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インフィニティ・ギア  作者: 雨乃時雨
第三部
69/122

第67話 龍ヨ、竜ヨ、繭ヲ破リ目覚メタマエ

「がぁぁぁぁ…!!」


バレンタインの翌日。

俺の身体は…限界が近づいている。肉体が…砕けそうだ。

早朝だが…こんな最悪な目覚め方は無い!


「クソ…!」


俺は激痛に耐えながら洗面所まで向かう。

鏡の前に立つと上着を脱ぎ捨てて今の俺の身体の状態を見る。

そこには


「は…?」


身体に出来ていたヒビは右腕以外の全身に回り俺の双眸は真っ赤に染まり、血の涙が零れていた。

何だこれは…!?


「がぁっ!?」


てか、そんなこと考えている場合じゃない!

痛い…痛い痛い!


「はぁっ…はぁっ!?」


意識が刈り取られそうだ。

視界の端から真っ赤に染められていく。


「ごほっ!?」


口から大量の血液が吐き出される。


「俺は…まだ…」


一気に俺の身体が重くなり床に倒れこむ。


「死ね…ね…ぇ」


誰にも聞こえない声が耳に木霊する。

そして俺は虚無に向かって手を伸ばし…視界は真っ赤に染まった。


ーーー


落ちていく。


(…)


虚無の中に落ちていく。


(…?)


身の覚えがある大穴だ、確か修学旅行の時の奴だよな。

すると赤色の光が見えた。前は確か緑色だったはず。とにかく俺はまた光に手を伸ばし、掴んだ。

次の瞬間、赤い光が俺を包み込み…。


「ここは…!!」


赤く染められた、俺の中学時代の母校が目の前に広がった。


「何だこれ…」


今までに見たことがないパターンだ。

赤い彼岸花の花畑、謎の実験施設、夕方の砂浜。

これらの場所が示す意味ならわかる。椿の場所、青葉と椿がいた実験施設、そして俺の命の灯。

だが…何故俺の母校なんだ?


『よぉ』


急に後ろから声をかけられる。

振り向くと


「俺!?」


いや詳しく言うと黒龍纏いをしている俺がいた。


『大丈夫か?』

「自分自身に心配されるなんてな、そっちこそ平気か?」

『あぁ、お前のお陰でな』

「俺のお陰?」

『まぁその辺は気にするな。それよりも、だ。自壊に耐えられなくなったんだな』

「…あぁ」

『立ち話もなんだ、慣れ親しんだ場所で話そう』


そうして黒龍を纏った俺は校舎に向かって歩き始めた。

…慣れ親しんだ、ねぇ。

とにかく今は俺自身から話を聞くべきだ、俺は自分自身の背中を負って歩き始めた。

一応、聞くべきことは聞いてしまおう。


「なぁ歩きながらで悪いが『質問していいか、だよな?』…あぁ」

『わかるさ。お前は俺で、俺はお前だしな』

「…」


何というか物凄く不気味だ。色んな疑問が頭の中にあるが…とにかく不気味だ。

ドッペルゲンガーの一種なのか、死んだ俺の夢の一部なのか。


『あぁ、安心しろ。お前はまだ死んでいない、というより目覚めたときは元気になってるはずだ』

「何故、そう言い切れる?」

『そこからはここで話そう』


そうして歩いているうちにとある教室にたどり着いた。

ここは…俺が中学三年生の時のクラスの教室。ちゃんと3-3と書かれているしな。

扉を開けと、その先にはあのときとほぼ変わらない景色が広がっていた。


『座れ』

「…」


言われるがまま座る。

ちなみに俺が座った椅子は中学校時代、俺が元々座っていた場所だ。

そして黒龍を纏った俺は教卓の上に立つ。


「そこなんだな」

『あぁ、説明なら此処からの方がしやすいだろ?』

「否定はしない」

『さて、まずはこの場所についてだな』


と話し始めると思いきや黒板に大量の文字列が書かれ始めた。


『ここはお前の精神世界、本来は来れるはずが無い場所だ』

「俺の?」

『あぁ。お前自身は気づいていないかもしれないが、お前の精神は完全に壊れ切っている。あの時からな』

「…あの時か」


説明されなくてもわかる。俺が明奈を守れなかったときだ。

よく見ると教室の時計の針が俺が学校を飛び出す時と同じになっている。


『それで何で九条春斗という人間がもう一人いるのか、結論で言うとお前の精神が赫蝶に汚染されつつあるからだ』

「赫蝶に?」

『あぁ。はっきりと言うが…今、お前自身の肉体の制御が赫蝶に奪われそうになっている』

「は?」


何を言っているのかさっぱりわからなかった。


「何故、肉体を?」

『…そもそも俺という存在は人間でいう所の防衛本能から生まれたものだしな。普通ないだろ、1つの肉体に二つ目の人格が現れること自体。んでお前の肉体が本能的に危機を感じて俺という防衛本能を生み出し肉体の宿主に伝えている…ってことだ』


納得…出来ねぇよ。何というか人知を超えすぎた話だ。

とてもじゃないが信用できない。


「…それで何で肉体が奪われると?」

『気づいていないのか?お前の防衛本能がここまで汚染されているということに』

「!!」


言われればそうだ、何で俺の防衛本能は黒龍纏いをしている?


『結論を言うとお前の肉体の中の赫蝶たちは今強制的にだが黒龍になりつつある』

「黒龍だと?」

『あぁ。確実に言えるがこの状態で黒龍になった瞬間、お前の肉体の権限は赫蝶に奪われる』

「…」

『それと最後の結論をいう前にお前は最近、戦闘で赫蝶を使ったか?』

「いや使ってない。あのよく分からない生命体には効果が薄いって椿から聞いたしな」

『恐らく本当に効果が薄いのだろう。だがそれがよくなかったんだ』

「え?」

『防衛本能の俺は椿以上に自分の身体を知っている。そして赫蝶という生物の構造も』

「ちょ、ちょっと待て!?何故分かるんだ!?」

『言ったはずだ、お前の精神は壊れている。お前は自分の肉体…いや自分自身をきちんと見たことはあるか?』


…見ていない。俺の命が散ると言われる前も俺は周りの人が傷つくのが嫌でずっと武器を、己を振るっていた。

家族や友人たちの為に身体がいくら傷つこうとも関係ないと思っていたからな。


『赫蝶という生物はただエネルギーを吸収する生物だと思っていないか?』

「あぁ…」

『実のところ、俺らが思う『吸収』よりもはるかにヤバい』

「はるかに?」

『あぁ、というより構造が生物としても壊れている』

「壊れている…?」

『赫蝶という生物は定期的にエネルギーを放出しないといけない。お前は自壊が起きていると言われる前に黒龍を使ったな?』

「あぁ…」

『アレは怒りの感情に支配され、赫蝶を纏った姿だ。あの姿がお前の中にいる怪物の姿と言ってもいい。それで話を戻すが、赫蝶はエネルギーを放出したのち再度吸収を始める』

「それは俺の肉体からだろ?」

『違う、赫蝶同士でエネルギーを作り出し消費したエネルギーを作り出していくんだ』

「は?」

『問題が、作り出した後だ。赫蝶には生成エネルギーの限界値があるが吸収量の限界値はない。つまり赫蝶同士で作れなくなった場合は周囲あるいは宿主の肉体からエネルギーを吸収し始める。初めてお前が自壊を始めたころは急激なエネルギーの消費で赫蝶自身も肉体自身も慣れていなかったから起きたが…今回は違う。赫蝶たちの生成できるエネルギーは限界を迎え、周囲からエネルギーを吸収し始める存在になっている。その結果が』

「今の…俺の自壊か」

『あぁ』


赫蝶というものは武具として扱うとき相手からエネルギーを吸収し糧に出来る存在と思っていたが、本来は無限にエネルギーを吸い続ける存在なのか?


「てか…何故それで俺の肉体が奪われるって言ったんだ」

『赫蝶たちはお前という蛹を破ろうとしている。自壊によって死んだお前のな』

「!?」

『それが目覚めた瞬間、終わりだ』


俺が…(さなぎ)


「でも椿自身、気づいていなかったみたいだぞ」

『お前は椿が赫蝶を完全に理解していると言われたことはあるか?』

「…」

『多分、いや確実に椿自身も知らない』

「なら何故俺は」

『言っただろう。俺はお前の防衛本能であり自分の肉体に常に目を向けていたからな』


理解が追いつかない。何故、もう一人の俺が気が付くんだ。

椿も知らないような赫蝶の構造を。


『…そろそろ目覚めのようだな』

「そう…なのか」

『あぁ、それと覚悟を決めておけ』

「何の?」

『今、学園は襲撃されている』

「はっ!?」

『敵は100体、全てブレイザーだ』

「ブレイザー!?何でまた…」

『流石に分からん、俺は身の回りで起きている事しか分からないからな』

「要はエネルギーを使い続ければいいんだろ?」

『あぁ、赫蝶たちが生成に時間がかかればなおのこといい』

「分かった。自分自身を信じれないが…やるだけのことはする」


そういうと黒龍を纏った俺は塵となり消えて、視界が真っ赤に染まり。


ーー目を覚ます。


「はっ!?」


ここは…医療室だ。

ぐっ…痛い。また意識が刈り取られそうだ。


『春斗!目が覚めたんですね!』

「椿…」


頭の中で椿の声が聞こえ始めた。


『心配しました』

「すまなかったな、それと今学園に襲撃者が来ているんだろう?」

『え、何故それを?』

「…ってことは事実か」


幻覚のようなあの光景、情報は嘘ではないと思った。

あくまで信頼させるように外の情報を俺に教えてくれたのか。

てか自分自身の防衛本能すら信じれないって、俺って自分自身の事を分かってなさすぎだろ。


「椿、出るぞ」

『な、何を言っているんですか!?そんなことしたら』

「良いんだ、それでいい」

『え…?』

「別に死にはしない、もしかしたら良くなるかもしれないぞ」

『何か策があるんですね』

「いや策…というよりこれしかない、だな。行くぞ」


そして俺は全身に赫蝶を纏い、ベッドから立ち上がる。

激痛もなくなった、普通に歩ける。


「俺の憂さ晴らしに付き合ってもらおうか」


俺はそのまま走り出し外へ飛び出す。

焔は…いや今回は止めよう。赫蝶のエネルギーをとにかく使いまくれ。


「椿、敵の位置やサポートは任せる」

『分かりました、いつも通りですね?』

「あぁ、頼りにしてるぞ」


いつも以上に全身に赫蝶を纏わせる。


「があっ!!」


すると肉体に変化が起きた。

背中にあったはずの翼は消え、その部位からは粒子が飛び出し、俺の両腕と両足は鋭利な爪と強靭な足に変わり、頭から二本の大角が生えていた。

黒龍纏いなのは確かなんだが、形状が前と違う。

…まぁいいか。


「行くぞ!」


粒子の翼を広げ、空に飛び出す。


『春斗、ブレイザーが学園に向かってきています。総数は』

「100か?」

『は、はい』

「分かった、捻じ伏せる!」


更に上に向かって飛び周囲を見回す。

…居た!

見つけた瞬間、ブレイザーたちに向かって飛び右手を握りしめる。


「くたばれぇぇぇ!!!」


いつも以上に赫蝶を纏った右手のパンチは想像以上の破壊力だった。

ボディーを捕えたブレイザーは即座に鉄屑に変わり、その衝撃波で付近にいたブレイザーたちも…粉々になった。


「まだだ…まだ足りねぇ!!」


こちらに向かって打ってきたブレイザーたちに複製したフレヤのビットを飛ばす。

一機につきビット8個。大盤振舞だ!

放ったビットはブレイザーたちの機体に風穴を開けてゆき、爆破。


『は、春斗?』

「どうした?」

『さ、殺意が高すぎません?』

「あー…すまん。今は出来る限り赫蝶のエネルギーを使わないといけないんだ、過剰かもしれないが許してくれ」

『エネルギーを?』

「その説明は真実であると確定したら話す、今はサポートを頼むぞ」

『わ、分かりました!』


次のブレイザーを見つけ飛翔。

よりエネルギーを使わなきゃだめだ。なら…!


「魔剣!!」


右手に魔剣を生成し、握りしめる。

既に赫蝶は全身に纏ってある、エネルギーの放出の影響で右腕が爆散することもない。


「灰燼と帰せ!」


魔剣に纏わせた赫蝶を斬撃として薙ぎ払う。

放たれた斬撃はブレイザーたちを切り裂いていき爆発、その赤い爆破に巻き込まれたブレイザーたちも塵となり消えていった。


『の、残り14体です』

「そ、そんなに減ったのか!?」

『はい…先程の斬撃で50は消えました』


ダメだ。手ごたえがあまりにも無さすぎる。

贋作は所詮この程度か。


「想像以上に相手が弱かったな、量もなければ質もない。ただのゴミか」

『は、春斗ってそこまで口が悪くなるんですか?』

「さ、流石に友人やら仲間とかには言わないぞ?敵に容赦はしないだけだ」

『理由が春斗らしいですね』

「そうか?」

『えぇ、とにかく片づけましょう。ゴミはゴミ箱へ、です』

「お、おう!」


そして俺たちはゴミを掃除した。


ーーー


「ふぅ…」


敵機が周囲に居ないことを確認したのち、地面に着地し解除。

すると俺の肉体に変化が起きていた。

全身にあったヒビが完全に消えたわけじゃないが少し消えていて、激痛などは完全に無くなっている…って事は防衛本能で動いた俺の情報は正しいみたいだな。


「椿、いいか?」

『はい』

「お前に話すべき情報がある、赫蝶の構造について何だが…」


そうして俺は話した。

俺が倒れているときに起きたことを、赫蝶という存在の構造を、俺の防衛本能についても。


「…てなわけでエネルギー消費をするために赫蝶を纏ったり過剰に攻撃したりしたんだ」

『そうだったんですね、私がもう少し早く気が付いていれば』

「まぁ椿自身も知らなかったのなら仕方ないよ、気にすんな」

『はい、それと』


『後ろ』

「へ?」


椿に言われるがまま後ろを振り向くと…。


「九条」

「み、御影先生!」

「…」


や、ヤバい。明らかにキレている!

こ、こめかみにしわ…というより顔の所々に血管が浮き出ている。

本当に死んだかもな、俺。


「怪我はないか?」

「は、はい!」

「ならいい、それと何故こんなことをしたのか話せ」

「はい…」

「それと」

「?」

「まだ…死ぬなよ」

「え、あっはい!」

「わかったならいい、行くぞ」

資料集更新

追加内容:『赫蝶』


誤字脱字、語彙力がほぼ皆無に等しいのでミス等がありましたらご報告お願いします


感想も待っていますので気軽にどうぞ!


超絶不定期更新ですがご了承ください…

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