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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第三部
72/122

第70話 最強を冠する者

とにかく狙いの矛先を決めて、今度はこちらから仕掛ける。


「オォォォォォ…!」


翼の生えたワームは視野があるのかどうか今だに分からないが、確実に俺のいる位置を捕えて噛みつこうとしてくる。

地面の振動やらその音を感知する何かがあるのかと思っていたが、どうやら違うみたいだ。

…とにかく、攻撃を!

ワームの噛みつきを回避し、背中を滑りながら翼の根元に攻撃を仕掛ける。


「はぁっ!!」


根元から切り落とせば、もう飛べないだろ!

篝火の刃が片翼の根元を捕えて、切り離す。だが…。


「なっ!?」


切り離した部位とは別の場所からまた触手が生えてきて、その触手は翼へと変わった。

マジか、再生というよりかは生え変わり?


「オォォォ…!」

「全身兵器かよ!!」


背中を滑りながら攻撃を仕掛けようとしたと同時に他の部位から生えてきた触手や棘のようなものが俺に向かって放たれる。

篝火でいなし、弾きつつワームの背中から離脱し一度距離を離す。


『九条、何をしている!』

「御影先生!えっと…空を飛んでいるので翼を破壊すれば地面に叩き落とせると思ったので背中に攻撃を」

『なるほどな、それでどうなったんだ?』

「翼を切り離すことには成功しましたが…その場所とは別の場所から翼が生えてきました」

『…』

「どうすればいいでしょうか…」


と、御影先生からの指示を待つと。


『九条、今からAGで向かう。柊木先生や先生方と一緒に出来る限り削れ、いいな』

「は、はい!」

『というわけだ、柊木。九条を頼む』

『分かりました!九条君、私たち先生たちも翼や胴体を狙いつつ弱点でありそうな口元を狙います。九条君はゼロ距離で斬撃を叩き込んでください!』

「了解です!」


そうしてこれからの作戦が決まった。

1つ。柊木先生率いる先生たちは口元や翼を狙った攻撃を仕掛け、俺はゼロ距離での斬撃を喰らわせる。

2つ、御影先生が来るまで持ちこたえる。

…サラッと言っているが世界最強が増援にくる事が確定している。

でも正直気になっていた。

今のところ俺は御影先生のAGでの戦いを見たことはない。大体対AG用強化スーツでの戦いしか見ていないからな。

だからこそ気になる。御影先生のAGを、戦いを。

そして知りたい。俺の母の凄みを。今の世界の最強を倒せる母の実力を。


「尚更、死ねねぇな!!」


距離を放していたが、再度こちらから仕掛ける!


「オォォォ!!」

「!」


口を開き、俺に向かって特攻してきた所をすかさず空中でターンし、お腹の方をくぐりながら回避。

その隙を先生たちは見逃すはずもなく、俺が回避したと同時にワームの開いた口へ弾幕が放たれた。口元が爆発していき、痛みによる悲鳴のような声を上げたワームは弾幕によって生じた爆炎を顔で振り払う。

その瞬間を狙って今度は翼を二つ同時に切り離す。


「これならどうだ!」


二つの切り離された翼が地面に落ちていく、しかし地面につく前に切り離された翼は塵となって消え、先程と同じように元々翼が生えていた位置とは違う所から翼が生えてきた。


「これもダメか…」


片方だけならと思い、両方切り離したが効果なし。若干、地面にワームが近づいたくらいか。

どうせもう一度空に戻るし効果なし。


「くっ!棘も…中々に早いな!」


ワームが身震いしたと同時に俺に棘が放たれる。

空中で回避しつつ、着弾しかけた棘は篝火で弾く。

攻撃手段は地面の時に比べて増えてはいるが、今は噛みつきの方向と棘を飛ばしてくるくらいだ。

まだ、何とかなる。


「劫火よ!!」


刀身に炎を纏わせ、翼辺りを狙って放つ。

劫火が翼を焼き尽くす。


「お?」


すると、変化があった。

ワームは徐々に地面に近づいていっている。なるほど!切断さえしなければいいのか。

再生ではなく、生え変わりなら翼の翼膜さえ焼き尽くせば翼自体の生え変わりは無くなるし、穴が開いて飛べなくなる!

これだ!

翼の切断は狙うな、狙い場所はアイツの翼膜。

飛行能力さえ失くしてしまえば地面に叩き落とせる!


「柊木先生!御影先生!多分ですけどワームを地面に落とせます!」

『ど、どうやってですか!?』

「先程の劫火で翼を焼きにかかった際に翼膜が燃え、穴が開いたんです。そうしたらワームは徐々に地面に近づいていっています。もしアイツの能力が再生じゃなくて生え変わりなら…切断せずに翼膜を破壊すれば」

『…なるほどな、いい着眼点だ。そのまま狙え、もうすぐ付く』

「了解です!」


よし、俺が狙う位置は決まった。

後はアイツを…。


「オォォ…!!!オォォォォォ!!」

「ぐっ!?」


耳がキーンとなるほどの大咆哮。

両手で耳を塞ぐ。


「グオォォォォ…!!!」

「くっ!弱点がバレて焦ったか!?」


先程よりも攻撃が激しくなった。

棘と噛みつきのペースが上がり、俺を必要以上に狙ってきている。


『春斗大丈夫ですか!?』

「安心しろ!まだ…行ける!」


体力はほぼ無尽蔵にあるからな!こちとら赫蝶のエネルギー放出にどれほど長時間動いてると思ってんだ!


『せめて私に何かできれば…!』

「椿?」

『すみません、ハイエンド相手だと私は』

「だから気にしなくていいんだよ」


想像以上に椿は今なにもできないことを悲観しているようだ。

別にいいのに。むしろ今まで頼りすぎた俺が悪いしな。


「オォォ!!」

「でも、流石にしつこすぎる!」


身体をうねらせ、俺を殺しにかかってくる。

ここまで狙い続けるか!?


「…だが口元を狙えるのは柊木先生だけじゃねぇんだぞ!」


劫火だけじゃだめだ。

炎の刀身の斬撃だけじゃ武器としてもまだ足りない。

なら…俺自身が炎を操り、新しい武器を作ればいい!

空いた左手に炎を集中させる!


「これでも喰っとけ!!」


左手にチャージした炎を俺に噛みつこうとして口を開けた瞬間、放つ。

ワームの口の中に炎が入っていく。


「オォォォォォ!!??!」

「がっ!?」


ワームは新しい攻撃パターンに驚いたのか、はたまた炎が想像以上に効いたのか急に身もだえし始めた。

あの巨体の身もだえのせいで尻尾が動き回り、その尻尾が俺の左半身を捕えて吹き飛ばされる。


ーードゴォォォォン!!


「ごほっごほっ…!」


地面に背中から叩き落とされ、砂埃が舞う。


『シールドエネルギー残量無し、ヘルスエネルギー残り764』


全身に激痛が回る。

原因は…シールドエネルギーが無くなったからか。

てかそうか、赫蝶の再生すらマズいかもしれないのか。傷はこのままで…。

うん?


(思えばそうだ、赫蝶も再生できるよな)


…似てるよな、赫蝶とあのハイエンドの能力が。

複製は赫蝶にしか出来ないが、再生やら何やらは赫蝶に似ている。

椿と青葉が似ている影響もあるのか…?

いや今はそんなこと考えている場合じゃない!


「オォォォォ!!」


ヤバい来てる!

再生は、出来ない!この激痛と一緒に戦うしかないが…ダメだ!

よりによって…足が!

視界を左側に落とすと俺の左足が黒く変色していた。

ピクリとも動かねぇ!


『春斗ッ!!』

「再生はするな!無理やりにでもインパクトブーストで回避するしかない!」


タイミングを見計らえ!絶対に外すな!

間違えた瞬間、俺は確実に死ぬ。

スラスターをチャージし、ギリギリまで待つ。ほぼゼロ距離で避けないと追従されて食われて死ぬ!


(まだだ、まだ引きつけろ!)


目の前に広がり始める黒く、緑色に輝く空洞。


『本当、どんな神経しているんだ…私の生徒は!!』


その声と同時にワームは怯み、空中に逃げ出した。


「…え?」

「大丈夫か、九条」


振り向く。

そこには白と青色の色の装甲に身を包み、浮遊シールドに翼の様に広げたジェット機構。そしてAG以上の大きさを持つ槍を携えて…俺を助けてくれた。


「み、御影先生!」

「…その傷じゃ流石に動けないか」

「す、すみません…」

「気にするな。あとは私に任せろ、それと見ておけ」


ーー世界最強の実力を。


こんな心強い言葉が存在しただろうか。

俺の真横をインパクトブーストして飛んでいき、ワームへ単身で向かう。

無茶だとは言いたかったが、世界最強にこの言葉は不要か。

今のうちに御影先生の機体情報を確認しておこう。


「『ブリュンヒルデ』…近距離型のAG」


ブリュンヒルデのAG出力はというと俺よりかはほんの少しだけ低いくらいだ。

ただスピードとシールドのエネルギーは俺よりも二回りも上。

二つの浮遊シールドに背中辺りに小さなウィングが二つ。

そしてランス『ジークフリート』を装備している。

専用アビリティーは『黄昏の蒼炎』

全身の放熱機構が露出し、自身のAGや槍の先に蒼い炎を纏わせる…ちょっと待て。

焔と同じじゃないか!?

いや完全一致というわけじゃないが、いくらなんでも似すぎている。

…俺の家族関係の影響か?


「ぐっ…いてて」


ってそんなこと考えている場合じゃないな。

アドレナリンが切れたのか左足の痛みが頭の中に飛んできた。

でもあの自壊に比べたらマシだがやはり痛い。

…それにしても本当にすごい。


「ォォォォォ…!?」


あのワームに対して一方的に攻撃している御影先生。

棘も噛みつきも、世界最強からしたらカウンターに派生できる攻撃と判断しているのかもしれない。

実際にそうだろう。こんな一方的にワームが蹂躙されているのだから。

…正直、ドン引き。

世界最強ってここまで遠い物なんだなと。


「九条君大丈夫ですか?」

「身体は大丈夫ですが、左足が…」

「…打撲、あるいは折れてそうですね」

『春斗、一度距離を離しましょう。離した後に私が治します』

「柊木先生、俺を少し遠い所へ運んでくれませんか?」

「な、何故ですか?」

「赫蝶を使って足を治します。ただ…赫蝶を使ってはいけないと言われているので」

「わ、分かりました」


俺は焔を解除し、柊木先生に抱えられて体育館まで連れていかれた。

距離を離したいって言ったけどここまで離すか?


「ここなら大丈夫ですか?」

「多分ですけど…椿、行けるか?」

「はい、任せてください」


俺の身体から赫蝶たちが飛び出し、俺の左足に纏わりついていく。

左足から徐々に痛みが引いていき、治った。


「よし、動け」

『九条!ワームがお前たちの方へ飛び出した!』

「えっ」


御影先生の怒声と同時に。


「オォォォォォ!!!」


さ、さっきより早い!

てか何で俺の位置が…!


(もしかして…!)


『何というか…狙われている気がして…』


『絶対にお姉ちゃん…じゃなくて赫蝶を使わないでください』


理解した。なんで目もなければ耳もないコイツが俺を正確に捕えられたのか。

あの時、何で急に方向転換したのか。思えばそうだ、アリーナで赫蝶のエネルギーを放出するために使ってたし…今、俺は再生のために赫蝶の力を使った。

となると、コイツは…!


ーー『赫蝶』に反応する。


「焔!!」


急いで焔を展開し、空へ飛び出す。

先程の思惑通りワームは柊木先生に目もくれず俺を狙ってきた。

使うなってことは狙われるぞってことか、多分だけど!


(でも逆に…)


俺が赫蝶の力を使えば敵視は俺に向き続ける。ある意味、使えるかもな。


「椿、ちょっと手荒なことをするかもしれないがいいか?」

『今更では?』

「…何も言えねぇ」

『ふふっ、春斗の事は多分誰よりも知っているので』


インパクトブーストしワームから距離を離す。


「…」


さて、どうするか。

いや負ける気はしないけど、打開策が無い。

御影先生と戦闘していたとはいえ先程の傷も癒えつつある、本当にどうなってんだコイツは。


『御影先生、どうしますか?』


柊木先生の心配するかのような声が聞こえてきた。


『…先程の戦法でいい。九条と私でかく乱し、柊木が』

「御影先生、情報が一つあります」

『何だ?』

「どうやらこのワームは赫蝶に反応するかもしれません」

『赫蝶にか?』

「はい。アリーナに居た俺を正確に捕え、距離を離したのにも関わらずすごい勢いでこちらに来ましたし、可能性としては高いと思います」

『…なるほどな』

『しかしそれで何を…』

『いや使えるかもしれない。九条、少々キツイ作戦になるかもしれないが覚悟はいいか?』

「はい!」


俺は覚悟を決めた。


ーーそれと共に。


ーー地下深くで眠っていた『蝶』も。


ーー今か今かと目覚めの時を待っていた。

誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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