表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第三部
74/122

第72話 緑の変化

「はっ!?」


身体を勢いよく起こし、身体に触れる。

頭と身体は繋がってて左腕もある…はぁ、良かった。

あの緑色の何かに掴まれた時にマジで殺されるかと思ったぞ。

…何というか殺意というよりかは別の感情があるように受け取れたが。


『春斗、大丈夫でしたか?』

「大丈夫みたい、椿は?」

『…』

「椿?」


椿の返答が無かったので俺が聞き返したと同時に身体から赫蝶が出てきて、身体を作り出し椿が出てきた。


「その、春斗。少し私のお話を聞いてくれませんか?」

「お、おう…」


やや俯きながら椿が話を聞いてほしいと話してきた。

いつもとは違う。俺が気絶してる間に何かあったのか?


「…少しだけですが思い出しました」

「思い出した?あっ!もしかして記憶か?」

「はい。本当に少しだけですけどね」

「話してくれるか?無理なら無理でいいが」

「いえ、これは話さないといけません」


そして椿から話を聞いた。

どうやら青葉の情報は確かなようだ。椿と青葉は姉妹のようで、二人とも実験道具にされていた可能性があると。

その仮定で、椿が何かしらに巻き込まれたのか何かが起きて塵となってしまったらしい。

それと…。


「詳しい記憶に靄がかかっていて、それと同時に身に覚えのない苦しみが胸の中にあります」

「…」


この話を聞いて思う。

椿と青葉は何かをされたこと、しかもそれが本人たちの意志では無さそう。

意志があるなら記憶の中の青葉が椿を止めるようなことはしないはず。

…想像以上の過去が二人にありそうだな。


「なぁ、椿。俺から1ついいか?」

「はい、何か?」

「俺が椿にいってなかったことが一つある。まぁ言い忘れた俺が悪いが」

「何ですか?」

「戦ってた奴の名前が思い出せないんだけど、京都の時だ。俺が気絶した時なんだが、椿の過去が見えたんだ、はっきりと」

「私の過去?でもそれは私は…」

「あぁ、恐らくだけど見えていなかった」


レベッカとの任務の時のように断片的なものではなく、はっきりと見えた過去らしき風景。

でも俺が彼岸花の花畑で目を覚ました時は椿は過去に関することに対してお礼も言ってなかったし、指摘もしていなかったとなると見ていないはずだ。

…何で今まで俺は話さなかったんだろうか。


「それで、どんなモノが見えたんですか?」

「悪夢を…見ているような気分になった。実験施設の中に5,6歳の血だらけの子供たちがケージみたいな場所に閉じ込められていて、案内のまま先に進んだら椿と初めてあった時の少女と瓜二つの緑色の蝶を纏っている子が居た」

「私と瓜二つ…」

「俺はその子こそ青葉だと思っている。地下駐車場で会った時に緑色の蝶を纏っていたしな、明らかに似すぎているし…何より」

「?」

「さっきの椿の情報で確信したよ、俺が見たときの奴は椿が塵になった後だ。俺が見た青葉は私が守れなかったからと泣いていて床に拳を叩きつけていたから」

「青葉…」


現状の情報をまとめよう。

1つ。椿と青葉は姉妹。顔もそっくりだし養子とかではなくきちんとした血のつながりがあると思う。

2つ。何処かの施設にてお互いに了承のない実験に巻き込まれた可能性がある。

3つ。初めて椿に会った時は自分は人間ではなくなってしまった、兵器その物と言っていた。そうなると確実に実験の影響を受けて人じゃなくなった。そして椿こと赫蝶を兵器として運用しようとしていた『何者』かが居る。

4つ。青葉が成長してもなお、ボロボロだったということはその実験施設は今も稼働してる。現にハイエンドとか今まで見た事も無いようなものも出てきてるしね。

これくらいか。


「うーん、今のところ俺には何にもできないな」

「ですよね。実験施設の場所も分かりませんし詳しい証拠という証拠もありませんから」


今ある情報を知っているのは椿と俺の情報のみ。

AGの行使は流石にダメだ。


「てかここ何処?」

「見た感じ医療室ですけど、もう出て行っても大丈夫だと思いますよ?左腕の損傷はないですし」

「そうか、よっと」


ベッドから降りて医療室から出ようとしたが…。


「あ?」


扉が開かない?


「どうしました?」

「扉が開かない、てかビクともしねぇ…!!」


思い切りドアを開こうとするが鍵が掛かっているというより壁に張り付いているんじゃないかってくらい固い。


「どうする?」

「武器で破壊しますか」

「極端だな!?」

「でもそれ以外に方法ありますか?」

「…」


渋々魔剣を構え、ドアに目掛けて振り下ろす。

だが、ガキィン!と火花を散らし弾かれてしまった。


「マジか…!?」

「魔剣もダメですか、もしかして学園事体が強化されたんですか?」

「いやそんなの知らないぞ」

『当たり前です』

「「え?」」


すると、俺の後ろくらいに緑色の粒子たちが集まっていき…朧げな姿の人?が現れた。


『お姉ちゃんを使わないでくださいって言ったじゃないですか』

「ってことは青葉か!?」


どうやらこの朧げな人の正体は青葉のようだ。

どうやってこんなことをしているのか知らんが、無事なようで良かった。


『はい。ですけど使うなって言ったのは貴方の為なんですよ、九条春斗』

「俺の為?」

『ハイエンドたちは赫蝶に寄っていきます。多分ですけどそれは知っていますよね?』

「あぁ…」

『それだけじゃないんですよ』

「それだけじゃない?」

『時間が無く詳しくは話せませんが、九条春斗。貴方はこの実験施設の者たちに狙われています』


俺が狙われている?


『適合手術のデータは見たと思いますが、成功例は未だ無く赫蝶の力を使える者は誰一人として居ないのにも関わらず貴方だけは使えますよね』

「そうだな」

『それを知ってしまったんですよ』

「実験施設の奴らがか?」

『はい。最初のハイエンドの戦闘を覚えていますか?』

「あぁ、あの狼と鴉の奴だろ?」

『あの場所に居たんですよ、施設の研究者が』


それで俺が赫蝶を使えると…知ったのか。でも何で俺を狙う必要がある?

アレか、実験のサンプル的な奴か。


「それで俺はどうすればいい?」

『それーーーは』

「うん?」


急に青葉のような者の肉体にノイズのようなものが走る。


『これーーですか』

「どうした?」

『限ーーいです』

「…」

『またーーエンドは現れまーー気をつけて』

「分かった」

『そーーれと』

「?」


『変革の時は近づいています。私も頑張っていますがどうにもーーー』


その声とともに青葉は緑色の塵となって消えていった。


「変革…?」

「どういう事でしょうか。それに最後の方に聞こえた事も」

「頑張っているがどうにも…と聞き取れた」


『ならない』のか『なりそうなのか』。

まぁ、前者の方だろう。明らかに辛そうな顔をしていたし。


「てかどうやって出ればいいんだ?」

「魔剣でも開きませんでしたし」


その時、扉の隙間から緑色の蝶が5匹出てきた。

その蝶々たちはふよふよと浮きながらも俺の方へ向かって来て、左手に止まったと同時に。


ーー緑色の『粒子』になって消えていった。


「…は?」


この行動は知っている。

赫蝶が俺の身体の中に戻るときの動きだ。

って事は、俺の中に赫蝶だけじゃなくて緑色の蝶も居るってことか!?

と考えたと同時に。


「春斗!」

「春斗さん!」

「九条!無事か!」


葵にフレヤ、そして御影先生が勢いよく扉を開けて突入してきた。


「みんな…?」

「目が覚めていたのか?」

「ついさっきです、それで出ようとしたら」

『春斗、一応ですが緑色の蝶の事は黙っておきましょう』


俺の頭の中で椿がこういった。

何故だ?こういう情報こそ共有すべきだと思うが。


『まだ共有するのは早いと思います。今の情報だけでは逆に混乱させる可能性もあるかと』

(なるほどな…)


確かにハイエンドとかいうよく分からない生命体が学園に襲撃してきたわけだし、何より…この左腕の事もよく分かってないしな。

黙っておくほうがいいのか…。


「…出れなくて、よく見たら棒が突っかかってて開けなくなっていただけでした」

「そ、そうなんですの…」

「お、おっちょこちょいにしては心臓に悪いぞ、春斗」

「すまん…」


とりあえずその場限りの言い訳としては割といい物だろう。


「まぁ無事ならそれでいい。だが…そうも言ってられない状態だ」

「な、何かあったんですか?」

「まず九条、お前はどれほど寝込んでいたのか分からないか?」

「はい…多分2時間くらいかなって思いましたけど」

「…2日だ」

「え?」

「お前はアレから二日間、眠っていたんだ」


二日間も寝込んでいたのか俺は…!?


「い、一体何が起きたんですか?」

「結論で言うと、あのハイエンドの出現報告がかなり上がってきている。ちなみに今日で2件目だ」

「アレが二件も!?」

「現状、AG行動隊と我々教師陣、そして専用機持ちで何とか対処しているが…流石にあれ相手だと厳しく何よりこれ以上数が増え続けると…」

「ジリ貧になって押し切られる可能性もあるってことですか?」

「あぁ…」


俺が寝てる間にそんなことが…そういえばさっきの青葉の


『変革の時は近づいています。私も頑張っていますがどうにもーーー』


変革の時…まさかとは思うがその変革の予兆がこれか?

ハイエンドの出現的なやつ。

…この問題は想像以上にとんでもない問題かもな。


「とりあえずIGD学園の授業体制はこのまま変えずに動くが、訓練や特訓の時間を増やす。あの敵対勢力と戦う力が今の学園には必要だ」

「…」

「九条、お前にも協力してもらうことになるが…いいな?」

「はい…!」


二月中旬。

俺たちは次の戦いに備えて力を付けることになった。

果たしてどんな敵が来るのか、変革とは何なのか。

俺の身体の中にいるかもしれない緑色の蝶はなんなのか。

ありとあらゆる疑問に頭の中がいっぱいになるが…今は前を向いて居よう。


ーー皆を守るために。


ーーー


『まさか、九条春斗に『翠蝶(すいちょう)』の力も携わるとは。どのような構造をしているのでしょうか?』

「わからない。でも椿お姉ちゃんが信頼しているみたいだし、何より共存できてる」

『我々の作戦の要にもなりそうですね』


暗闇に包まれた部屋の中、そこにはペンダントから聞こえてくる声と話す緑色の蝶を纏った少女が居た。


「でも、さっきの交信で『代償』についてギリギリ言いきれてないしこのままじゃ九条春斗の命も危ない…」

『そうですね。このままでは九条春斗が死ぬ可能性もありますが私たちもですよ、青葉』

「分かってる…」

『ハイエンド及びキャッスルが出来上がった時に変革が訪れ…全てが終わってしまいます』

「…」

『私の意見としましては』

「もう…休もう『MOTHER(マザー)』」

『分かりました。ではまた明日の指定時間に目覚ましを鳴らします。おやすみなさい』

「おやすみ」


そのMOTHERと呼ばれた機器の電源が切れたと同時にベッドなのかもわからない布切れの上に寝っ転がる青葉。


(九条…春斗)


(貴方なら全てを救えるかもしれません)


(だからその時まで、私は貴方を信じます)


(どうか、ハイエンドたちに)


ーー私たちの作戦を伝える時まで、死なないでください。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ