表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第三部
76/122

第74話 原点を知る

「やっぱり流石というべきか!?」

「アナスタシア!」

『あぁ!』


訓練中。今回の対戦相手はアナスタシアとレベッカのペア。

初めて三者戦闘を行ったときから思っていたが、二人のコンビネーションは学園最強とも言える。本当に息の合った連携が…キツイ!

レベッカの近接戦闘とショットガン、そしてシールドの合わせ技にアナスタシアの迫撃砲の援護やレーザーダガーの連続攻撃。

凌ぐのは至難の業だぞ!?


「くっ!?」


アナスタシアの迫撃砲をギリギリ回避し、篝火を納刀しつつ左手に赫蝶を纏う。


「椿!」

『はい!』


左手に複製されたのはパイルバンカー。

大振りの攻撃だけど…この距離なら当たる!


「ふん!」

「…!?いつのまに!?」

「よそ見してる場合じゃないよ!」

「しまっ!?」


俺とレベッカの間にアナスタシアが割って入り、パイルバンカーを受け止めたと同時にレベッカのショットガンが火を噴く。


「いってぇ!」

『魔剣よ!!』


パイルバンカーがすぐさま魔剣に切り替わったのを確認したと同時に魔剣を握り、薙ぎ払う。


「うわっ!?」

「くっ!?力押しにもほどがあるぞ!」

「…これくらいやらないと二人には勝てないと踏んだからな」


本当に、隙が無い。

お互いがお互いを信頼し合うからこそ生まれる完璧なコンビネーション。

言葉なくても、伝わる想いか。


『負けてられませんね、春斗』

「…そうだな」


だがそれはこっちも同じだ。

幾千万の日々を、数多の戦場を椿と共に歩んだと思っている?

コンビネーションでもAGでも負けたくない…!

篝火を抜刀し構える。


「ふぅ…来い!!」

『言われなくても!』


レベッカからの弾幕を交わし、正面から衝突する。

篝火とシールドから火花が散る。

その間もレベッカとアナスタシアのお互いの動きに目を配る。

どんな戦法で、はたまたどんなタイミングで仕掛けてくるのかも分からない。


(足りない…!)


このままじゃ、ダメだ。

クソ!何でこんなにももどかしい気持ちになるんだ…!


『春斗!』

「くっ!」


シールドでいなされ体勢を崩され、レベッカの射撃とアナスタシアの迫撃砲が俺に直撃。姿勢制御が完全に帰ってくる前にレベッカのシトリン、アナスタシアのレオンの攻撃を喰らい続け…焔はシールドエネルギーが尽き、試合終了。


「…」


俺は負けた。

…自然と悔しい気持ちになるが、すぐにふっと悔しいというのは無くなった。

だが…ずっともどかしい気持ちになっている。

前の訓練でも思っていたが、俺の技は母の模倣。

この一本で強くなるのは良いが…このままでいいのかとずっと思っている。


「…何を焦ってんだ俺は」

『春斗?』

「何でもない。ほら次の戦いに備えるぞ」

『はい!』

「…」


俺はどうすればいいんだ…。


ーーー


訓練の日々を積み重ね、久々の一日休み。

今日も自主トレーニングに励むべきかもしれないが、今日は違う。

慣れ親しんだ門をくぐり、インターホンを鳴らす。

と同時に扉が開いた。


「おかえり、はるちゃん」

「ただいま」


今日は爺さんと婆さんの家に来ていた。

何故か?簡単だ。ハイエンドが出現する様になってからは国民一人一人に直ぐに避難できるよう準備しておく様にとお達しが来ていた。

要はそれの手伝いと、単純に会いに来たかっただけ。


「あれ?爺さんは」

「今は道場に居るよ、会いに行くの?」

「あぁ、帰ってきたしね」

「なら行ってらっしゃい。あ、今日は泊っていくの?」

「いや日帰り」


そういって俺は自分の荷物を玄関に置いて道場に向かって歩き始めた。

…思えばここで母さんの焔舞を見たんだよな。

由来も、本来の焔舞を知らず、模倣のままの力を振るってきた。

出来ることなら『本来』を知りたいと思っているうちに道場に着いた。

扉を開けると、そこには


「…」


真剣を持った爺さんが居た。

俺には気づいてい無いようだ。集中…してるのだろう。

そして爺さんは真剣を握りしめ、振るった。

いや…舞った。


「!!」


爺さんは刀を華麗に振るう。日が道場の中を照らし、刃を反射して銀色の軌跡を映し出す。

力強く、綺麗な剣筋。

…爺さんが刀を振るう姿を久々に見た。


「む?春斗、来ていたのか!」

「あ、うん」


俺が来ていたことに気が付いた爺さんは真剣を納刀してこちらを見る。


「なぁ爺さん、聞きたいことがあるんだけどいい?」

「どうした?」

「焔舞…って分かる?」


無性に聞いてみたかった。

先程の爺さんの真剣の舞を見た瞬間、思った事がある。

俺が模倣した焔舞に酷似していたのだ。全く一緒というわけじゃないが。

だが…母の技を知っているんじゃないかって思った。


「…あぁ分かるぞ」

「!」

「じゃが…わしからも1つ問いたい」

「な、なに?」

「春斗よ、お前は何のために刀を振るう?」


俺が…刀を振るう理由。


「守る為。友達も家族も、皆を守るために」

「そうか、お前もなんだな」

「お前も?」

「…夏樹も同じことを言っていた。守るために力を振るうと」

「母さんも…」

「話しておくか。春斗、そこに座れ。少しだけ昔話をさせてほしい」

「お、おう…」


言われるがままに、畳の上に正座し爺さんを見る。


「それで…昔話って?」

「お前のいう焔舞に関係する話じゃ。まずはっきりというが『焔舞』という技は…夏樹にしか使えない」

「どういうこと?」

「そこで昔話が入るんじゃ。お前には言っていなかったが歌方家にはしきたりがあったのじゃ」

「しきたり…昔の?」

「そうじゃ、わしのご先祖様から伝わる舞があるのじゃ」

「それが焔舞?」

「いや、それの派生先が焔舞というわけじゃ」


派生先が焔舞?どういう事なんだ?


「歌方家のしきたり。それは『(うた)(まい)』を習得すること」

「詩の舞?」

「そうじゃ、先程見たのなら分かるじゃろう。アレが詩の舞じゃ」


さっき爺さんが真剣で舞ったのが詩の舞…だから焔舞に酷似していたのか。


「その詩の舞を身に着けて初めて歌方家の者として扱われるようになるらしい」

「らしい、何だね」

「あぁ。詳しくはわからんし、今時こういう古臭い物はそうそうないものだろ?」

「俺は嫌いじゃない」

「…本当に良い子に育った。話を戻そう、そして詩の舞についてだ。恐らくだが…春斗、もう舞えるだろ?」

「完全は無理だよ…」

「多少舞えるだけでもいい、ちょっと舞ってみろ」


唐突な事を言われた。

急に舞ってみろって言われてもな…いや、さっき爺さんが舞っていた詩の舞は記憶の中にある。

やるしかないか。

爺さんから真剣を受け取り、抜刀。

右腕に重みがかかる。


「…」


そして、さっきの爺さんと同じように詩の舞を舞った。

流石にゆっくりと舞う。あの速度でいきなり舞うのはちょっと危ない。

…そして舞い終えた。


「流石、昔から春斗は物覚えが良かったからな」


パチパチと拍手をもらった。


「それでどう思った?」

「…本能的に思ったのは、何というか…凄く中途半端だなって。俺がゆっくり舞ったせいもあるかもだけど、始まりから終わりまで違和感がずっとあった。何か間違ってた?」

「いや何一つ間違っていない」

「ならこの違和感は」

「その違和感を感じれるか感じれないかで変わるんだ」

「?」

「とりあえず納刀」

「あ、ごめん」


鞘に真剣を収めて爺さんに返したのち、畳の上で正座する。


「それで違和感が感じれるか感じれないかって」

「せっかちだな」

「ご、ごめん…」

「いや怒ってるわけじゃない。とにかく質問に答えなくてはな。この詩の舞は他の人から見れば綺麗な舞だが、舞った人は違和感を感じる舞じゃ」

「…それは舞としていいのか?」

「まぁそれを言われたら何も言えなくなるが、大切なのはその先だ」

「先?」

「自身に詩の舞を取り入れた後、1つ言われることがある」


ーーその違和感のある舞を自分の為に完璧にしろ。


「自分の為に完璧に…」

「結論で言うと、詩の舞はいわば中途半端な作品にしてありとあらゆる舞の原点でもある。夏樹が用いた『焔舞』も、原点は『詩の舞』。夏樹自身が自分の為に完璧に仕上げたものがソレじゃ」


だから焔舞と似ていたんだな。


「詩の舞の派生先は、母の場合だと焔舞。他の人はまた別のってこと?」

「正解。焔舞は夏樹にしか舞えない。何故か?自分自身の為の舞だからだ」

「…」

「まぁ春斗が焔舞を舞えるのはきっと夏樹と克樹に愛されて育った息子だからだろうな」

「なら何故『焔舞』って名前に?」

「名前か?流石にそこまでは分からないぞ」


そこは本人に聞かないとダメか、聞けないけど。


「じゃが…本当かどうかは分からないが、思い当たる節がある」

「思い当たる節?」

「克樹と夏樹が作り上げたAGとやら。確か夏樹が乗っていたAGは鎧が燃えていたはず」

「…」

「あの時は夏樹がアレに乗って焔舞を舞って見せた。本当に綺麗な舞だった。きっとあの燃え盛る鎧を着て舞う舞だからこそ、『焔舞』と名前を付けたんじゃないかとわしは思っている」


父さんと母さんが作り上げたAG。母さんが乗り込んだのは多分、焔の元となった機体『篝』。その機体は炎を宿した機体、それで舞ったからこそ焔舞か。

何というか…そのね?


(俺の親、ラブラブすぎん?)


父さんは歌方じゃ無かったから舞えないのは分かる。

必然的に母さんが舞ったことになるが、その舞の名前に二人が作った機体のような名前を付けたんだぞ?これは…そういう事だろ。


「どうした?」

「いや…何でもない」


はぁ…俺は何回、二人の熱愛っぷりを感じなきゃならないんだ。

悪い気はしないけど。


「これが焔舞と昔話についてじゃ。他には何か聞きたいことはあるか?」

「いや、もう大丈夫」

「そうか。なら家に帰るとしよう」

「あ、俺も」


爺さんは立ち上がり真剣を仕舞い、家へと歩き出した。

俺も後ろについて言って歩いていると。


「春斗、1つ言い忘れていたことがある」

「ん?」


爺さんがふと足を止めて俺を見て一言言った。


「『(はは)(やいば)を、(ちち)(よろい)を、()(わざ)を研ぎ澄ました』」

「え?」

「…なに、ちょっとした老人の言葉じゃよ」

「え、えぇ…?」

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ