用機持ち及び四年生、三年生は全速力で校庭に集合しろ!」
放送機のマイクで叫ぶ御影先生。
「無いと思っていたが、まさかハイエンドはタービュランスのせいなのか」
「どうなんでしょうか…」
突然の襲来に額に汗を浮かべる先生たち。
そこへ。
『聞こえるかしら。こちらテンペスタ』
ジジッと放送のスピーカーを乗っ取られたかのような音が聞こえたと同時にタービュランスのテンペスタの声が学園に響く。
「テンペスタ!!」
『御影紗月、かしら。お久しぶりね』
「貴様…!」
『悪いけどおしゃべりに付き合ってられるほど私たちに時間はないの。ただその代わり1つ報告をするためだけにスピーカーだけを乗っ取らせてもらったわ』
「報告…だと」
『IGD学園のとある生徒に私たちから直々に依頼をさせてもらったわ。本人が欲しいであろう報酬を乗せてね』
とんでもない事を話し出すテンペスタに職員どころか学園中の全員が驚く。
『学園を守ることとあと二つは…本人の意志が無いといえないわね。じゃあ貴方たちはそこでゆっくりと戦いを眺めてなさいな』
「ど、どういうつもりなんでしょうか…!?」
「わからん…」
『行けるわね?』
ーーストリーム。
「なっ!?」
『あぁ…!』
テンペスタ、サイクロン、ハリケーン。
そして…焔を纏ったストリームがそこにいた。
「九条!?」
『テンペスタ』
『何かしら』
『あの子に、学園の生徒たちに剣を向けてみろ。直ぐにお前の首を斬ってやる…!!』
『えぇ、遠慮なくどうぞ。でも貴方が一番私たちの依頼の信頼性をわかっているはずよ』
『あぁ…嫌になるほどな』
『さて、無駄話はここまでよ。正直、不本意だけどストリームと機体を並べられるなら悪い気はしないわね』
『一緒に倒すよ、ダーリン!』
『はっ!タービュランスの恐ろしさ、テメェらに教えてやるよ!!』
その四機は学園ではなく、ハイエンドたちへ向かって進軍していった。
「…何故、九条が」
「それにあの子供もです。九条君は知っていたようですが…」
「とにかくあの子供を保護しろ。九条が守る行動を取っているとなれば関係性はあるはずだ」
「は、はい!」
「…」
◇◇◇
学園に向かって一心不乱に走り続ける青葉を見る。
『青葉…』
「椿、今は抑えよう」
『…』
「ここであのハイエンド共を潰さねぇと青葉も危ないし、学園にも危険が及ぶ」
『はい、必ず仕留めましょう!』
篝火を抜刀し、構える。
「ストリーム」
「何だ」
「私とサイクロンで右の2体を対処するわ。貴方はハリケーンと一緒に左の2体をお願い」
「了解。行くぞ、ハリケーン」
「うん!私とダーリンの共同作業だね♡」
「相変わらずついていけないテンションで何より…」
こんなんで本当にハイエンド計4体倒せるのか?
…それと、確認だ。
タービュランスの機体情報。
ラブリー・ハリケーン。
スターン・サイクロン。
アタラクティブ・テンペスタ。
分かる情報はこれだけか。
武装やらなんやらの情報は何一つわからないままだ。黒く塗りつぶされていて何一つ読めない。
相対するハイエンドは…緑色の閃光を放ち、翼はなく蛇やトカゲのような長く太い胴体を靡かせ、魚のような頑丈な鱗を覆う。
龍。
それに尽きる。これが二匹か。
お互いに螺旋し合い、天に昇り俺たちを見据える。
「…」
夕焼けが俺たちを照らす。
「「ゴォォォォォォォンッ!!!」」
二匹の龍の叫びが響く。
「行けるな?ハリケーン」
「勿論、だってダーリンが居るし」
焔とピンク色の雷が交差し、龍を見据える。
夕焼けの下。戦いが始まる。
誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします
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超絶不定期更新ですがご了承ください…




